あふれるその涙を
輝く勇気にかえて
いのちはつづく
夜を越え
疑うことのない明日へとつづく
出典: Melodies Of Life/作詞:シオミ 作曲:植松伸夫
もう2度とは戻ってこない日々を思い出したことで生じた悲しみ。
その感情が主人公の目に涙を浮かべさせます。
しかしその涙が彼女の心に負の感情をもたらすことはありません。
むしろ、その涙が彼女に力を与えてくれています。
彼女は自身の悲しみに飲み込まれるのではなく、その感情を前へ進む力へと昇華させています。
悲しむと同時に思い出がもたらしてくれた尊い感情にも目を向けているのでしょう。
だからそのことで必要以上に落ち込んだりはせず、未来を見据えることができているのです。
挫けてしまいそうな真っ暗な夜を救ってくれたのは、大切な人への想い。
暗く長い夜が明ければ、朝焼けとともに明るい未来は確信に変わります。
彼女にとって、思い出が人生を生きる原動力となっているのです。
主人公の先に待ち受けているものを恐れず、前に進もうとする意志の強さを感じます。
偶然ではない
空の向こうへ
飛ぶ鳥の向こうの空へ
いくつの記憶預けただろう
儚い希望も夢も
届かぬ場所に忘れて
出典: Melodies Of Life/作詞:シオミ 作曲:植松伸夫
1行目、鳥が遠くに向かって大空を羽ばたいていく情景が目に浮かぶかのようです。
その空の向こう側へ主人公は想いを馳せています。
今ではもう叶わないものとなってしまった希望や夢といったものたち。
空はどこまでも続いています。
どれだけ手を伸ばそうともその広すぎる空が手に入ることはありません。
その空と同じように叶わない想いももう手に入ることはない。
だから、彼女はその想いを忘れ去ろうとしているのでしょう。
人生は必然
めぐり逢うのは偶然と言えるの
別れる時が必ず来るのに
出典: Melodies Of Life/作詞:シオミ 作曲:植松伸夫
人と人が出会うということはつまり、いつかその2人の間には別れが訪れるということです。
別れというものはいつどのような形で目の前に現れるのかは予想ができません。
どれだけ運命的な出会いをしたとしても、出会った瞬間から終わりが来ることは決められています。
だからこそ主人公は出会いというものを偶然とは思えないのでしょう。
世の中に必然として存在している別れというもの。
それと対を成す出会いだけが偶然というのは納得がいかないと考えているのでしょう。
主人公が、出会いと別れというものに対して何か特別な感情があることが伝わってきます。
世界は続いていく
私たちの未来
消えゆく運命でも
君が生きている限り
いのちはつづく
永遠に
その力の限りどこまでも
出典: Melodies Of Life/作詞:シオミ 作曲:植松伸夫
今生きている誰もがいつかこの世から消えていくことになります。
それは自然の理であり誰にも変えようのないことです。
1つの生き物が永遠に生きるということはあり得ません。
しかしそれは単純に、死んでしまえば終わりということではないのです。
もし自分が消えてしまっても、その他にこの世界に誰かが生きている限り世界は続く。
そしてそれは永遠にも近い状態で循環し、新たな生命へと回っていきます。
そういったルールの世界に私たちは生きているのです。
永遠の命というのはそうやって巡っていく私たちの命の輪を表しているのでしょう。
そこには当然悲しさもありますが同時に未来に自分の想いを託せるということでもあります。
彼女が永遠の命を謳うのはそんな想いの循環を表したかったからなのでしょう。
主人公の想いはきっと形を変えながらこの世界に留まり続けるのです。
この楽曲で彼女が描きたかったこと。
それは、そういった抽象的ともいえるような目に見えない想いの連鎖についてなのではないでしょうか。
想いは残り続ける
わたしが死のうとも
君が生きている限り
いのちはつづく
永遠に
その力の限りどこまでもつづく
出典: Melodies Of Life/作詞:シオミ 作曲:植松伸夫
主人公はいつか自分に終わりが来ることを知っています。
死という逃れようのない現象から目を背けるのではなく、代わりに今という時間を懸命に生きているのです。
いつか自分という存在が消えてなくなるという事実。
それを自覚した時、自分の生きる世界が何の意味もないものに思えてしまうこともあるかもしれません。
しかし彼女は自暴自棄に陥るのではなくその後の未来を見据えているのです。
自分がが居なくなったとしても続いていく未来に目を向けること。
それは生きているこの世界の広大さを理解することでもあります。
記憶というものは生きている間だけのものです。
しかしその欠片というのは、様々な形でこの世界に残り続けます。
命というものがある限り、形を変えながら主人公の想いもこの世界のどこかで続いていくのです。
「Melodies Of Life」は人生というものの意味を私たちに伝えてくれています。
永遠のように続いていくその世界の中で、自分たちがどうやって生きるのか。
それは自分次第でどうにでもなるのかもしれません。
過去の延長線上にある未来を私たちはきちんと見据えて生きていくべきなのでしょう。
私たちが生きた証は、この世界のどこかに必ず残り続けていくのです。