誰に向かって祈りを捧げているのか

この世を奈落と見なす真意

意思の弱い人間は他人に流されやすく堕しやすい。

前半の歌詞では過激な表現を用いながらも、世間をどう見ているのか。

そのような楽曲の世界観をしっかりと具現化していました。

歌詞の中に出てきた、”底”や”奈落”という表現は本当の地獄ではありません。

恐らく世間一般を住みにくいものとして描写しているのでしょう。

ではなぜ世間を”奈落”の世界としているのでしょうか。

それは、今まで出てきたようなダサい仮面をつけた人間たちの住む世界。

その世界こそが地獄である、底であると表現しているのです。

つまり、今の世の中にある種の住みにくさや、関わり合いの難しさ歌詞に落とし込んでいる。

そのように理解をすることができます。

確かに今のインターネットの世界では、一度火がつくと過激に言葉が飛び交います。

さらにメディアでは、そうした意見の一部を切り取り、さらなる炎上を演出している。

この現状に対してのアンチテーゼとしての気持ちが込められているのではないでしょうか。

そうした部分がこの曲の真意として読み取ることができます。

語られる警告とは

脳内で語られる警告と
(祈れ)
張り巡らされた予告計画
(祈れ)
ほらどうしたって真面を捨てれない
(祈れ)
神様どうか俺の逃避行を。

祈って

導いて

出典: TOUBOU/作詞:EMA 作曲:EMA,Misumi

脳内では警告が語られています。

警告が語られるとは、少し不思議な文章です。

脳内で語られるということは、もちろん他人の言葉ではありません。

自分自身で何かしらの警告を発しているのでしょう。

では何に対しての警告なのでしょうか。

それは次の予告計画であると考えられます。

いろいろと頭の中で世の中に何かしらのアクションを取りたい自分。

しかし、真面(まとも)な自分は自分でSTOPをかけてしまう。

そのため、自分以外のもの、この場合は神様のような超越的な力を頼っているのでしょう。

そして”俺”はどのような予告計画を立てていたのでしょうか。

それは何と”逃避行”だったのです。

自分の力ではこの現状から抜け出すことができない。

ある意味で挫折感を味わっているのでしょう。

他人の力を頼ってでもこの地獄のような世の中から抜け出したい。

そんな無力感が表現されています。

闇から這い上がる生

消えない記憶と偽善

悪を裁けど心は満たない
ボーダーは未だに脱げもしないな
解離 孤独 ロープ ワルツ
脳に埋まった景色が
酷く地獄 消えぬ記憶
誰も彼も偽善者
世界がある日 丸ごと消えたなら
これほど幸福なことはないな

祈れ

出典: TOUBOU/作詞:EMA 作曲:EMA,Misumi

たとえ悪いことを悪いと断罪したとしても、問題が解決するわけではありません。

なぜなら、世の中を悪くしているのは不特定多数の人間

もともと罪の意識などはないのです。

ボーダーが脱げないとは、おそらく囚人服のようなものの象徴。

世間にとらわれている自分が、閉じ込められたまま抜け出せない現状。

そうしたものを嘆いているのでしょう。

一度他人の悪意に触れてしまうと、なかなかその呪縛から逃れることはできません。

いつまでも悪い記憶として頭の中にこびりつき離れないでしょう。

そして普段は勇ましく正論を吐く世間も、そうした悪意は見て見ぬふり。

そんな悪循環も含めて消し去ってしまいたい

世界がまるごと消えたら幸福とはそのような心情を表しているのではないでしょうか。

そして、その日がくるのを”俺”は祈っています。

もがきあがいたものの残ったものは祈りという手段だけ。

荒廃とした心の中が悲しみに満ち溢れているのが分かります。

重い足枷はとれないまま

酩酊を行く重い足枷を
(祈れ)
闇から今這い上がるこの生
(祈れ)
ほらどうしたって真面を歩みたい
(祈れ)
神様どうか俺の逃避行を。

祈って

導け

出典: TOUBOU/作詞:EMA 作曲:EMA,Misumi

酩酊とはひどく酒に酔っている状態。

酩酊をいく足枷とはまるで酔っているようにまともに歩けないほどの足枷

逃避行をするためには足枷は邪魔ものです。

おそらく足枷は外せていないのでしょう。

今、闇から這い上がり、真面を歩む。

そのためにはどうしてもこの重い足枷を外す必要があります。

しかしもう自分の力ではどうしようもありません。

残されたのは神様への祈り

神様はもちろん想像上の存在。

祈ったところで現状が変わることはないでしょう。

それでも孤独な自分には祈るしか方法がありません。

なんとも寂しい”俺”の世界でしょう。

まとめ

MVは最後に神様らしき存在の首がとれ、暗闇に男が1人残される。

そして肩を震わせているのです。

まるで泣いているような、笑っているような。

そして振り返った人物には表情がありません

まるで絶望しているようにも見えます。

祈りが届かず最後の希望が消えてしまったのでしょうか。

私には何か決意をしたような表情にも見えました。

自分で世の中を変えることは難しいですが、それでも生きていかなければなりません。

そんな寂しい決意かも知れません。

まだTOUBOUを聞いていない方は是非一度聞いてみてください。

OTOKAKEではこのように考えさせられる曲の歌詞の考察記事が多くあります。

ご一緒に他の記事もチェックしてくれるとありがたいです!

2005年の結成以降若者を中心に絶大な人気を誇り世界の人々まで魅了するアーティストONE OK ROCK[通称ワンオク]。迫力あるリズムとエモーショナルな歌詞がファンを魅了しています♪今回はそんなワンオクの心に響く歌詞をワンオクの魅力と共に紹介します。