レコードの音を生で聴いたことがある人はわかると思いますが、「フツフツと鳴り出す」という言葉がレコード独特の音の感じをうまく表現していますね。

そんな小さなノイズは何度も聴いて埃がついていることもあってなる音でもあり、「青春の音」と呼ぶにふさわしい音です。

「乾いたメロディーで踊ろうよ」と少し冗談めかした「僕」は「君」の反応がないのを不安に思ったのでしょう。

「君はロックなんか聴かないと思いながら 少しでも僕に近づいて欲しくて」というのは「僕」が心の中でした言い訳です。

「ロック」を聴かせて「君」が楽しんでくれると思ったわけではないけど、「僕はこんな歌であんな歌で 恋を乗り越えてきた」ように、「少し寂しそうな君」を元気付けたかったからということでしょう。

「君」のことが好きな「僕」にとっては「君」が誰かを想い、寂しそうにしているということを放っておきたくなかったのかもしれません。

また、この後の歌詞で「僕」も自覚することですが、自分の青春時代、そして自分のこと、自分の好きな音楽を少しでも知ってほしいという気持ちがあったのもうっすらわかりますよね。

僕のドキドキしている心臓の音は君にバレて...!?

僕の心臓のBPMは190になったぞ
君は気づくのかい?
なぜ今笑うんだい?
嘘みたいに泳ぐ目

出典: 君はロックを聴かない/作詞:あいみょん 作曲:あいみょん

「僕の心臓のBPMは190になったぞ」という歌詞はこの曲の中で一番最初にできた歌詞らしいのですが、恋のドキドキが伝わってくる歌詞ですね。

レコードにじっと耳を傾けたまま無反応な「君」に対して、「僕」はこんなにドキドキしているのにと思いながら「君」を見ればふと「僕」の方を見てにっこり笑ったのでした。

そんな「君」の様子に、「君」がつまらないからではなく聴き入ってくれていたことも、「僕」が「君」を見つめていたのがバレていたこともわかって「なぜ今笑うんだい?」と思いながら年甲斐もなく「嘘みたいに」目を泳がせて照れてしまったのでした。

恋のもどかしさとゆっくりと回るレコードに...!

ダラダラと流れる青春の音
乾いたメロディは止まないぜ

出典: 君はロックを聴かない/作詞:あいみょん 作曲:あいみょん

慣れないサプライズと「君」に自分の思い出のレコードを聴かせて理解してもらえるものかと緊張していた「僕」でしたが、今度は「君」の笑顔に見とれ、照れてしまって、その気まずさから時間の流れが急にゆっくりになったように思うのでした。

それでもレコードは止まらず「ダラダラ」と「乾いたメロディ」を流し続けます。

二人の距離のもどかしい感じと、空気なんて読まずに淡々と回るレコードに恋愛の甘酸っぱさを感じる素敵な歌詞ですね。

青春時代と何にも変わらない恋する気持ち

君はロックなんか聴かないと思いながら
あと少し僕に近づいてほしくて
ロックなんか聴かないと思うけれども
僕はこんな歌であんな歌で
恋を焦がれてきたんだ

出典: 君はロックを聴かない/作詞:あいみょん 作曲:あいみょん

「君」を元気付けたかったと心の中で言い訳をしていた「僕」でしたが、「君」の笑顔にやっぱり好きだと実感させられてしまい、自分の触れて来た音楽、そして「僕」が生きて来た時間を少しでも理解してもらえたらと思う気持ちがあったと自覚したのでした。

そんな気持ちが表れているのが、「あと少し僕に近づいてほしくて」という歌詞です。

そして、「恋を乗り越えて気た」と前の歌詞では言っていましたが、それと同時に今「君」に恋に焦がれているように「恋に焦がれてきた」ということにも気づいたのでした。

大人の男性の心の中を覗いているような、心境の変化の描き方がたまりませんね。

自覚してしまったら止まらない恋心!二人の距離は縮まるのか...?!

君はロックなんか聴かないこと知ってるけど
恋人のように寄り添ってほしくて
ロックなんか聴かないと思うけれども
僕はこんな歌であんな歌で
また胸が痛いんだ

出典: 君はロックを聴かない/作詞:あいみょん 作曲:あいみょん

自分が青春時代を共にした「ロック」を「君」が気に入ってくれるだなんて思っていないけど、「恋人のように寄り添って」聴いてほしいと思ってしまう「僕」。

そんな「僕」は埃をかぶったレコードのように青春時代の甘酸っぱい心をしまいこんでいたつもりが、全然そんなことはなく、まだまだかつて恋に焦がれて胸を痛めた曲に同じ感情を抱くのでした。

そんな自分に気付かされたのは、「君」を好きになってしまったからです。

大人の恋に胸キュンですね。

この後「君」と「僕」はどうなるのか...ドラマのように続きを妄想してしまいます。

何故君はロックを聴かないのか

ロックがダサい音楽だった時代