クリープハイプ『世界観』アルバム全収録曲歌詞解説！④僕は君の答えになりたいな

少しニヤケてしまう、少し小っ恥ずかしい「アイニー」に続くのは、 落ち着いたバラード「僕は君の答えになりたいな」です。 愛する人。 信頼している人。 好意を持っている人。 そういった相手の事を、算数の式に例えていて、 その式のたったひとつの答えになりたいと思っている人の詩です。 足し算や引き算、掛け算や割り算。 単なる数字の並びでも、ちゃんと意味があって成り立っている。 という部分に着目した言葉遊びも、聴いていて思わず 納得してしまいます。 「僕は君の答えになりたいな」は、 ボーカル尾崎世界観の捻くれた表現が 何だか心地よく感じてくる、ハートフルな楽曲です。 バンドをいつも支えてくれているファンに対しての 感謝の気持ちが垣間見れる歌詞を紐解いていきましょう！

1番のAメロ部分です。 情は、増やすことも減らすことも倍にする事も出来る。 そんな目に見えないものと常に共存している私たち。 人は感情に左右されながら生きている。 敢えて流されてみたり、歯向かってみたり。 そうやってなんとかここまでやってきた。 でも、誰しもが善悪を持っていて、 自分を守る事が出来なくなってしまうときがある。 そんなときも何とか守ってここまできた。 ここでは、人間のめんどくさい部分が表されているなと思い、 このように読み取ってみました。

1番のサビの部分です。 ”君”というものの答えは、”君以外”は知らない。 相手に聞いて、答えて貰えば終わってしまう事。 それは同時に、 ”僕”の答えも、”僕以外”は知らない。 当たる保証なんて無くても、ずっと考えていることなら出来る。 何でも終わらせることは簡単だけど、 考えている間って、いちばん楽しい時間ではないですか？ 例えば人との会話だったり、クイズの問題だったり。 友情であっても恋愛であっても、相手の事を考えていると 幸せな気持ちになってきませんか？ そういった、僕の心の中を見せている歌詞だと思います。

2番のAメロにあたる部分です。 君のことを考えている時間は幸せなとき。 でもそれは、同時に悲しみにもなる。 いくら考えても答えは解らない。 でも、終わらないから安心する。 ひねくれ者の考え方ですね。 でも何だか可愛い奴だと聴きながら思ってしまいます。

2番のサビ〜エンディングの部分です。 モノに対する保証は、有償であっても欲しいけれど、 ヒトを愛する保証は、無償であることで安心すると思います。 ここでは、今までは『心の中』となっていたところが、 『心の声』という表現に変わっています。 言葉の情報量が少なくなっていることがわかります。 曖昧にしていた選択肢の部分を、よりわかりやすい答えとして ”僕”は”君”に伝えています。 いつまでたっても”＝”の関係性に繋がらない、 もどかしい気持ちが現れている部分だと感じました。 好きだけど、好きだと言ったらこの関係が終わってしまいそうな気がして、 前に一歩踏み出せない。 その先に進みたいけど、進みたくない。 最後まで天邪鬼な”僕”。

ボーカルの尾崎世界観は、 「僕は君の答えになりたいな」という曲をひとつの手段として使って、 いつも応援してくれている人への感謝の気持ちと愛する気持ちを、 ひとりひとりに伝えているように感じました。 確か、このアルバムのツアーの曲フリで、そんな感じの事を 言っていたような気がします。 不特定多数の人から選ぶことは出来ない、 けど、ひとりひとりに愛していると伝えたい。 ステージの上に立つ人だからこそ 感じることを、しっとりと歌い上げている曲です。