煉獄杏寿朗へのはなむけソング

アニメ「鬼滅の刃」で、オープニング曲とエンディング曲を手掛けるLiSA

彼女が同アニメ映画版に書き下ろしたのが『炎』です。

曲の制作については、前に力強く進めるような壮大なもの、という条件が付けられました。

『炎』は無限列車編で活躍する、煉獄杏寿朗(れんごくきょうじゅろう)へのはなむけの歌です。

そして、彼らを慕う後輩たちの想いが詰まっているといえるでしょう。

「鬼滅の刃」ファンならずとも、その世界観に心を揺さぶられるのではないでしょうか。

また『炎』はデイリーチャートやオリコンシングルチャートなど、数々のチャートで1位を総なめにした名曲です。

アニメの世界観を感じながら、大ヒットの楽曲を紐解いていきましょう。

伝えたいものは悲しみではない

LiSA【炎】歌詞の意味を解説!かけがえのない世界には何がある?炎の行方とその先に待つものを考察の画像

この楽曲の根底に流れているものは、死に対する想いともいえるのではないでしょうか。

そして、歌詞には受け継がれた意志が綴れています。

歌詞を紐解くうえで、外せないのが映画の世界観となってきます。

伝えたいこと

さよなら ありがとう 声の限り
悲しみよりもっと大事なこと
去りゆく背中に伝えたくて
ぬくもりと痛みに間に合うように

出典: 炎/作詞:梶浦由記・LiSA 作曲:梶浦由記

この歌詞は、皆を守って死んでいった煉獄杏寿朗へ向けた歌詞です。

このパートは命が消えかけている煉獄へ、残された者たちが語り掛けています。

人は皆、出会いと別れを繰り返して人生を過ごすものです。

大切な人が死んでしまうのは、とても辛く悲しいこと。

しかし、最後に伝えたい言葉は悲しみの言葉ではありません。

自分達へ道を示してくれた偉大な後ろ姿は、光り輝いていたことでしょう。

命が燃え尽きようとしているのに、凛としてうつったのかもしれません。

生きている証であるぬくもりが消える前に、伝えておきたいことがあるのです。

そして傷の痛みが消えてしまうということは、死を意味しています。

彼の命が消えてしまう前に、大切なことを必死に伝えたいと願っているのでしょう。

残された時間は少なく伝えたいことは沢山ある、そんな状況が浮かんできます。

日常は唐突に壊れていくもの

LiSA【炎】歌詞の意味を解説!かけがえのない世界には何がある?炎の行方とその先に待つものを考察の画像

このまま続くと思っていた
僕らの明日を描いていた
呼び合っていた光がまだ
胸の奥に熱いのに

出典: 炎/作詞:梶浦由記・LiSA 作曲:梶浦由記

映画の世界観では、鬼に見せられた幸せな夢が登場します。

その夢は平和な日常であり、当たり前に訪れる明日という日です。

現実の世界でも、明日という日は普通に訪れると思っているのではないでしょうか。

将来は何をしようか、と考えている人もいるでしょう。

仲間と過ごす時間は、未来へと続く時間です。

大切な家族と名を呼び合っていたのは、光さすかけがえのない世界といえます。

そんな幸せな時間の余韻が、胸に残っているのです。

歌詞には描かれていませんが、幸せな夢は唐突に奪われることになります。

当たり前に訪れるはずの未来は、途切れてしまったのです。

未来を生きる為に

この歌詞には辛い時代に、平和な未来を求める姿が切なく語られています。

映画では、残された炭治郎たちが去り行く煉獄を想うパートです。

辛い選択

僕たちは燃え盛る旅の途中で出会い
手を取りそして離した 未来のために

出典: 炎/作詞:梶浦由記・LiSA 作曲:梶浦由記

彼らが過酷な時代を生きていることが伺えます。

戦い絶望し、それでも歩みを進めてきたのでしょう。

人は夢を追い求める時、誰しも辛い思いをするものです。

そんな時間の中で出会い、助け合った友情はとても固いのではないでしょうか。

しかし、ずっと一緒にいることは出来ません。

お互いが未来へ進むために、離れなければいけない時もあるのです。

無限列車の世界では、鬼の出現が彼らの道を分けています。

煉獄は自らが盾となり、共に歩く未来から離脱しました。

未来の為に出来ることは、離れることしかなかった。

切ない行動の中には、平和を祈り続けた想いが込められているのです。

強ければ守れた