「beloved」というドラマ
2011年8月31日発表、浜崎あゆみの通算2作目のミニ・アルバム「FIVE」。
オリコン・アルバム・チャートで第1位を獲得しました。
このミニ・アルバムに収録された楽曲「beloved」の歌詞について解説いたします。
ピアノやストリングスをバックにしたしっとりとしたラブバラードです。
社会の中で孤立してしまいがちな性格の男子が主人公。
そんな彼を支えてくれる女性への感謝が歌われています。
愛し合いながら生きてゆく際の理想の姿が描かれているでしょう。
浜崎あゆみ自身の恋愛哲学や人生哲学が様々な形で展開されているようで興味深いです。
今、何か悩めることがある人にも勇気になる歌詞になっています。
誰かと一緒に生きてゆくことの大切さや、その際に大切な心持ちなど。
この楽曲「beloved」から得られる教訓は非常に多いです。
それでは実際の歌詞をご覧いただきましょう。
心に茨を持った少年
若く刺々しく手に負えない
昨日の僕はまた うまく歩けなくて
言葉振り回して 誰かを傷つけたよ
今日の僕はそして 後ろ指を指されて
冷たい視線さける ように俯いているよ
出典: beloved/作詞:ayumi hamasaki 作曲:Yasuhiko Hoshino
歌い出しの歌詞になります。
登場人物は語り手の僕とそのパートナーであるあなたです。
語り手の僕は心に茨を持った少年であります。
若い頃は言葉を誠意のために使うことが気恥ずかしくて刺々しい感じになることがよくあるものです。
歳を経るごとにそうした刺々しさは消えてゆきますが、僕はまだ青春の盛りの中にいます。
自分をうまくハンドルできないために様々な苦労を自ら背負い込んでしまう僕。
後悔する気持ちはあるようですが、こうした「癖」のようなものが失くなるのはまだ先のことでしょう。
僕の年齢は明示されませんが思春期の青少年であることが分かります。
浜崎あゆみは常に若いリスナーのために歌詞を書き綴っているのです。
所謂、難しい歳頃の人を支援したい思いがあるのかもしれません。
社会不適合な僕の未来
社会はどうしても爪弾きものを生み出してしまいます。
刺々しさを隠せない僕も否応なくそうした存在として扱われるのです。
この歌の登場人物は僕とあなたですがその他無数の社会の成員が陰に含まれています。
僕はおそらく学生でしょう。
社会人である可能性もありますが、社会に出ると棘は否応なく折られます。
学生時代のような棘があっても生きてはいける社会に僕はいるのです。
僕は人を傷付けていることを問題視されて社会から疎外されます。
その非はもちろん僕自身にあるはずです。
爪弾きにする社会の不寛容も問題ですが、かといって言葉で人を傷つけていいという訳にはなりません。
僕は自分自身を持て余しながら日々を生きているのでしょう。
大きな不満がある訳でもないのにささいなことに苛立ってしまう。
協調性のようなものに価値を見出だせない歳頃なのです。
自分で自分の首を絞めているようですが、こうした日々から抜け出すチャンスが中々ないのでしょう。
他人の視線は気になっているのですから、すべてを拒絶している訳ではありません。
馴染みたい気持ちはあるのについ誰かに当たってしまって疎まれてしまうのです。
自分らしさを最優先
僕のことあなたにはどう見える
ねぇどんな風に見えてる?
どんな風に映ってる?
ねぇあなただけは本当を聞かせて
間違った時は叱って
いつまでも変わらない あなたのままで
ただそこに そこに居て欲しい
いつまでも変われない 僕のまんまで
ぎこちない笑顔だけど 側に 側に居させて
出典: beloved/作詞:ayumi hamasaki 作曲:Yasuhiko Hoshino
あなたに僕のことがどう見えるのか尋ねます。
僕は自分だけが間違っているのか、社会の方にも不寛容な側面があるのか悩んでいるのです。
その判断を信頼するあなただけに委ねます。
社会的な判断に自分を委ねるのではないのです。
自分の信用する人にとってどう見えるかだけが大事だと考えています。
社会性を捨て去って生きることを決めるのでしたらこうした選択もあっていいはずでしょう。
ただし、人は成長してゆくごとに社会に馴致されてゆく存在です。
反抗的な若者を飼い慣らすことができないほど社会は無能力じゃないでしょう。
やがて僕も社会に飲まれてゆく未来が訪れます。
しかし学生時代の今だけは自分が心を許す人に評価されればそれでいいと願うのです。
おそらく社会人と幸せの基準や優先する価値などがまるで違うのでしょう。
若い人にとってはまず自我を確立することが最優先事項なのです。
僕も自分らしさにこだわります。
その一方であなたにとっても僕の言動が目に余るときは迷わず叱って欲しいと願うのです。
あなたにまで疎まれたくはないという思いもあるでしょう。
何よりもあなたは物事をフェアな視点で見ているのではないかと信頼しているのです。
歳上の女性をパートナーにして
僕とあなたの固い「絆」を思い知らされます。
若い歳頃の僕がパートナーをあなたと呼ぶのですから歳上の女性かもしれません。
刺々しい側面がある尖った僕を包み込めるのは歳上の女性じゃないと無理な気もします。
若い男子にとって歳上の女性は憧れです。
大人の世界へ背伸びするためにもこうした女性が必要なのかもしれません。
そうはいってもあなたもまだ若い女性です。
あなたはあなた自身のリズムによってどんどん成長してゆきます。
僕と出会った頃のあなたとはすでに違った大人の女性になっているかもしれません。
それでも僕はあなたの「らしさ」のようなものは不変であって欲しいと願うのです。
何ごとにもまっすぐなせいで社会と衝突する僕。
このまっすぐさをあなたにも投影しているのです。
僕はもう少し大人になった方がいいようにリスナーの視点からは思ってしまいます。
そんなリスナーの期待も気にせずに僕も自分らしさを貫きたいと祈るのです。
いつの日かあなたに呆れられる可能性を気にしています。
そんな日にも側にいたいと願う健気な心を持っているのです。
周囲の若者が柔軟さを身に着けている中で不器用なくらいにまっすぐなために僕は損をしています。
若い頃に誓う愛は残酷なくらいに短命です。
それでも僕はあなたとの永遠の愛を誓います。
あなたを愛することが僕にとって第一義の価値を持つものなのです。