大人の世界は退廃的

全然興味ないって 蝶が舞い込めば
想像通りだった といえば嘘になるが
退廃的だった コーヒーの泡を溢した
そんなそんな 毎日だった 僕の前に
現れた君は

出典: トーキョーゲットー/作詞:Eve 作曲:Eve

「全然興味ないって」の部分をMVで見ると、怪物(=大人)がライターをいじっていることが確認できます。

そして、その背景には青年の影が映っているのです。

恐らく、青年はタバコなどの「大人の娯楽」にちょっと興味があったのではないでしょうか。

でも、やっぱり大人の世界は「退廃的」とすぐに否定しています。

タバコやお酒でしかストレスを解消できないような大人の世界を否定する青年。

そんな青年にとって、唯一輝いて見えたもの。

それが君(=「子供の心」を擬人化した少女)でした。

徐々に大人になる中で青年が感じたことは?

(※1)どうしたってどうしたって 進めないままだ
ヒッピーなこの街の性に
どうやってどうやって 理由を
"大事なんだ全部" 聞こえだけはいいけれど

出典: トーキョーゲットー/作詞:Eve 作曲:Eve

いつまでも子供のままでいたい。

社会になんか出たくない。

そんな憧れのような気持ちを抱いてはみるものの、その理想を手に入れることはなかなかできません。

ここの部分では、徐々に大人になっている青年の焦りや理想を表現している歌詞のように感じられます。

揺れる気持ちを描いた歌詞

(※2)向こう側から突如現れて 気づけば 
連れていかれてしまいそうな僕ら
手放す事に怯えて君は今日もステイ

出典: トーキョーゲットー/作詞:Eve 作曲:Eve

「連れていかれてしまいそう」というのは、大人になって社会に飲まれることを恐らく指しています。

青年の理想である「社会に出たくない」という思いを実現させるのは簡単なことではありません。

大人になれば自立しないといけないですし、どうにか働いて食べていかないといけないからです。

そのためには社会に出ていくことが必須。

社会に出ると辛いこと不自由なこともたくさん経験しますが、それと引き換えに安定を手に入れることができます。

しかし、自由を捨てて安定をとってしまったら青年の掲げている理想は手に入りません。

そんな揺れる気持ちを描写している歌詞であることが分かります。

大人たちのアドバイスは偽物

貴方々には 貴方々には お世話になった
覚えはないが 何かと言いたいそんな顔していますが
目に映るものが ここに在るもの全てが偽物でした
情にかけたって 棒に振ったって 今に始まる

出典: トーキョーゲットー/作詞:Eve 作曲:Eve

「貴方々」とは青年の周りにいる大人たちのことを指しているのでしょう。

「別に世話になったわけでもないのに、なんでいちいち口を挟んでくるんだよ」といった気持ちが読み取れます。

周りの大人たちのアドバイスは、青年にとっては「偽物」に見えてしまうのです。

自由な気持ちに憧れる青年

精々舌を噛んで そこで黙っていれば
想定通りだった といえば嘘になるが
感傷的だった 君らしくはないが
そんなそんな 表情が一瞬僕の目には
美しく映ってました

出典: トーキョーゲットー/作詞:Eve 作曲:Eve

大人になれば、建前で話さないといけないシーンも増えます。

子供のようにわがままや本音ばかり言っていると嫌われてしまい、自分の立場が危うくなるからです。

そうすると、社会の中で生きていくことが苦しくなっていきます。

そんな状態を回避するために、黙ってやり過ごさないといけないこともあるでしょう。

主人公の青年もそのことは十分わかっているのです。

しかし、頭では理解していても心のどこかでいつも子供のような自由さに憧れてしまいます。

理想を飛び越えていけ!

(※3)ずっとどこかで貴方に憧れその度自分を失いかけていました
本物を超えろ ビビれば君は今日もステイ

(※1 くりかえし)
(※2 くりかえし)
(※3 くりかえし)

出典: トーキョーゲットー/作詞:Eve 作曲:Eve

社会や大人を散々否定してきた青年。

しかし、ここにきて「貴方に憧れ」というワードが出てきます。

先述した「貴方々」の部分では大人たちのことを指していると解釈しました。

なので「貴方に憧れ」というのは「大人に憧れ」と捉えることができます。

きっと、青年はちょっぴり大人に憧れていたのではないでしょうか。

本当は少し大人に憧れているのに、大人になりきれないから自分を見失っているのです。

「偽物」は大人のアドバイス。

だとしたら、ここで登場する「本物」とは青年の理想ではないでしょうか。

「本物を超えろ」といっているので「自分の理想を飛び越えていけ」と捉えることができます。

社会の中でも自由に生きていく道がある!というメッセージが込められているようにも感じますね。

MVの中で、青年は怪物に食べられて社会に飲まれます。

しかし、この描写を肯定的に捉えることもできるのではないでしょうか。

「社会の中でも自由に生きていく方法がきっとある!」

そんな思いを胸に抱いて、社会へと飛び込んでいった。

…なんていう解釈もできるように感じます。