英語版では、自分がどれだけ頑張ってきたかを語りかけます。

こんなに頑張ってきたのだからもういいでしょ、と自分を自由にしてあげたいと思っています。

そして特徴的なのが、神様が知っているという部分ではないでしょうか。

英語圏独特の言い回しでありいいかえれば、神様は自分の味方なんだと歌っているのです。

風が心にささやくの
このままじゃダメなんだと

出典: Let It Go~ありのままで~/日本語訳:高橋知伽江 作曲:Kristen Anderson-Lopez,Robert Lopez

日本語版では、彼女の心の弱さを少し垣間見ることが出来ます。

彼女は悩んでいるのです。

英語版では自分を女王の様だと、強い女性を前面に出していました。

日本語版の彼女は、これまでの自分に疑問を持ち内面から変えようとしているのでしょう。

自分の頑張りを表に出す英語版と、頑張りを表面化させない日本語版には文化の違いも影響しているように感じます。

演じていた自分と戸惑っていた自分

Don't let them in
Don't let them see
Be the good girl you always have to be
Conceal, don't feel
Don't let them know
Well, now they know
誰も中に入らないで、誰もみないで
いつも理想の女の子でいなくてはいけない
自分を隠し、何も感じることもない
誰にも知られないように、でももう知られたのよ

出典: Let It Go/作詞:Kristen Anderson-Lopez,Robert Lopez 作曲:Kristen Anderson-Lopez,Robert Lopez

英語版では理想的な女の子を演じています。

自分というものを持っていながら、それを隠してきた状況です。

エルサという人格は既に確立されているのでしょう。

本当の自分を知られないように、息をひそめ生きていたという印象を受けます。

そしてついに彼女の真実がばれてしまったのです。

ここで描かれているのは、本当の自分を隠さなくてはいけないという悩みではないでしょうか。

とまどい傷つき
誰にも打ち明けずに悩んでた
それももうやめよう

出典: Let It Go~ありのままで~/日本語訳:高橋知伽江 作曲:Kristen Anderson-Lopez,Robert Lopez

日本語版では、自分の存在が正しいのか否かを悩んでいます。

自分はこんな女の子でいいのだろうか、自分の力は何のためにあるのだろう…。

人と違うことに悩んで、普通ではない自分に傷ついています。

映画の中では、妹を自分の力で傷つけてしまうシーンがありました。

自分の存在が人を傷つけてしまう、そんな悩みもあったのではないでしょうか。

そして相談する相手もいなかったのです。

それは、自分が嫌われてしまうかもしれないという恐れからでしょう。

普通に生きることが出来ない自分は、他の人に迷惑をかける存在になっているのかもしれない、と感じていたのです。

だからこそ、誰にも真実を話すことが出来ずに悩んでいたのでしょう。

しかし、そんな悩みはもう捨ててしまおうといっています。

周りの目を気にして傷つくことは、もうやめたいと思ったのでしょう。

大きく違うサビの部分

もう手放してしまえばいい

Let it go
Let it go
Can't hold it back anymore
Let it go
Let it go
Turn away and slam the door
そのままでいいのよ、もう手放しましょう
もう耐えられない
そのままでいいのよ、もう手放そう
これまでの道に背を向けて、ドアを閉めよう

出典: Let It Go/作詞:Kristen Anderson-Lopez,Robert Lopez 作曲:Kristen Anderson-Lopez,Robert Lopez

英語版では、これまでの周囲を切り離そうとしています。

自分という人格を認めないのならば、自分でいれる場所に居るというのです。

理想の女の子を演じていた世界は、もううんざりなのでしょう。

大切な家族や家、そして思い出も全て手放してしまおうとしています。

周囲に背を向けて、関係を絶つという意思表示を感じる部分です。

I don't care
What they're going to say
Let the storm rage on
The cold never bothered me anyway
誰が何といおうときにしないわ
嵐が吹けばいい
寒さなんてもとから少しも気にならないのよ

出典: Let It Go/作詞:Kristen Anderson-Lopez,Robert Lopez 作曲:Kristen Anderson-Lopez,Robert Lopez

もう人の目なんて気にしていません。

何をいわれようと自由に生きる、という強い決心を感じる歌詞です。

英語版で歌われたエルサは虐げられた自分の境遇をなげき、そこから解放されるイメージでしょうか。

自分の解放をに例えています。

自分は本当は寒さなんて感じない…。

彼女はこれまで寒さを感じているように演じていた、ということを暗に示しているのでしょう。

ありのままでいい

ありのままの姿見せるのよ
ありのままの自分になるの
何も怖くない 風よ吹け
少しも寒くないわ

出典: Let It Go~ありのままで~/日本語訳:高橋知伽江 作曲:Kristen Anderson-Lopez,Robert Lopez

日本語バージョンでは、やはり表現がまろやかになっています。

そして英語バージョンでは、他人を完全に締め出す印象なのに対してこちらは関係性を歌っていました。

自分のありのままの姿を見せて、堂々と生きていこうという歌詞です。

他人と違っていてもいいのです。

彼女は周りからどう思われても、もう怖いとは思いません。

正直に生きることで、大切な人を傷つけることもなくなるのでしょう。

最後の言葉は、体感的なものと心の中をかけた言葉になっています。

ありのまま、自分に正直に生きることは少しも心を冷やすようなことではありません。

むしろ心地がいいのではないでしょうか。

成長と変わる自分