「Runner」の背景に迫る!なぜ走るの?
爆風スランプの「Runner」は誰もがサビを口ずさめるほど、国民的な人気曲といえるでしょう。
12枚目のシングルとしてリリースされたのが1988年なので、リアルタイムなら30代以上。
10代~20代なら小学校の運動会や高校野球・プロ野球の応援歌として知った人も多いでしょう。
江川ほーじん脱退の歌
「Runner」は確かに走る歌ですが、その背景には爆風スランプというバンドの事情があります。
コンテストをきっかけとして1982年に結成された爆風スランプはもともと2つのバンドでした。
「爆風銃」(バップガン)のファンキー末吉さん、江川ほーじんさん。
そして「スーパースランプ」のサンプラザ中野さん、パッパラー河合さんというわけです。
デビュー当時は同じソニー系列のレコード会社に所属していた聖飢魔II(FITZBEATレーベル)、米米CLUB(CBSソニー)と合わせて「ソニー三大色物バンド」と呼ばれていたこともあった。
出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/爆風スランプ
当時はコミックバンドと認識されても仕方がないほど、過激なステージを展開していました。
その方向性にも限界が見えてきて、売れる戦略にシフトする……という流れで生じた軋轢。
それがベース江川ほーじんさん脱退の決意、実際に脱退するまで半年の期間がありました。
そのあいだにどうにかヒット曲を!という思いで作られたのが、「Runner」だったというわけです。
作詞はサンプラザ中野さんですが、脱退する江川ほーじんさんを描いた歌でもあります。
その後の爆風スランプ
爆風スランプのオリジナルメンバーでの活動期間は1982年から1989年。
1989年にベースのバーベQ和佐田さんが加入したものの、1999年には活動を休止します。
そして「スーパースランプ」を再結成した、サンプラザ中野さんとパッパラー河合さん。
「X.Y.Z.→A」のファンキー末吉さんとバーベQ和佐田さん……再び2つのバンドになりました。
その後、爆風スランプとしては期間限定の復活が数回ありましたが……という流れです。
平成30年 Ver.
「Runner」の発売30周年を記念して2018年にリリースされたのが「Runner(平成30年 Ver.)」。
アーティスト名義は「サンプラザ中野くん」です。
ホメオパスを名乗っていた時期もありましたが、2008年の改名後は「くん」がついています。
ギターのパッパラー河合さんも参加している「Runner(平成30年 Ver.)」。
爆風スランプというバンドの歴史を考えると、涙が止まらないMVに仕上がっています。
最初は「え?増田明美さん?瀬古利彦さん?」と豪華すぎる元マラソン選手の登場にニヤリ。
次々とバトンが手渡され、リレーの銀メダリスト飯塚翔太選手が登場する頃には号泣です。
歌詞を徹底解釈!
さて「Runner」の歌詞……ですが、もうひとつ号泣必至のエピソードを投下しましょう。
「Runner」発売30周年を記念して放送されたラジオ番組「オールナイトニッポン」での発言です。
サンプラザ中野くんは千葉県立東葛飾高校時代、陸上部でやり投げをしていました。
ところが運動は得意ではなかったそうです。なぜなら幼い頃、右半身に障害があったから。
それなのに陸上を選んだのは「Runner」を作詞するためだった……30年越しで気づいたそうです。
どうやら感動の涙という雨が降ってきたようですので、ロッカールームで雨宿りしましょう。
戻れない?
雨を避けた ロッカールームで
君はすこし うつむいて
もう戻れはしないだろう
といったね
出典: Runner/作詞:サンプラザ中野 作曲:Newファンキー末吉
実はバンド継続の危機にあった爆風スランプ、苦手なのに陸上部に所属したサンプラザ中野くん。
2つの背景があるため、歌詞の登場人物も陸上部の少年と江川ほーじんさんの2人が重なります。
陸上少年は「部活を続けられない」、江川ほーじんさんは「バンドを続けられない」という話です。
運動場で部活をしていたら雨が降ってきて、ロッカールームで雨宿り。
涙という雨を避けるためにライブ会場や事務所のロッカールームへ逃げ込んだとも考えられます。