3枚目のシングル「ハルラブ」
3枚目のシングル「ハルラブ」は大切な場所、かけがえのない青春を共に過ごした人や場所との別離を描いた曲です。
一見するといわば遠距離恋愛曲。
関西出身で歌手を志して15歳で上京したユミとハミは遠距離恋愛も経験していたそう。
そんな彼女たちが歌う「ハルラブ」。
切ない歌声が聴いている人の心にじーんと歌詞が沁み渡っていきます。
聴けば聴くほど様々な景色が見えてくる!
一見すると遠距離恋愛曲の「ハルラブ」。
しかし、何度も何度も聴いているうちに様々な気持ちを呼び起こさせてくれるんです。
聴く時・聴く場所・聴く気持ち…それぞれに違う景色を見せてくれます。
「ハルラブ」はそんな不思議な魅力を持っている旅立ちの曲です。
「ハルラブ」歌詞を読み解く!
不思議な魅力を持っている曲、「ハルラブ」。
歌詞に込められた意味や想いが気になります。
曲の序盤では登場人物の様々な気持ちが交錯しているようです。
寂しい・不安・期待・前に進まなくちゃ・笑わなくちゃ…
なんとなくぎこちなさを感じる、そんな雰囲気が伝わってきます。
旅立つ不安、見送る寂しさ
『行こっか』 もう進まなくちゃ
いつもと違う声でキミが言うから
平気なフリ続けらんない
ねぇ…色々あったね
いい事も。悪いことだって…覚えてる?
出典: ハルラブ/作詞:Maiko、Hami 作曲:イワツボコーダイ
ここに登場してくる『行こっか』と言った「キミ」とは旅立つ人・見送る人どちらなのでしょうか?
2行目の「声」から、不安や寂しさが感じられます。
新しい土地で前に進む事への不安からいつもと様子が違って感じる「声」になった旅立つ人が言った言葉と考えられます。
しかし、笑顔で見送って背中を押してあげなくちゃ!でも寂しい…。
そんな気持ちの見送る人であるとも解釈できます。
『行こっか』
この一言に入っている気持ちはきっと、寂しさと、不安。そして、覚悟のように感じます。
前に進む事を決めた時から旅立ちの今日まで、不安と寂しさだけは隠してふたりは過ごしてきたのでしょう。
「平気なフリ」を続けてきたんですね。
でも、今日の『行こっか』はいつもと違う。
そんな「キミ」のいつもと違う様子を感じて今までの思い出と共に隠してきた不安と寂しさが溢れます。
しかしきっとここでも必死でお互いに平気なフリをして思い出話を笑いながら話しているのでしょう。
もう”大人”だから。でも…。
旅立ちや別れは人を大人にさせてくれます。
大人だからこそ前に進まなくてはいけない、別れを選択しなければいけない場面もあります。
でも、”大人だから”のひとことだけでは踏み切れない気持ちを歌っています。
大人になりたいけど、大人になりきれない
時間ばかり過ぎて、見た目は大人で
背伸びしてみたって、ホントは子供で
上手く歩けるかな?? いつも語ってた
それぞれが選んだ 新たな道
出典: ハルラブ/作詞:Maiko、Hami 作曲:イワツボコーダイ
たくさん迷って、悩んで、考えて…。 そんなことをしている間に気づけば時間ばかりが過ぎてしまっていた。
人生において大切な事を決めるとき、そんな経験をした人も多いのではないでしょうか。
どうしようか立ち止まっているうちに、年はしっかり重ねているのに、心はあの頃の子供のままです。
「ちゃんとやれるかな?だいじょうぶだよね。」
そうふたりで話していたあの頃と今の自分は何も変わっていないのです。
大人になったから、叶えられる事があります。
でも、大人になったからこそ、諦めてしまう事もあります。
反対に、子供だからこそ、叶えられない事があります。
でも、子供だからこそ、背伸びして踏み出せる事もあります。
きっと曲中の主人公は子供と大人の狭間なのです。
今前に進まなければきっと自分は心まで大人になって新たな道を諦めてしまうだろう。
だけど自分の夢のために温かい場所を離れたくないしやっぱり不安…。
そんなグラグラと揺れ動く気持ちが伝わってきます。
背伸びをして大人になりたかった子供の自分。
そして背伸びをしなくても大人になりかけている見た目だけは大人の自分。
そんなあの頃の自分と今の自分を重ね合わせながら、前に進む自分自身にエールを送っているようなフレーズです。
不安だけど、寂しいけれど。
ここでは前向きな気持ちと、後ろ向きな気持ちが様々な箇所に散りばめられています。
不安だけど、寂しいけれど、もう、行かなくちゃ。
自分の選んだ道。それは間違っているのか、正解なのか今は分からないのです。
確かなことは「キミ」はそれを精一杯応援して送り出してくれるということです。
だから、自分もそんなキミの気持ちに応えなくちゃ。
迷っている自分が居ないと言っては嘘になる。
前に進む時に一番様々な気持ちが心に浮かんでくるのは、初めの一歩を踏み出すときです。
そしてそんな様々な気持ちを抱えながら前に進もうとしている人を見送る時なのではないでしょうか。