本当は誰にも 心開けない
週末の 賑わう街
わけもなく涙が出た
I need you
出典: 明日を夢見て/作詞:坂井泉水 作曲:大野愛果
寂しさを紛らわせるため、街中に出かけたのでしょう。
週末だったので街は人で溢れていました。
人ごみに行けば気分が変わると思っていたのに、かえって寂しさが増してしまったようです。
大勢の中にいることで、自分はひとりなんだということを余計感じてしまったのかもしれません。
誰にも心を開けない、つまり君にしか心を開ける相手はいないんですね。
そう気づいた途端、涙を止めることができなくなりました。
君が必要なんだよ。
言葉にならない心からの叫びが聞こえます。
迷い
明日を夢見て 強がっては
夢の入り口に やっとせっかく立ったのに
出典: 明日を夢見て/作詞:坂井泉水 作曲:大野愛果
ずっと強がって頑張ってきたんですね。
その努力が報われ、とうとう夢の入り口に立てたようです。
そう、ここでの夢は、明日にはきっと、と毎日見ていたずっと叶えたかった夢でしょう。
なので本来ならもっともっと喜んでいいはずです。
それなのに様子が変です、なんだかあまり嬉しそうではありません。
このフレーズの後に来る言葉を想像してみましょう。
「何か物足りない」
「どうしてかあまり嬉しくない」
「心から喜べない」
といったところでしょうか。
夢の入り口に立ったことを一緒に喜んでくれるはずの君が傍にいないからなのでしょう。
せっかくのチャンスなのに、どうやら寂しさのほうが上回ってしまっているようです。
かなりの喪失感を感じさせます。
救い
誰にも 言えないことがあっても
皆それぞれだけど
お互い思いやりながら 生きている
出典: 明日を夢見て/作詞:坂井泉水 作曲:大野愛果
『鴨の水掻き』という慣用句をご存知ですか?
鴨は気楽そうに水に浮かんでいるが,水面下では水搔きを絶えず動かしている状態を表す言葉です。
このことから人知れぬ苦労があることの例えとして使われます。
幸せそうに見えた人が実はそうではなかったと後で知って驚いた、なんてことありますよね。
人はそれぞれ、他人には言えないことを抱えているんだと、今の心情を吐露する場面です。
平凡な歌詞ならそれで終わるところ、それでも人はお互いを思いやりながら生きていると表現しています。
ZARD坂井の人間関係についての優しい視点を感じる部分です。
欲求
君の電話の声を聴くと
泣きたくなる 強い私でも
傷つけ合って それでも また会いたくて
いつだってピリオドと背中合わせ
出典: 明日を夢見て/作詞:坂井泉水 作曲:大野愛果
ここでまず注目したいのは"強い私"と言っていることです。
自分を強いと表現する人ほど、実際は強くないことのほうが多いのではないでしょうか。
強くないから強いと自己暗示をかけないと前に進むことができないのかもしれません。
現に電話の声を聴くだけで泣きたくなってしまうなんて、主人公は弱い人間なんですよ。
傷つけ合ってもまた会いたくなるのは、君が必要不可欠な存在だからでしょう。
それなのにふたりの間には、いつも別れの空気が漂っていたんです。
好きであればあるほど相手に求めるものが多くなり、思い通りにならないとすぐに別れを切り出す。
そんなギリギリの関係をずっと続けてきたふたりなんですね。
気づき
君は返事に困っていたね
隠せない その表情(かお)を思い出すたびに…I miss you
出典: 明日を夢見て/作詞:坂井泉水 作曲:大野愛果
でも主人公は待ちきれなくなってしまったのでしょう。
とうとう最後通告を突き付けてしまったようです。
君が期待する応えをしてくれると思っていたのでしょうか。
それとも、君が返事できないことを知っていながら、問い詰めたのでしょうか。
どちらにしても君を困らせてしまったようです。
君はとても正直な人だったんですね、表情に出てしまいました。
困った表情ということは、期待する応えではなかったことは優に想像できます。
その時の顔が脳裏に焼き付いて離れない、そして忘れられないんですね、きっと。