人生初の一目惚れ。実体験から生まれた、”純粋”過ぎ去って”赤裸々”過ぎる片想い。

My hair is bad(通称マイヘア)の代表曲といっても可笑しくない程に、

多くのファンやバンドマンが”名曲”と賞賛する『真赤』。


恋愛ソングの場合、

過去の恋愛経験を元に曲作りをする風潮がありますが、

マイヘアの場合、

その時、その瞬間を写真のように切り取って曲にするので、

より生々しい歌詞が多く存在します。

”椎木のプライベートがそのままバンドの曲に乗り移っている”

と言っても良いでしょう。

鮮度100%で描かれているからこそ、

細かな情景やその場の呼吸までが反映されている気がします。

そこまでさらけ出して大丈夫なの?と心配になるほどに…。




決してオトナに媚びる事なく、自分たちの音を届け続けるマイヘア。

”オトナを信じない世代”ならではの、ライブ感のある愚直な音楽。

だから尚更かっこいいし、グッとくる。


今回は、My hair is badを聴くなら、まずは押さえておいて欲しい曲。

『真赤』の歌詞を紐解いていきます!

その先が見えない君との関係性。

ブラジャーのホックを外す時だけ

心の中までわかった気がした

携帯なんて出なくていい

いつの間にか

時間が止まればいい

翌朝、君は先に出ていった

僕にと、鍵、残して

出典: http://www.utamap.com/viewkasi.php?surl=k-161116-163

冒頭から生々しい言葉から始まります。

「ブラジャーのホックを外す時だけ心の中までわかった気がした」

という部分だけでも虚無感が読み取れます。

恐らく、ありがちなラブソングなら、

”ひとつになったとき”のような、

崩した表現で書くところを、

「ブラジャー」という言葉をそのまま使う事で、

より、ライブ感のあるリアルな情景を聴き手に浮かばさせます。


君とカラダを重ねる時だけに感じる愛情。

全てお見通しな気持ちになる瞬間。

それだけでいいんだ。

連絡がつかなくたっていい。

このまま時間が止まればいい。

そんな思いは届くことも無く、

一人残された君の部屋。鍵と一緒に。


女性の方が一枚上手だったって事に気づかされる瞬間ですね。

男性の片思いの始まりです。

夕立ちの止んだ街が近付けた

ただ陽が落ちた、下北は地下のライブハウス

いつもは冷たくするくせに

二人の時は優しくするんだね

君は言う「あなた、犬みたいでいい」って


三番線に悲しい音が流れた

曖昧な誓い、会いたいが痛い

バイバイが聞こえなくなるように

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1番のAメロ部分では、二人のなんとも言えない関係性が

描かれているように感じます。


雨が上がり、陽が落ち地下のライブハウスのように暗い。

駅前では無く、一本路地に入った薄暗い道を歩いている二人が浮かびます。


何気無い一言一言が頭から離れなくなって、

君のことでいっぱいになる。

”好き”なんてありきたりな言葉よりも、

「「あなた、犬みたいでいい」って」

言われたのががただただ嬉しくて。

まさに、早く首輪をつけて欲しいとキャンキャンと鳴く仔犬のように。


楽しい時間はあっという間で、別れを告げる到着のアラーム。

「三番線に悲しい音が流れた」

という表現だけで、まだ一緒に居たいという男性の気持ちが、

痛い程に伝わってきますよね。

しかもその後に、

「曖昧な誓い、会いたいが痛い」「バイバイが聞こえなくなるように」

と更に続きます。

また会いたいけど言えない。それを言葉で伝えられない。

君の口からバイバイなんて聴きたく無いから、

頭の中で”会いたい”って言葉に変換して気を紛らわす。

余計に痛い。


恐らく、”バイバイ”では無く、

”またね”って言って欲しかったのではないでしょうか。

春、恋に落ちて

耳を澄まして

君を探して

僕は誰かを

ついに失って

それでもいいって

君を待とうって決めてた

夏の匂いがした

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1番のサビの部分です。

今までの出来事のまとめの部分にあたります。


君に恋したことは胸が高鳴ること。

総てを失ったって、棒に振ったって、

君の事を待とうと思った。


一世一代の一目惚れをしてしまった男性。

それは爽やかでギラギラとした夏のような。


0.1秒で飽きる毎日が

突然、輝き出したんだ

目が合うだけでも

なぜだか胸が痛んだ

空っぽのコルクボードには

どんな写真があったのか気になった

見つめたまま隣で黙っていた

君の犬なりに気を遣ったんだ

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2番のAメロでは、君への強い想いを読み取れます。


「0.1秒で飽きる毎日」

そんな毎日が、変わってしまう程、

君との出逢いは衝撃的だったんだなと思います。


君に出逢った事で、生活がガラっと変わり、

キラキラし始めた。

胸が苦しい。好き過ぎて。

まるで恋する乙女のように。


でも、君のことは何ひとつ知らない。

知ってしまうと壊れそうで。

貰った合鍵で居候はしてるけど、

知らないままでいれば、隣に居てくれる。

僕は君の犬だからね。


恋愛の渦中、それだけを楽しみたいという気持ちが感じられます。

告白してダメだったら、この楽しい日々も終わってしまう。

そう思うと、このままがいいなって思う事って実際の恋でもあると思います。

君の”飼い犬”として僕なりに決めた。かけられた”赤い首輪”はつけたまま。

振り向いて欲しくて

なぜか甘えてしまう

格好つかないよなって笑ってた

合鍵を返して

首輪を外して

ちゃんと言おうって決めてた

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2番のサビになると、少し我に返ります。


相手にしてくれないのが寂しくて、

犬のように甘えてしまう自分に、

”かっこ悪いな”

と笑ってしまう。


このままでいいのか?

と不安になり、自ら別れを告げようと

決意します。

君を纏って

頬に触れたって

ただ響かなくて

距離は愛しさを

また髪を切って

ふいに風が吹いて

君に言おうって思ってた

夏の匂いがした

赤い首輪はついたまま

出典: http://www.utamap.com/viewkasi.php?surl=k-161116-163

ラスサビです。果たして決意した答えとは。


いくら一緒に居たって、抱いたって、

なんか心が埋まらなくて。

でも、距離があればある程に愛しさは強くなる。

ここで”別れる”という選択肢は捨てたようですね。


一回気持ちを整理して、一回断ち切る。

そんな決意を、「また髪を切って」

という表現と気持ちを重ね合わせている気がします。


一回終わらせることで、全部空っぽにして、

ちゃんと気持ちを伝えようと決意します。


男性の心の中は、夏のような爽やかな風と真赤な太陽が輝いている。

でも、君にかけられた首輪を付けたまま。

”格好つかない”僕を愛して下さい。と言っているようで。




『真赤』という言葉には2つ意味があって、

”赤い”という意味と、”純粋”という意味があります。

この一目惚れの物語はまさに、

情熱とピュアで成り立っているなと思いました。


昨年リリースされたアルバム「Woman's」には、

”『真赤』の女性からの別れ”を描いた『卒業』という曲が収録されています。

そちらも是非聴いて欲しいです。

『真赤』MV