「名も無き世界のエンドロール」主題歌
岩田剛典、新田真剣佑が主演を務めた映画「名も無き世界のエンドロール」。
共に親のいない幼少期を送ってきたキダ・マコト・ヨッチの3人を取り巻く絆の物語です。
2人ともヨッチのことが大好きでありながら、先に告白したのはマコトの方でした。
念願叶って2人は結ばれ、プロポーズをしようとマコトが息巻いていたその日、ある事件が起こるのです。
2人の前から忽然と姿を消し、存在すらもなかったことになってしまったヨッチ。
着々と準備を進めてきた2人は、10年目のある日、1つの壮大な計画を実行しようとしていました。
果たしてヨッチはどこへ消えてしまったのか……。
そして、「プロポーズ大作戦」と名付けた計画は、どんな形で終わりを迎えるのか……。
ラスト20分にひっくり返るストーリーから目が離せません。
そして、2人の愛の始まりから終わりまでを見守ってきたキダ。
そんな彼の想いを散りばめたのが、この「ゆるる」という楽曲なのです。
過去を振り返る
後ろめたくなるのはなぜ?
遠い過去の様に思えるんだ
厚い雲を目に焼き付けていた
何もかもがきっと近過ぎていた
今になって後ろめたくなった
出典: ゆるる/作詞:須田景凪 作曲:須田景凪
キダの想いを代弁しながらも、曲は曲で1つのストーリーになるよう制作されている「ゆるる」。
この楽曲の主人公もまた、過去と現実を比べて暗い気分になっています。
はるか昔のことのようにも思える出来事は、かみしめるたびに昨日のことのように鮮やかに蘇ります。
マコトと出会ったあの日のこと。
ヨッチが2人の前に現れた日のこと。
告白の先を越され、親友である2人が結ばれたこと。
そして、ある日突然ヨッチが姿を消したこと……。
1つ1つの思い出は、あまりに考えすぎて何が正しいのかさえ分からなくなりそうです。
そして、決まって考えるのが「あの時ああしていれば……」という後悔でした。
ヨッチに先に告白していれば。
あの日、ヨッチを1人になんてしなければ……。
今1人で過去を思い悩む日々は来なかったかもしれません。
変わらない日常と変わらない思い出
風が揺るる
水面はうねる
瞬きと共に罪を攫う
ふと切り裂く景色の奥は温もりだけ
出典: ゆるる/作詞:須田景凪 作曲:須田景凪
昨日も、今日も、そして10年前のあの日も、風は変わらずに優しく頬をかすめていきます。
風に揺られた水面は波打ち、そのきらめきが目に飛び込んでくるのです。
景色は全く変わっていないのに、自分たちはどんどんと大人になってしまう……。
記憶の中で、あの時と同じ姿のヨッチと、成長してしまった自分が重なります。
あの日何もできずにいた自分の罪を、和らげてくれるような心地いい景色……。
目に映るもの全てがあたたかく、温もりを持った景色の中で、主人公はただ思い出を巡らせています。
今でもあの時の笑顔のまま、2人に寄り添ってくれるヨッチのようにあたたかい景色の中で。
今は記憶の中にいる「君」
ちゃんと目を見て言って 君の言葉で
最後の魔法は二度と解けないように
明日も君を思い出す 声が朽ちるまで
その頃に魔物にでもなってたら笑えるね
出典: ゆるる/作詞:須田景凪 作曲:須田景凪
どこまでも通るような歌声にのせ、メロディーに加わるストリングスが印象的な1番のサビ。
明日も、明後日も、いつまでも記憶の中の君に語りかける覚悟が感じられます。
君が記憶の中に残り続けるのは、他でもない「君が魔法をかけてくれたから」。
出会ってから別れるまで、1日1日を色づかせてくれたからなのです。
例え君が自分のことを忘れてしまっても、他の場所で幸せになっていようとも……。
主人公の想いが変わることはありません。
この声が朽ちるまで君の名を呼び、頭が働かなくなるまで考え続ける覚悟でいます。
長い年月が経ち、あの頃の自分とは容姿も性格も変わってしまっていたとしても……。
この誓いだけは決して変わることはないのです。
愛が焦がした日々
燃ゆる心
緩やかに日々は焼け焦げていく
気付かないまま燃ゆる心だった
ならばいっそ手離してしまうか
そんな事を考えてしまう
愚かな程に
出典: ゆるる/作詞:須田景凪 作曲:須田景凪