「ルイユの螺旋」、鍵となるのは「正義」
正解のない問いに答える
2019年、東海テレビ制作ドラマ「絶対正義」の主題歌を今、大注目のバンド・嘘とカメレオンが担う。
このことは若手J-ROCKバンドの筆頭である嘘とカメレオンの快進撃を伺わせるひとつの事件です。
嘘とカメレオンはこの曲の発表とともに初の全国ワンマンライブ・ツアーを告知します。
さらにミニ・アルバムの発表まで告知。
嘘とカメレオンの一挙一投足にJ-ROCKファンの視線が釘付けになりそうです。
そんな中で発表された「ルイユの螺旋」が大好評であります。
ドラマのファンからの反響も多数です。
一方で「歌詞が謎い」というファンからのコメントがありました。
いつものようにVo.のチャム(.△)による歌詞なのですが嘘とカメレオンらしくねじくれています。
上述の通りこの曲はドラマ「絶対正義」の主題歌として書き下ろされました。
そのためチャム(.△)の正義というものに対する答えらしきものが描写されています。
嘘とカメレオンの歌詞は毎回一筋縄ではいかないものばかり。
この曲「ルイユの螺旋」も同様です。
チャム(.△)と嘘とカメレオンは今回はどんな謎を仕掛けてくれたのでしょうか?
ゆっくり落ち着いて紐解いてゆきます。
タイトル「ルイユの螺旋」とは?
シュールレアリスムの遺産
まず戸惑うのがタイトルの「ルイユの螺旋」の意味です。
ルイユというのは「トロンプ・ルイユ」のこと。
シュールレアリスムが華やかに展開されていた頃に盛んに描かれた「騙し絵」を指します。
「騙し絵」のモチーフによく使われたのが「螺旋階段」です。
チャム(.△)はこの「騙し絵の螺旋階段」と正義に関する議論の堂々巡りが似ていることを指摘します。
単語の「ルイユ」で検索すると料理のブイヤベースが引っかかりますのでご注意ください。
料理ではなく「騙し絵の螺旋階段」つまり正義に関する議論の話をチャム(.△)はしています。
では実際の歌詞を見ていきましょう。
不安げにドラマが開ける
終わりのない議論の姿
どこへ向かうんだろう?
出口のないループの輪
終わりはない
影が迫る
出典: ルイユの螺旋/作詞:チャム(.△) 作曲:渡辺壮亮 チャム(.△) 青山拓心
ドラマは開けたばかり。
まだこの段階では何が何やら分かりません。
それでもドラマの幕開けです。
出口がないというのはおそらく正義に関する議論の行方。
話題や議論が延々とループする有り様について述べています。
一向に終わる気配のない議論。
正義というコンパスを手にしていないのに私たちはいったいどこへ向かうのか?
不安な幕開けです。
嘘とカメレオン、屈指の難曲
理想は甘く現実は苦い
逃げる蜃気楼
器用に着飾る者を隠して
リアルを吸い込んだ果実は苦い
ああ
出典: ルイユの螺旋/作詞:チャム(.△) 作曲:渡辺壮亮 チャム(.△) 青山拓心
解釈も難しいですがカラオケなどで歌うにも結構な難曲です。
改めてチャム(.△)の歌唱力の素晴らしさを実感します。
正義に関する議論では浅はかな根拠に基づくものは逃げ出してゆきます。
着こなしだけが上手な論客も隠れてゆくはず。
真っ向勝負の論客だけが残されます。
理想論は甘く現実は苦い。
過酷な議論の場です。