怯えた小鳥は
さよならなんて言えなくて
愛を請う仕草で
黙り込んで 慎ましいつもりでいた

Lie, Lie, It's A Lie
Not A Lie もう辛い
散々傷ついて
優しい世界に
誰だって行きたいわ

出典: I beg you/作詞:梶浦由記 作曲:梶浦由記

さよならが言えないということは、この先もずっと同情に縋って生きるしかないということ。

「愛を請う~」の歌詞は、愛されるために憐れであり続ける様子を歌っているのでしょう。

憐れでなければ、誰にも見てもらえない。

主人公がそう思い込んでしまうのは、過去の辛い体験が関係しているようです。

続く歌詞では「Lie, Lie, ~」と、”噓”という言葉が繰り返されています。

しかし、最後だけは「Not A Lie」。

これは、「嘘によって苦しめられてきた現実だけが本当」という意味なのだと思います。

嘘にまみれた人生を送ってきたせいで、主人公は愛され方が分からないのかもしれません。

望んでいるのは、ただ優しい世界に行きたいということだけ。

そしてその優しさは、同情でしか得ることができないと考えているのでしょう。

すべては自分の一部

一つに溶けてしまいましょう
憎しみも愛情も
むしゃむしゃと
頬張ってしまいましょう
混沌の甘い甘い壺の中で

出典: I beg you/作詞:梶浦由記 作曲:梶浦由記

溶かして1つにしたいのは、きっと憎しみと愛情。

この2つが一緒になれば、辛い過去も救われる。

そんな想いが込められているように思います。

1番のサビで「目障りな有象無象」を食べてしまったように、憎しみと愛情も自分の中で消化する。

消化するということはつまり、自分の一部になるということです。

綺麗なものだけを身につけていたいわけではない。

汚れも間違いも、すべて自分の一部として受け入れる。

そうすることで、主人公は自分を肯定しようとしているのかもしれません。

すべてが混ざり合い、自分と1つになった世界。

それを「混沌の~」と表現しています。

愛に翻弄される

憐みの中に本当の愛情はあるのか?

そもそも本当の愛情かどうかなんて、どうやって決めるのか?

続く歌詞を聴くと、愛という不確かなものに翻弄されてしまいます。

愛以外すべて失くして

曖昧に笑うから
会いたいと思うのよ
I know you're here
to stay with me
愛されていたいだけ
Lie, Lie, Lie, You're to be with me
雷鳴の裂く所
惨憺たる Heavenly Feeling
愛だけ残ればいい

出典: I beg you/作詞:梶浦由記 作曲:梶浦由記

「曖昧に~」の歌詞からは、あなたの本音が知りたいという主人公の気持ちがうかがえます。

その笑顔の裏には、いったいどんな感情が隠されているのか。

主人公は愛というものに触れるうちに、同情だけでは満足できなくなっていったのかもしれません。

「憐れまれたい」から「愛されたい」に願望が変わる。

それは主人公が自分という人間を受け入れ始めた証拠でもあるのでしょう。

しかし愛に対する欝々とした気持ちは、いまだに残っている様子です。

「I know~」であなたが私の傍にいることを歌いながら、すぐに「Lie, Lie,~」と嘘に変えてしまいます。

すべてが曖昧なこの世界。

いっそ愛以外の何もかも失くしてしまいたい。

ここの歌詞で歌われているのは、きっとそんな気持ちなのでしょう。

悲しみに埋め尽くされる

津々と悲しみだけが降り積もる
願望も悔恨もただ埋め尽くす
絆結んだ遠い春の日を
傷残されよう
消えてしまうの?

出典: I beg you/作詞:梶浦由記 作曲:梶浦由記

悲しみは消えることなく、積み重なっていくものです。

その悲しみがいつか、愛されたいという願望も、嘘に対する悔恨も、すべてを埋め尽くします。

結局最後に残るのは悲しみだけ。

「絆結んだ~」の歌詞は、きっと大切な人と過ごした日々のことを歌っているのでしょう。

結んだ絆が傷のように胸に刻まれている。

しかし、その傷すら永遠のものではないのかもしれません。

終わりのない悲しみを痛感し、途方に暮れる。

そんなやるせない気持ちが伝わってきます。

秘められた本当の思いとは?

悲痛な歌詞の中に秘められた本当の思いとは何だったのか?

最後の歌詞を紐解くと、その答えが見えてきました。

最後の光をあなたに届ける

やがてキラキラ夢の中
朽ちてゆく光は
あなたに届くはずだから
眩しくて 涙が止まらない

出典: I beg you/作詞:梶浦由記 作曲:梶浦由記