アルバム「20XX」のリード曲
リリースに先駆けMVを公開
若者から絶大な支持を誇るバンド、神様、僕は気づいてしまった。
今回は彼らが2019年5月15日にリリースするアルバム「20XX」のリード曲、「20XX」をピックアップします。
神様、僕は気づいてしまったの魅力は、固定概念に囚われないメッセージ。
歌詞、メロディ、演出、その全てから心の叫びが感じ取れるのです。
アルバムリリースに先駆け、YouTubeには「20XX」のMVが公開されました。
今回のMVもカッコいい演奏シーンに合わせて、メッセージ性の感じられる演出がされています。
MVを通して何を伝えたいのか、読み解いていきましょう。
MVのテーマは「時間」
サイケデリックな演出
映し出されるデジタルタイマーと共に演奏を繰り広げるメンバー。
シンプルながら、サイケデリックな色使いやカメラワークが芸術的です。
仮面に覆われて表情がわからないのに、「焦り」や「悲痛な叫び」が読み取れる気がします。
サウンドや演出の為せる業といえるでしょう。
なぜ「時間」なのか?
刻々と表示される数字は「時間」が過ぎていく様子を表現しています。
垣間見える「焦り」は、「もう残された時間は少ない」というタイムリミットによるもの。
そして、タイトル「20XX」の「XX」は変化する時代を表現していると推測できます。
では、なぜ「時間」がMVのテーマになるのでしょうか?
歌詞からその理由を探ってみましょう。
生き抜くことに精一杯
救われないのなら
わかってる いやわかってる
僕等は知らな過ぎたんだろ
答えてよ なら答えてよ
どれくらい希望を待っていりゃ迎えが来るんだよ
救いなんてない時代
言葉など甲斐もない無価値 違うか
そんなポンコツに縋んなよ
出典: 20XX/作詞:東野へいと 作曲:東野へいと
早速、時間を連想させる「時代」という言葉が出てきました。
このフレーズで歌われているのは現在の自分の状況。
希望を持っていたって誰も救ってくれない「現在」に失望しています。
いや、自暴自棄にすらなっている印象です。
そもそも他人に助けてもらうことを願う時点で、自分自身で解決する力はとうに失っているのでしょう。
こんな時代に生きている価値なんてない…。
生きることを諦め、今生きる世界からの脱却を望んでいるのではないでしょうか。
世界の「テンポ」とズレるのは誰?
モデラートなペースで廻る世界
滑って落ちんのはどなた様
ふかした顔をした化け猫が
転ぶ 果てる さぁ一抜けた
空っぽのままでも迫る未来
終わってしまうならその程度
笑っても泣いてもこいつが最終便だろ
出典: 20XX/作詞:東野へいと 作曲:東野へいと
「モデラート」とは楽曲の「テンポ」を示す音楽用語で、「中庸の速さで」という意味。
つまり、中ぐらいの「テンポ」を示しています。
この世界で生き抜くことを、刻まれる「テンポ」に合わせて演奏することに例えているのです。
焦って世界の「テンポ」よりも速く刻んでしまえば、脱落する…。
これは「世界の常識に合わせて無難に生きないと追放されてしまう」と解釈できます。
自分の思うままに生きることができていないのでしょう。
MVで表示される数字にはこの「テンポ」の意味も込められていると推測できます。
そして、時間はある意味残酷です。
どれだけ心が空っぽな状態でも、「テンポ」に合わせて生きていれば未来へと行きつき、寿命を全うします。
追いつくことに必死で生きてきた胸の内は、いつまでも満たされません。
これがMVから読み取れた「焦り」の正体なのでしょう。