楽曲について
堂村璃羽の楽曲『いつか出会う君へ』。
2020年3月4日に公開されたこの楽曲は、以前Twitter上に上げられていた物の公式版です。
楽曲全体を包み込む穏やかな空気感と今にもちぎれてしまいそうな脆さが内包されています。
いつかは隣に居られる日が来るように、とひたすらに想い憂う心情が投影された歌詞。
YouTubeのコメント欄やSNS各所では、自身の状況と照らし合わせて共感を表明する人ばかり。
切ないラブソングは抽象的な歌詞や比喩表現を多用したものが見られがちです。
しかしながら、堂村璃羽さんの歌詞はそのまま吐き出したのようなストレートさを持っています。
そしてこの楽曲に込められた想いもまた私たち聴き手の心を大きく揺さぶるに違いありません。
早速、歌詞の1つ1つを紐解いていきます!
届けたい想い
タイトルについて
この楽曲のタイトルについてみていきます。
『いつか出会う君へ』という言葉に込められた想いは以下の2つだと解釈します。
- まだ出会っていない未来の恋人に対する漠然とした恋心
- 今寄り添っている君と描いた先の未来を比喩している
現在、大切な人がいる人も、そうでない人にも刺さる歌詞表現。
人間に共通する「誰かを想うこと」を巧みに歌詞に落とし込んでいます。
以下の歌詞では、寄り添ってきた「君」に対する眩しいほどの想いが述べられています。
2人の間に生まれた愛や幸福感、時に出来る溝やどうしようもないほどの壁。
それら喜怒哀楽の感情全てを、1つ1つ汲み取るように優しく切なく歌い上げています。
君への想い
君を愛すのが僕の使命だから
君を守るのが僕の使命だから
君を許すのが僕の使命だから
君を励ますのが僕の使命だから
出典: いつか出会う君へ/作詞:堂村璃羽 作曲:堂村璃羽
まず注目すべきは、4回に渡って同じフレーズを繰り返している歌詞の構造です。
単純なようですが、ここに込められた想いは以下の2つなのではないかと解釈します。
- どうしても君にこの想いを届けたいという強い心情の表れ
- 「このままで居たい」と、君との別離を恐れている心情
この先の歌詞を見ていけば分かるように、君と主人公は恋人関係にあるようです。
その焦燥感だけが先行する主人公の君への心情が何とも楽曲の奥ゆかしさを演出しています。
そして次に注目してほしいのは、この楽曲の始めの歌詞が「君」という言葉で始まる点。
ここから、主人公の君に対する溢れんばかりの想いが伝わってきます。
肯定と受容
終わらせないように
悲しみに溺れてる愛のある君へ
君を守るものは君を泣かす者じゃないから
縛られることはないありのままでいいから
本当の愛のありかを探す旅にでようよ
出典: いつか出会う君へ/作詞:堂村璃羽 作曲:堂村璃羽
ただ優しく君に対して受容している主人公の様子が投影されています。
君を悲しませるものなんてこの世界に必要無い、悲しむことが出来る君は優しい人。
そして、歌詞2行目に述べられていることについて掘り下げていきます。
ここでは一見すると「君への励まし」がなされているように感じられます。
しかしながら、その中で「自分への戒め、覚悟」も内包しているのではないでしょうか。
金輪際、君のことを悲しませないようにするという強い想い。
更に、歌詞4行目ではロマンティックに比喩がなされていますが、いいたいことは1つ。
「ただずっと一緒にいたい」なのだと解釈します。
憂う想いを受け入れて
その笑顔に何度も救われた心で
ありたっけの愛情を産み出していくんだ
幸せの権利なんて誰もがみな持ってる
捨てることはないさ君もその中の一人さ
出典: いつか出会う君へ/作詞:堂村璃羽 作曲:堂村璃羽
これまでの2人の時間の中で、君からもらったものを振り返っています。
君が何気なくする仕草や行動が、主人公の憂う想いを消し去ってきた。
そして、歌詞の3.4行目からは視点が変わって「君の憂い」を感じられます。
決して片方だけに煩悩が纏わりついているわけではない。
この双方の心情の投影が、恋のリアリティを巧みに演出していると解釈出来ます。