1960年代の粋
映画とのタイアップで
「二人の世界」は当時よくみられた映画とのタイアップ作品です。
当時の状況を覗いてみましょう。
ムードアクション映画
「二人の世界」は1965年に曲が、続いて1966年に映画が発表されています。
曲を歌った石原裕次郎が映画の主演もつとめました。
日活ムードアクションは当時、とにかく人気があったジャンルの映画です。
準主役に二谷英明、マドンナは浅丘ルリ子。
「二人の世界」も当時のスターが集結し、華やかさが伝わってきます。
映画の内容は重大事件と恋愛とを絡めたもので、人間の心理を描いた作品です。
映画の内容と曲の歌詞とは一見するとかけ離れていますがムードはぴったりでしょう。
男の悲しみと、夜の世界の雰囲気が何とも哀愁を誘います。
口説かれて
君の横顔 素敵だぜ
すねたその瞳(め)が 好きなのさ
もっとお寄りよ 離れずに踊ろうよ
小さなフロアーの ナイトクラブ
夢の世界さ
出典: 二人の世界/作詞:池田充男 作曲:鶴岡雅義
夜のお店の一角で、今宵一つの恋が花開きます。
静かに寄り添う二人の様子をうかがってみましょう。
先ずは瞳を
主人公の男性は、女性に優しく話しかけています。
男性の中には上手に女性を褒めることができない人も多いものです。
主人公は照れることなく目の前の女性の雰囲気や容姿を褒めていきます。
褒められて嫌な気のする女性はいません。
そもそも一緒に踊っているということは相手の男性を気に入っているということ。
そんな男性にあれこれ褒められ女性は嬉しさ半分、怖さ半分というところでしょうか。
上手に女性を褒めることができるということはかなり女性に慣れた男性でしょう。
女性は主人公の口説きなれた雰囲気に戸惑いながら、甘い誘惑に心が静かに動いていくようです。
ナイトクラブとは
戦後のドラマ、映画でよく耳にするナイトクラブという名称。
最近ではあまり耳にすることも見かけることもないかもしれません。
海外などでは今もときどきその看板を目にすることがあります。
ナイトクラブは、生バンドによる音楽演奏があり、お酒が提供されている場です。
ダンスフロアが用意され、カップルで踊りを楽しむことができる大人の社交場をさすことが多いよう。
よく似た名前の「クラブ」は女性スタッフから男性客が接待を受けるお店をさします。
対してナイトクラブは大人がカップルで訪れそのムードを楽しむ場です。
ナイトクラブのもう一つの特徴は「高級感」でしょう。
実際に「高級」なお店でしたので、大人のカップルが特別なデートで訪れる場所だったと推測できます。
恋の始まり
僕の今夜の ネクタイを
嫉妬(や)いているのは おかしいぜ
君は可愛い 僕だけのものなのさ
ギターが酔わせる ナイトクラブ
影も寄り添う
出典: 二人の世界/作詞:池田充男 作曲:鶴岡雅義