Mr.Children【It's a wonderful world】アルバム全曲解説!中期の名盤!の画像

タイトルはアントニオ猪木の有名なコール「1,2,3,ダー」がヒントになっています。

ブラスサウンドが華やかです。

アルバム「It’s a wonderful world」全体にいえることですがベースをブースト気味にミックスしています。

ミドル・テンポで穏やかなポップ・ソングです。

この曲にもSEが用いられます。

アントニオ猪木の引退興行の音声を承諾など得て使用しているのです。

歌詞を見ていきましょう。

アントニオ猪木に学ぶ

ビデオに撮った「ショーシャンクの空に」見てからは
もっと もっと 確信に近いな
暗闇で振り回す両手もやがて上昇気流を生むんだ
大人になりきれなくて逆恨みしたけれど
うんと うんと 感謝しているんだ
愛しき人よ 君に幸あるように
もう 後ろなんか見ないぜ 1.2.3!

出典: one two three/作詞:桜井和寿 作曲:桜井和寿

桜井和寿の歌詞はときどき名作映画が登場します。

ここではアメリカ映画ショーシャンクの空に」が登場です。

原作はスティーヴン・キングの「刑務所のリタ・ヘイワース」という中編小説。

観ると活力が湧く名作映画であり、原作小説も素晴らしいです。

未明の淵にあって盲目に両手を振り回す行為に、ギリギリのラインでの命のやり取りを重ねます。

リングに上がることを狙い続ける青年の気持ち。

そこにレジェンドとしてのアントニオ猪木の偉業を重ねて、誰かに勇気を与える存在になりたいと願う。

多くの男性が共感する内容の歌詞になっています。

5曲目「渇いたkiss」

Mr.Children【It's a wonderful world】アルバム全曲解説!中期の名盤!の画像

失恋がテーマの気怠いムードの楽曲です。

饒舌気味な歌詞でたくさんの恨み言を重ねる姿は桜井和寿にしては珍しいかも。

鍵盤楽器とブラスサウンドの絡み方やドラムビートのグルーヴの素晴らしさに耳が傾きます。

歌詞を見ていきましょう。

大人の失恋ソング

ある日君が眠りに就く時 僕の言葉を思い出せばいい
そして自分を責めて 途方に暮れて
切ない夢を見ればいい
とりあえず僕はいつも通り 駆け足で地下鉄に乗り込む
何もなかった顔で 何処吹く風
こんなにも自分を俯瞰で見れる
性格を少し呪うんだ

出典: 渇いたkiss/作詞:桜井和寿 作曲:桜井和寿

一番棘があると感じる箇所を抜粋しました。

君に裏切られた末にどこかで復讐の心が芽生えているのかもしれません。

爽やかな印象とは程遠い歌詞になっています。

主人公の僕は君の不貞に呆れているのです。

もうふたりの関係は継続できません。

終わりゆく愛を淡々と流し見ている僕ですが、いつか失くしたものに気付くはず。

なぜこれ程までに自分は冷静であるのかを僕は不思議に思います。

もっと熱く愛にしがみつく気持ちがあれば、やり直せるのかもしれません。

しかし僕はそうした選択ができない性格なのです。

君は自分の過ちに気付いて、寂しい夜を迎えて欲しいなどという気持ちを僕は持っています。

ふたりに未来はありません

それぞれの道を行くだけという、きわめて大人な失恋ソングなのです。

6曲目「youthful days」

Mr.Children【It's a wonderful world】アルバム全曲解説!中期の名盤!の画像

2001年11月7日発表、Mr.Childrenの通算21作目のシングル「youthful days」

金城一紀原作小説「GO」を下敷きに書いた歌詞です。

青春ポップ・ロックといった趣があります。

ブリット・ポップやネオ・アコースティック楽曲のようにも聴こえる。

リスナーがMr.Childrenシングルに望むものがすべて詰まったような作品です。

売上も上々でトリプル・プラチナ・ディスクになっています。

歌詞を見ていきましょう。

桜井和寿のプライベートの1コマ

「サボテンが赤い花を付けたよ」と言って
「急いでおいで」って僕に催促をする
何回も繰り返し 僕ら乾杯をしたんだ
だけど朝になって 花はしおれてしまって
君の指 花びらを撫でてたろう
僕は思う その仕草 セクシーだと

表通りには花もないくせに
トゲが多いから 油断していると刺さるや

出典: youthful days/作詞:桜井和寿 作曲:桜井和寿

実際に桜井和寿が体験したエピソードだそうです。

サボテンを育てるのは中々難しかったりします。

大事に育てたサボテンの花が咲くというのはかつて財津和夫が歌にしました。

桜井和寿はひとつのエピソードとして採り上げるに過ぎません。

私たちが暮らす街にはフラワーショップ以外に花は咲いていません。

どこか刺々しいリアルがここに描かれているのです。

そんな日々にあっても幼い愛を丹念に育て上げることの大切さが歌われます。

いつだって君とふたりでいられたら僕たちは腐ることを知らないで生きていけるというのです。

いつまでも「youthful days」でいられる訳ではないのですが、ギリギリの抵抗をしていきたい。

そんな想いが歌われます。

爽やかなサウンドとともにまっすぐな視線で紡がれた歌詞が胸に刺さることでしょう。

7曲目「ファスナー」

Mr.Children【It's a wonderful world】アルバム全曲解説!中期の名盤!の画像

アコースティック・ギターの音色が優しい楽曲

ウルトラマンや仮面ライダーの「ファスナー」が歌詞のモチーフになっています。

ちょっと普通ではないアコースティック・ポップ・ソングです。

ストリングスやピアノの音色が迫ってきます。

ギター以外にも様々なアコースティック楽器が使用された楽曲です。

桜井和寿のボーカルにも凝ったエフェクターは使われません。

「ファスナー」の中。

つまり「ファスナー」で包んでいる正体がテーマの曲ですから、生楽器が多数使用されているのでしょう。

歌詞を見ていきます。