中毒性やドーパミンを連想させる炭酸

炭酸が弾けるよ
脳みそのストローを辿って
真実はこれからだ
いざゆけ! 突撃だ!

なまぬるい空気を吸い込んで
見たことのない聖地を泳ぐ 泳ぐ

出典: マシマロ/作詞:あいみょん 作曲:あいみょん

「炭酸」や「ストロー」はおやつの時間をイメージさせる言葉とも受け取れるでしょう。

しかしここでの炭酸は、これまでの流れから中毒性のある快感だと連想できます。

快の感情であるドーパミンが脳内を巡る様子をストローという単語で連想させる表現になっています。

愉快な曲調にもかかわらず、歌詞に漂っているのは爽やかさではなく怪しく艶めかしい雰囲気です。

1番で「大地」と歌っていたパートですが、ここでは「聖地」と言い換えられています。

より妄想の雰囲気が強まる歌詞になっているといえるでしょう。

熱気の伝わる雰囲気をオブラートに伝える後半部分

露わになる欲望

首筋から強く伝わる熱
すごい速さで分かる僕ら

出典: マシマロ/作詞:あいみょん 作曲:あいみょん

曲の前半では子供が冒険に出ていくファンタジーの世界を連想させる言葉でミスリードを誘っていました。

しかし最後のサビへのつなぎ部分では「首筋」「熱」といった言葉で直接的に歌っていることがわかります。

官能的な男女を描いている一方で、太鼓を鳴らすわんぱくな曲調からはそのような雰囲気を感じさせません。

欲望が満ちる様子を連続するサビで表現

柔らかいマシマロ頬張って
見たことのない大地を走る 走る

出典: マシマロ/作詞:あいみょん 作曲:あいみょん

曲のラストはサビパートを3回連続しており、リズミカルな雰囲気を味わうことができます。

このパートの表現からは欲望を思い切り満たしている男性の心情が想像できるでしょう。

「見たことのない大地」とは、大人の階段を上る少年少女を待っている新たな経験の暗示ではないでしょうか。

全編コラージュのMVにも比喩表現がたっぷり

YouTubeに公開されたマシマロのMV全編コラージュのポップで可愛らしい作品です。

絵本のような世界であいみょんが冒険に出ていくとも受け取れます。

しかしところどころに男女関係を表すメタファーが組み込まれている、印象的なMVです。

若いカップルと熟年夫婦

マシマロのMVあいみょんのお風呂シーンから始まります。

部屋の中にあるのは、キスをかわす男女が描かれているポスターです。

おしゃれ着に身を包んだあいみょんは、アヒルとともに真っ赤なオープンカーで出発します。

オープンカーで駆け抜ける家々の中にも、さまざまなコラージュが登場し見ている人を飽きさせません。

「楽しく踊る男女」「観葉植物」は男女の交際や愛情を表していると考えられます。

そして「舞い散る札束」「ドラキュラのような牙」は人間の欲望を表しているのではないでしょうか。

曲の中盤には2組の夫婦が描かれています。

一方はテレビのリモコンを取り合う夫婦、もう一方は炭酸を飲みながら静かな時間を過ごす夫婦です。

楽しげな若いカップルと対照的に、慣れ親しんだ男女や成熟した大人のイメージを盛り込んでいるのでしょう。

巨大な女体と男性の欲望

後半に登場するのは横たわる巨大な女体です。

その女性からイメージできるのは、女性とつながりたいと願う男性の願望でしょう。

女性と絡むシーンのあと、あいみょんが走っていくのは雷の鳴る草原のような土地です。

大人の世界を知った少年や少女が、まだ見ぬ泥臭い世界へ進んでいく未来を表しているのではないでしょうか。