努力したことをアピールしなければひんしゅくを買わずに済みます。
陰口を叩かれることもきっとないでしょう。
努力の痕跡を隠して結果だけを公開すれば、能力の高さが称賛されるでしょう。
本人が自分のポテンシャルを低く言えば言うほど結果とのギャップが大きくなり、更に褒めてもらえるかもしれません。
だから自分に嘘をついて、謙虚な姿勢を演じるのです。
しかし心の中ではそれが正しいことではないのだと感じているようですね。
思ったとおりに言えばいい。努力したなら「大変でした」と言えばいい。分からなければそう言えばいい。
そうしなければ後々苦しくなるのだと分かっているのです。
自分の中で正しさを求める自分と、正論を疎ましく思う自分が対立しています。
背伸びをしない自分を受け入れる
誰かが願ってもこの世界はきっと
優しくはならないとわかっているけど
自分自身くらいは愛してやれよ
君だけは敵にならないで
出典: クローバー/作詞:Yurin 作曲:Yurin
人と人との関係性や立場が数字によって可視化されている時代。
ひとりでも多くの人と繋がるために自分を盛ったり人を蹴落としたりするケースもあるでしょう。
自分自身を認めるためには、他人よりも多くのものを持っていなければならないという強迫観念があるのです。
しかしこうして足掻いて嘘をついて人を傷つけながら得た「もの」で、幸せになれるのでしょうか。
高級ブランドのハイヒールを履いても、歩き方が下手であれば格好悪いだけです。
加工満載の自撮り画像が独り歩きをしてしまったら、それはもう自分ではありません。
身の丈に合わないものは、どうしたって浮いてしまいます。
ですからこの曲では、今ここにいる等身大の自分を認めてあげようよと歌っています。
世界中にいる人々全てに愛を向けるなんて到底ムリな話ですが、自分自身ならどうにかなるでしょう。
頑張った自分を褒め、本心を口に出した自分を労う。
惰性で属していた集団から抜けて自分の意思を示した自分に称賛を贈れるのは、自分自身です。
思い出と引き換えに手放したもの
日を追うごとに今は過去になり、思い出が増えていきます。
積み重なっていく思い出の中で、等身大の自分でいられた時間はどれぐらいあったのでしょうか。
自由だった頃もあったのに
歳を重ねてゆくたびに 思い出すこと ふえた
何でもない夏空の下で 不意に涙が溢れて止まない
出典: クローバー/作詞:Yurin 作曲:Yurin
きっと幼い頃は本当の意味で自由であり、感じるままに生きていられたはずです。
あの頃と何ひとつ変わらない夏の青い空を見ていると、嫌でも「変わってしまった自分」に目が行きます。
雲ひとつない空に何を描こうが自由なのに、今は何も描けないのです。
頑張っている自分を好きになる
どれ程願っても叶わないことは
あるんだと勝手に決めつけていた
それでも愛すべきものがあるのなら
君は何度でも立ち上がれる
出典: クローバー/作詞:Yurin 作曲:Yurin
まだ試してもいないくせに「絶対に無理だ」と思って諦めた経験はありませんか?
万にひとつの可能性があっても、失敗したときの周囲の目を想像すると諦めざるを得なかったりします。
無理ではないかもしれないけれど「無理に決まっている」と自分を納得させてしまうのです。
これもまた自分に対する嘘ですね。
しかしどんなに壮大な理想でも、それを叶えたいと願う自分を愛せたら、どうでしょうか。
叶わなくても努力した過程をしっかりと褒め称え、もう一度頑張ろうよと鼓舞することができるはずです。
人の目よりも自分が自分に向ける目を信じていられます。
多分うまくいく
自分を愛してあげる、といっても具体的にはどのようにすれば良いのでしょうか。
あまり難しいことではないようです。
自分の痛みは自分が一番知っている
雨に降られたって走ってきたんだよな
足がもつれたって止まれなかったよな
少しずつでもいい 立ち止まってもいい
君は君の為にあるんだ
出典: クローバー/作詞:Yurin 作曲:Yurin