雨の中の物語、別れを歌う70年代♪神ってる曲?!
歌謡曲とはジャンルが違う音楽が、1960年後半に生まれました。1970年以降には一大ムーブメントになり、70年代フォークとして定着。
イルカさんは1970年にグループデビュー、その後1974年にソロでデビューをした、70年代フォーク界を代表するシンガーです。
小柄な身体に、大き目のオーバーオールがトレードマークのイルカさんには、キュートという言葉がぴったり。
でも一度歌い出すと「低い・ハスキー・しゃがれ」ではくくれない、落ち着いた声で別れを歌います。1975年の大ヒット「なごり雪」も別れの歌でしたね。
別れの似合う声というより、別れを歌っても、次があることを思わせる声に認定したいと思います。
作詞作曲も70年代フォークの代表者♪
「雨の物語」の作詞作曲は、70年代フォークのセンチメンタル担当、伊勢正三さんです。
かぐや姫から風へグループは変遷しましたが、切ない恋を作り歌う第一人者。なごり雪も伊勢正三さんこと正やんの作品です。
軟弱や優柔不断と言われても、このジャンルのファン層は、隠れも含めてかなりのパーセンテージを占めるのは間違いありません。
恥ずかしがらずに、時には肩まで浸りましょう。70年代も2000年以降も別れの辛さに変わりはありません。
雨で始まる2人の物語。携帯すら無かったけれど、男子にも女子にも聴いて欲しい今も色あせない1977年の別れ歌。最初のページを開きます。
前を見るだけではなく、重要なのは後ろ姿
鏡の向こうの目線から歌詞は始まります。エッ見られてた? 部屋も狭いからしょうがないけれど。 (気が付いても化粧ポーチを投げるのは厳禁!)
背中の大小は見た目で決まらない?
化粧する君の その背中がとても
小さく見えて しかたないから
僕はまだ君を 愛しているんだろう
そんなこと ふと思いながら
出典: 雨の物語/作詞:伊勢正三 作曲:伊勢正三
頼りにできるのは大きな背中。“守ってあげたい”と思わせるのは小さな背中。ここで自分の背中のサイズを測る必要はありません。背中の大小を決めるのは、背中を見る人が決めます。
小さく見える背中、今ここでその背中を抱きしめたら、別の世界の始まりにつなげることができるかもしれません。
化粧が終われば部屋を出て行く君のことを大事に思う僕だから、小さな背中が気にかかります。
すべてを雨のせいにしてしまう?
窓の外は雨 雨が降ってる
物語の終わりに
こんな雨の日 似合いすぎてる
出典: 雨の物語/作詞:伊勢正三 作曲:伊勢正三
降り続く雨は、心であふれる涙にも見えてきます。雨が降っているから別れを決めたのなら、あまりにも身勝手な行動なのかも…
別れを決めたけれども、表面で泣くことを隠し続けて、今の状況を雨に預けました。
雨の日だから一緒にいられない2人。小さな背中が雨に濡れることも心配だけれど、別れは初めから決まっていたのかもしれません。
終わりは決まっていた、1ページ目から
この後の歌詞の展開はとても切ない物語です。化粧をしている君を見ている僕との関係は少し複雑なようです。
始まらない僕と君の物語
誰もが物語 その一ページには
胸はずませて 入ってゆく
ぼくの部屋のドアに 書かれていたはずさ
とても悲しい 物語だと
窓の外は雨 あの日と同じ
肩を濡らした 君が
ドアのむこうに 立っていたのは
出典: 雨の物語/作詞:伊勢正三 作曲:伊勢正三