m-flo待望の新曲

お得意の「宇宙」がコンセプト

m-flo「MARS DRIVE」のリリックビデオ解説!火星を赤い車が疾走?!奇想天外な世界の虜に!の画像

その存在感を例えるなら、「日本のダンス・ヒップホップシーンにそびえ立つトライポッド(三脚)」。

そんな賛辞がぴったりの先進的なサウンドと、人気を誇るm-flo

2018年10月4日、待望の新曲「MARS DRIVE」をデジタル・リリースしました。

キャッチーなメロディー、伸びやかな歌と流暢で鮮やかなラップ、ダンサブルなトラック。

まさに、m-floお得意のフューチャー・ディスコ・ミュージックです。

スタイリッシュなサウンドながら、リスナーをあっと言わせるギミックも健在。

「MARS DRIVE」は、そんなm-floらしさ全開の仕上がりです。

これまでの多くの作品と同様、この曲も「宇宙」がコンセプト。

タイトルの「MARS」から分かる通り、舞台となっているのはズバリ「火星」です。

ジャケットのカラーは、火星の土の色を思わせる赤茶色。

ヘルメットを脇に抱え、宇宙服に身を包んだメンバーのショットも堂々たるもの。

m-floはやはり、オリジナルメンバーであるこの3人がそろってこそ、と思わせます。

サウンドを聴いてもびっくり、映像を見てもびっくり。そんなリリックビデオです。歌詞の見せ方だけでも、一流のアートして成立しています。

グルーヴィーなサウンドとともに、リリックビデオも会心の出来映え。

イントロの始まりと同時に、すでに飛び出しているのは宇宙空間。

視界に映し出されるのは、まさに火星です。

サウンドに合わせ、瞬間移動的に火星に接近していく映像もダイナミック。

これからどんなシーンが繰り広げられるのか、期待は膨らむばかりです。

しかし、そんなワクワク感は、一瞬にして驚きに包まれることに。

グングン迫った火星の上空に浮遊しているのは、ロケットや宇宙船ではありません。

何と、まさかの自動車

しかも、オープンカーなのです!

火星に現れたレトロな車

真っ赤なボディー

m-flo「MARS DRIVE」のリリックビデオ解説!火星を赤い車が疾走?!奇想天外な世界の虜に!の画像

if you gonna do it
go Cadillac! go Cadillac! go Cadillac!
if you gonna do it
go Cadillac! go Cadillac! go Cadillac!
アゲてくmusic we gon’ party like we do it!
if you gonna do it
go Cadillac! go Cadillac! go Cadillac!

出典: MARS DRIVE/作詞:m-flo 作曲:m-flo

宇宙空間を漂う、真っ赤なボディーのオープンカー。

何ともレトロなフォルムです。

よく見ると、ディテールまであまりにもリアル。

ボンネットの先に取り付けられた「V」の形のエンブレムも、しかりです。

どこからどう見ても、古き良き時代のキャデラックにしか見えません。

高級アメ車の最高峰が、宇宙空間をフワフワと漂っているのです。

キャデラックは、やがて火星に着陸。

荒涼とした地面を、今度は滑るように疾走を始めます。

「自動車のエンジンなんて、酸素がなけりゃ動くはずはないでしょ」

そんな野暮なことは、言いっこなしのスピード感です。

火星という、人類が未だ到達したことのない世界を描いたリリックビデオ。

ここに登場するキャデラックは、そんなSF的な世界とは対照的な存在に見えます。

意外性を印象付けるギミックとして、自動車という乗り物を描いたのでしょうか。

そんなことを考えているうちに、曲はどんどん進みます。

やがて耳に入るのは「go Cadillac!」(進め キャデラック!)と繰り返されるフレーズ。

映像に登場した自動車は、やはりキャデラックでした。

それにしても、なぜキャデラックなのか。

ますます不思議に思えてくるのです。

夢と希望の象徴

m-flo「MARS DRIVE」のリリックビデオ解説!火星を赤い車が疾走?!奇想天外な世界の虜に!の画像

リリックビデオのキャデラックは、1959年型の「エルドラド ビアリッツ」に見えます。

ジェット戦闘機とロケットをイメージしてデザインされた「シリーズ59」と呼ばれるモデルです。

6メートルに届きそうなほどの全長。

大きな車体をさらに大きく見せる尾翼のようなテールフィンは、当時最先端のデザインでした。

ちなみに「エルドラド」の意味は、黄金郷。

栄華を極めた50年代のアメリカン・ドリームを象徴したのがキャデラックなのです。

単なる工業製品としての枠を超えた、アメリカ文化のアイコンともいえます。

リリックビデオでは、またしても50年代風の形をしたロケットの発射シーンも。

当時のロケットもまた、宇宙を目指した人類の夢と希望を象徴するものでした。

奇しくも時代背景が共通する、レトロなキャデラックとロケット。

m-floがリリックビデオに込めたのも、夢と希望なのかもしれません。

リリックビデオって?

歌詞で勝負する映像作品

リリックビデオの「リリック」とは、英語の「Lyrics」から取ったもの。

その単語が意味する通り、歌詞を中心としたミュージックビデオです。

曲の進行に合わせ、すべての歌詞動画に表示されます。

サウンドを聴きながら、歌詞もしっかり読み取れるのがグッ。

洋楽で広まったといわれていますが、歌詞動画は日本にも存在していました。

2007年に誕生した初音ミクに代表される、ボーカロイドの草創期。

歌声を合成するソフトが、まだ未熟だった時代のことです。

聞き取りにくい歌詞を効果的に伝えようと、ファンが2次創作したのが歌詞動画でした。

SNSで拡散したこれらの動画が、日本におけるリリックビデオの始まりとされています。

近年では、アーティスト自身がPV並みに作り込んだ作品も続々と登場。

文字の配置や書体、フォントまで、バラエティーとインパクトに富んでいます。

歌詞全体の世界観はもちろん、心地よいラップで繰り出す1つずつの言葉も個性的なm-flo。

リリックビデオに力を注ぐのは、自然な成り行きといえます。 

奇想天外な歌詞

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