底知れぬ男女の深い愛を描いた佳曲!

「とまどうペリカン」発売当時の陽水は

「とまどうペリカン」を発表した1982年は井上陽水にとってノリにのっていた時期となります。

この曲の1つ前がドラマのテーマソングになった「リバーサイドホテル」。

そしてその次が「愛されてばかりいると」。そのB面が「背中まで45分」。

この曲は沢田研二さんに楽曲提供されてシングルで発売されています。

また「とまどうペリカン」は10枚目のアルバム「LION & PELICAN」にも収録されています。

このアルバムはオリコンで13位にまでランクインしました。

収録されている曲はこの他にも「カナリア」などヒット曲満載の1枚でした。

「とまどうペリカン」発売当時の陽水はまさに脂がのり切ったかのような破竹の勢いで曲を発表していたのです。

新しい音楽に挑戦し続けた最中の傑作

「とまどうペリカン」は陽水の卓越した音楽の才能が生み出した傑作の1つといっていいでしょう。

スローテンポでありながらバラードとは違う、力強い旋律と思わず聞きいってしまうリズム感があります。

現状に安住せず、絶え間なく高みを目指す。完璧と究極を音楽に醸した1曲といえるでしょう。

そしてまたこの楽曲、非常に歌詞の解釈に苦しみます。

主人公になる女性が何故かペリカンに例えられています。

男性をライオンに例えるのはまだ分かるのですが、どうして女性がペリカンなのか?

どうして男女の仲をライオンとペリカンに例えたのか。

これらの謎を解くうえでも、歌詞を徹底的に考察していきたいと思います。

男性と女性の関係は?

威風堂々さと従順さを掛け合わせたライオン

夜のどこかに隠された
あなたの瞳がささやく
どうか今夜のゆく先を
教えておくれとささやく

出典: とまどうペリカン/作詞:井上陽水 作曲:井上陽水

ライオンに例えられているのは、勿論主人公の女性が愛する男性のことです。

なるほど、歌詞を読むだけで男性の貫禄が漂ってきます。

騒ぐことなく威風堂々とした態度で女性と寄り添っています。

そしてこれからの行動予定を優しい面持ちで女性に尋ねています。

まさに百獣の王の貫禄たっぷりといったところでしょう。

本来、ライオンのオスは群れない

歌詞は忠実に野生のライオンの生態を表しているかのようですね。

ライオンのオスは多数のメスの群れを束ねるリーダーです。

オス同士が群れの中で一緒に暮らすことはありません。必ずや縄張りをめぐる争いになります。

「とまどうペリカン」に登場する男性も野生のオスライオン同様、力でこの主人公を勝ちとったのでしょう。

だから主人公の女性とは半ば「夫婦」同然の関係といえます。

主人公の女性を守る、まことに頼りがいのある男性ということになるのです。

私をペリカンに例えた真意

どうして女性がペリカンなのか?

私も今さみしい時だから
教えるのはすぐできる

出典: とまどうペリカン/作詞:井上陽水 作曲:井上陽水

さて、この楽曲最大の謎である女性の例えの問題です。

陽水はたくましいライオンの相手をペリカンにしています。

確かに、ライオンに比べればペリカンは弱い生き物でしょう。

また、ペリカンの羽毛は全身が白です。ライオンと色のコントラストは引き立つでしょう。

でも、それだけでは歌詞から受ける謎は解明しませんね。

そこでペリカンに関する、ある知識をこのあと紹介したいと思います。

女性は静かなたたずまいで尋ねてくる男性に、ほのかな安らぎを感じているかのような表情を見せています。

この2人はちょっとやそっとでは切り離せられない深い関係であることを伺わせますね。

それではどうして女性がペリカンに例えられるのかを掘り下げてゆきたいと思います。

ペリカンが持つ、子孫への強い愛

ペリカンが胸に穴を開けてその血を与えて子を育てるという伝説があり[2]、あらゆる動物のなかで最も子孫への強い愛をもっているとされる。この伝説を基礎として、ペリカンは、全ての人間への愛によって十字架に身を捧げたキリストの象徴であるとされる

出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/ペリカン属