ほんの出来心から、というにはあまりにも大きな過ち。
全てが終わってから大切な人を傷つけたことに気づいても遅い。
朝、帰ってきた「わたし」はパートナーの憔悴しきった表情を見て自分のしたことの重大さを知ります。
直立不動で歌っている林部智史さん。
この「一晩中待ち続けた」のところで両手を上げて胸の下で組みます。
ここは、主人公の女性が衝撃の告白から、後悔の気持ちを伝えるところです。
男性が歌う女性の「あやまち」
サビをどう歌うのか
消えない過ちの 言い訳する前に
貴方に もっと 尽くせたはずね
連れて行って 別離(わかれ)のない国へ
出典: ごめんね・・・/作詞:高橋真梨子 作曲:水島康宏
『ごめんね・・・』のサビは、大変印象的な歌詞と曲です。
言い訳はしないということが、どういう意味を持つのか。
聴く人によって捉え方の違うフレーズ。
カバーする歌い手としてもここをどう歌うかが勝負どころとなります。
言い訳は聞きたくない人、聞きたくないけど言い訳されないのも悲しい人もいます。
パートナーに対して、言い訳するよりもあなたと別れのない世界へ連れて行って欲しいという「わたし」。
取り方によっては、都合の良いことしか言っていないように聞こえます。
林部智史はどう歌う?
林部智史さんの歌唱を見てみましょう。
サビに入ると、マイクスタンドを右手で握り、左手に表情がつき始めました。
サビに入ってからは顔の表情も豊かになり、聴いていても引き込まれます。
ややマイクから離れますが、その分、声が通って盛り上がっていきます。
高音の繊細で力強い響きと小さめのビブラートの美しさが光っていますね。
泣きの貴公子と言われる林部智史さんにぴったりのフレーズといえるでしょう。
泣きの貴公子の本領発揮!
せめて今夜 眠るまで 私を抱きしめて
いつも我がままを 許してくれた 場所まで戻りたい
出典: ごめんね・・・/作詞:高橋真梨子 作曲:水島康宏
短い間奏の後、2番が始まります。
歌詞は、パートナーに許しを願う場面です。
ふざけて他の男性と一夜を過ごした恋人をさらっと許せるものなのでしょうか。
都合良すぎない?と思う反面、主人公の後悔の気持ちが切なすぎるフレーズです。
これまでどんなわがままでも許してくれたパートナー。
その優しさについ甘えてしまった自分を責めても取り返しはつきません。
気持ちの乗った、林部智史さんのボーカルが気持ち良いですね。
消えない過ちに 泣き続けるのなら
このまま 2度と 目覚めたくない
すごく すごく 貴方を苦しめた
出典: ごめんね・・・/作詞:高橋真梨子 作曲:水島康宏
歌詞は最初のサビと違っています。
後悔の気持ちから「2度と目覚めなくていい」という死をも連想させるフレーズ。
パートナーへの愛情が伝わってきます。
MVは、この最も盛り上がるサビをカメラの引きから。
おしゃれ!
ステージの全景が闇の中に沈んで、楽器隊がライトにぼうっと照らされています。
中央に林部智史さんが立っていて、両手をやさしく差し出しています。
この画面に林部智史さんの泣きボイスがぴたっとはまっていますね。
クライマックスへの助走
次の歌詞に入る前に間奏が入ります。
ステージは暗く、林部智史さんの姿も見えなくなりました。
死さえも暗示する気持ちを吐露した後の余韻。
林部智史さんのボーカルと相まって、涙が流れてきます。
そしてクライマックスへ!
滲む街の ビルボード 淋しそうなスケッチ
世界中きっと いちばん 大切な恋を 無くしたのね
出典: ごめんね・・・/作詞:高橋真梨子 作曲:水島康宏
間奏が終わるとシーンが変わっています。
街がにじんでいるのはきっと涙のせい。
パートナーと暮らしていた部屋を出て、街をさまよっている「わたし」。
街の中の何を見ても淋しそうに見えます。
自分にとって一番大切なものを失ってしまった後悔だけが残ります。
それは謝っても謝っても取り返しのつかないこと。