煉獄杏寿朗へのはなむけソング

アニメ「鬼滅の刃」で、オープニング曲とエンディング曲を手掛けるLiSA。
曲の制作については、前に力強く進めるような壮大なもの、という条件が付けられました。
『炎』は無限列車編で活躍する、煉獄杏寿朗(れんごくきょうじゅろう)へのはなむけの歌です。
そして、彼らを慕う後輩たちの想いが詰まっているといえるでしょう。
「鬼滅の刃」ファンならずとも、その世界観に心を揺さぶられるのではないでしょうか。
伝えたいものは悲しみではない
伝えたいこと
さよなら ありがとう 声の限り
悲しみよりもっと大事なこと
去りゆく背中に伝えたくて
ぬくもりと痛みに間に合うように
出典: 炎/作詞:梶浦由記・LiSA 作曲:梶浦由記
この歌詞は、皆を守って死んでいった煉獄杏寿朗へ向けた歌詞です。
このパートは命が消えかけている煉獄へ、残された者たちが語り掛けています。
人は皆、出会いと別れを繰り返して人生を過ごすものです。
大切な人が死んでしまうのは、とても辛く悲しいこと。
しかし、最後に伝えたい言葉は悲しみの言葉ではありません。
自分達へ道を示してくれた偉大な後ろ姿は、光り輝いていたことでしょう。
命が燃え尽きようとしているのに、凛としてうつったのかもしれません。
生きている証であるぬくもりが消える前に、伝えておきたいことがあるのです。
そして傷の痛みが消えてしまうということは、死を意味しています。
彼の命が消えてしまう前に、大切なことを必死に伝えたいと願っているのでしょう。
残された時間は少なく伝えたいことは沢山ある、そんな状況が浮かんできます。
日常は唐突に壊れていくもの
このまま続くと思っていた
僕らの明日を描いていた
呼び合っていた光がまだ
胸の奥に熱いのに
出典: 炎/作詞:梶浦由記・LiSA 作曲:梶浦由記
映画の世界観では、鬼に見せられた幸せな夢が登場します。
その夢は平和な日常であり、当たり前に訪れる明日という日です。
現実の世界でも、明日という日は普通に訪れると思っているのではないでしょうか。
将来は何をしようか、と考えている人もいるでしょう。
仲間と過ごす時間は、未来へと続く時間です。
大切な家族と名を呼び合っていたのは、光さすかけがえのない世界といえます。
そんな幸せな時間の余韻が、胸に残っているのです。
歌詞には描かれていませんが、幸せな夢は唐突に奪われることになります。
当たり前に訪れるはずの未来は、途切れてしまったのです。
未来を生きる為に
この歌詞には辛い時代に、平和な未来を求める姿が切なく語られています。
映画では、残された炭治郎たちが去り行く煉獄を想うパートです。
辛い選択
僕たちは燃え盛る旅の途中で出会い
手を取りそして離した 未来のために
出典: 炎/作詞:梶浦由記・LiSA 作曲:梶浦由記
彼らが過酷な時代を生きていることが伺えます。
戦い絶望し、それでも歩みを進めてきたのでしょう。
人は夢を追い求める時、誰しも辛い思いをするものです。
そんな時間の中で出会い、助け合った友情はとても固いのではないでしょうか。
しかし、ずっと一緒にいることは出来ません。
お互いが未来へ進むために、離れなければいけない時もあるのです。
無限列車の世界では、鬼の出現が彼らの道を分けています。
煉獄は自らが盾となり、共に歩く未来から離脱しました。
未来の為に出来ることは、離れることしかなかった。
切ない行動の中には、平和を祈り続けた想いが込められているのです。