君が笑っているのが何よりも愛しい
中でも「唯風と太陽」は、もっともピュアな気持ちが表れていると言っても過言ではありません。
言葉にならない想いを頭の中で繰り返しながら、君を見つめる日々が続きます。
ただ見とれていたよ
クラスの窓の外を
君は輪の中で
目が消える笑顔
グーの手を口に当てて
出典: 唯風と太陽/作詞:片岡健太 作曲:小川貴之
物語の主人公・僕は学生で、同じ学校に通う「君」に恋をしています。
青春真っ盛りの初々しい気持ちが、歌い出しから伝わってくるようです。
僕は遠くから君を見つめるだけの存在
教室の窓から外を眺めていると、そこには大好きな「君」の姿がありました。
この場所から君を見つめるのは、僕にとっていつものこと。
隣で笑い合えるなんて夢のまた夢、遠くから見ているだけで満足……そんな日々が続きます。
高い窓から見下ろすと、外にはたくさんの生徒の姿があるのでしょう。
しかし、輝いて見える君の姿は、どこにいても見つけることができます。
君はクラスの中心人物
君はいつだって大勢に囲まれていて、クラスでも人気者です。
君の周りには笑顔が溢れていて、周りにいる人も楽しそう……。
そんな輝く輪の中に、僕はなかなか入っていけません。
顔中で喜びを表したような君の笑顔は、僕にとってはまぶしすぎる。
僕は、自分とあの子の「差」を埋めることができません。
風が都合良く吹いて
その笑顔の先が僕ならいい
ああ、夢みたい
ああ、情けない
妄想をして
過ごしているよ
出典: 唯風と太陽/作詞:片岡健太 作曲:小川貴之
突然風が吹いて、君が思わず視線を上げて……。
教室の窓から見下ろしている僕に気がついて、にっこりと笑いかけてくれたら。
自然の力を頼ってばかりの自分に、いたたまれない気持ちになってしまいます。
しかし、自分に向けられた君の笑顔を想像するたびに、心が浮足立ってしまうのです。
いつかそんな日が来たらいいな……。
この時の僕には、まだ仲を進展させる勇気はありません。
感じた胸の痛みをそっと育てていく
君が君が
笑っていた
それだけで嬉しい
君がくれた
胸の痛み
育てていくんだよ
いつか言葉が
走り出す時まで
出典: 唯風と太陽/作詞:片岡健太 作曲:小川貴之
話しかけてほしい、隣に並んで歩きたい、付き合ってほしい、願いだけならたくさんあります。
しかし、今はただ君の笑顔が見られたら、それで満足できるのです。
多くは望まないから、せめてずっと笑っていてほしい……。
そんな小さな小さな願いは、いつか実を結んでくれるのでしょうか。
君が僕に笑いかけることはないけれど……
君の笑顔を望むと同時に、何も出来ない自分に腹が立つのも事実です。
どうして僕には勇気がないんだろう……と、自分を責めてしまうかもしれません。
自分の中のもどかしい気持ちは、チクリとうずく胸の痛みが教えてくれます。
このままでいいわけない。
本当はもっと近くにいたい。
押し殺した気持ちが痛みとなって、外に出ようとしているのです。
なぜ「痛み」を育てるのか
たくさんの葛藤と、君への想いが頭の中を駆け巡っている毎日。
しかしその想いはまだ、文章を紡ぐほど形になってはくれません。
ああでもない、こうでもないと考えを巡らせても、うまく言葉になってはくれないのです。
だから今はこの痛みを抱えたまま、いつか想いを伝えられたら……と祈るしかありません。
溢れた想いが言葉になる日まで、誰にも知られてはいけない……。
思いが溢れ出すその日まで、1人でひっそりと育てていかなければならないのです。