東京女子流「ラストロマンス」と「アーティスト宣言」の撤回
「アーティスト宣言」の撤回
思い出して頂きたいのは、東京女子流が2015年1月に行った「アーティスト宣言」です。
これは、「私たちはアイドルではなく、本格的な音楽アーティストである」という、東京女子流による宣言でした。
この宣言により東京女子流の音楽性が高まったという評価がある一方で、「アイドル」と名前が付くイベント・番組に出演できなくなったという弊害もあります。
そこで、2017年6月、東京女子流は「『アーティスト宣言』の撤回」を行ったんです。
6月上旬、「TOKYO IDOL FESTIVAL 2017」への出演が3年ぶりに決定。6月26日、GYAOにスペシャル動画を掲載し、「当時のスタッフのかじ取りであったが、結果的に活動を狭めてしまった」。「アイドル、アーティスト受け取り方はどっちでもいい」。「女子流は女子流でしかない」と、2015年1月に行った「アーティスト宣言」を事実上撤回した。
出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/東京女子流
宣言の撤回は、決して「東京女子流はアーティストではない」という宣言ではありません。
まず、東京女子流は「アーティスト宣言」により、自分自身にレッテルを貼ってしまいました。
つまり、「東京女子流はアーティストなんだから、アイドルのような活動を行ってはいけない。楽曲は本格派でなければならない」という考え方です。
それによって「アーティストらしい曲を作らなければならない」という観念に囚われてしまったんですね。
ですが、アーティストらしさの定義はさまざまですし、「アイドル」と称されても高い音楽性を持つグループだっています。
「アーティスト宣言」により、東京女子流は自らの活動の幅を狭めてしまったのです!
そこで「定義ではなく、音楽そのものにこだわりたい」という理由で、東京女子流は「アーティスト宣言」を撤回したんですね。
「ラストロマンス」は原点回帰だった!
「それで、『ラストロマンス』と『アーティスト宣言』の撤回にどんな関係があるの?」とお思いの方もいるかもしれません。
実は、「ラストロマンス」は2017年6月の東京女子流「アーティスト宣言」撤回後初のシングルなんです!
正確には、2017年7月にもシングル「water lily 〜睡蓮〜」がリリースされていますが、宣言撤回前に製作されたものです。
そのため、「ラストロマンス」は東京女子流の原点回帰を象徴する作品であると言えるんですね。
「ラストロマンス」MVのテーマは?
「ラストロマンス」が、東京女子流の原点回帰を意味する曲であるということは、MVにも表れています。
女性の頭に青いペンキがかけられる映像が逆再生される場面から「ラストロマンス」MVは始まります。
そして、東京女子流の4人が、暗い部屋で人形のように規則正しく踊っていますね。
マネキン、時計など…さまざまな物にかかった青ペンキが宙に吸い込まれていきます。
「どうしようもない」「世界が終わったら」といった、諦めの感情を表す歌詞が続きます。
テーマは「破壊からの再生」だ!
そして、粉々になった球体のようなものが宙に浮かんでいる場面になります。
ですが、球体は徐々に固まり、元の形に戻ろうとしていきますね。
それと同時に、暗い部屋にいた東京女子流の4人が、青空が広がる海辺へと移動します!
壊されたものが元に戻る、そして、閉塞感のある暗い空間から明るい場所へと旅立つ。
「ラストロマンス」のMVは、「破壊からの再生」を意味しているんです。
「アーティスト宣言」という、厳粛で重苦しい場所から東京女子流が解放された、とも解釈できるでしょうか。
「ラストロマンス」の歌詞を解釈!
先ほどもご紹介しましたが、東京女子流「ラストロマンス」の歌詞は諦めの境地から始まります。
波打つ音に目を閉じて
きみの鼓動のリズムを思い出している
生まれ変わらない細胞がまだ
体温を忘れてはくれないの
永遠だって誓っちゃったわりに
あっけないおとぎ話が終わっても
死んじゃえもしないよ
ねえ どうしようもないよね
どうしようもないよね
どうしようもないよね
どうしようもないよね
どうしようもないよね
出典: ラストロマンス/作詞:春ねむり 作曲:春ねむり