「Keep Tryin'」はアルバムに先駆けたシングル
KDDI・沖縄セルラー電話「au LISTEN MOBILE SERVICE(LISMO!)」のCMソング。そのため、キャンペーンとして着うたフルで無料配信された。着うた・音楽配信では一位を独走し、250万ダウンロードを突破するなどヒットを記録した。
出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/Keep_Tryin%27
日々の中でかすかな希望を見つけようとする曲
「Keep Tryin'」はシンセサイザーの幻想的なサウンドを基調とするゆったりしたテンポの曲。
前奏の後でいきなりサビから歌が始まるのでインパクトがあります。
宇多田ヒカルが明るく歌っているのと対照的に、コード進行からは重たく不穏な空気が流れる不思議な曲です。
この曲で歌われているのは、社会の中でグラグラと揺らいでしまう自分の価値観や夢を大切にしようという内容。
大切にするために、ちょっとずつでも挑戦し続けて希望を見つけていこうという姿勢を示しています。
それでは早速MVを御覧ください!
造り物の世界で宇多田ヒカルが色んな職種の人に変身

「Keep Tryin'」のMVでは、造り物の世界で宇多田ヒカルが様々な役を演じます。
始めはレストランできびきびと愛想よく働くウェイトレス。
次は雪の降る中をイヤーマフをして歩く、仕事帰りと見受けられる女性です。
通りすがりの電気店に置かれたTVには、天気予報士に扮した宇多田ヒカルが登場。
その後はパトカーを運転し、駐車違反を言い渡す警察官になります。
他の役柄は高校生、スチュワーデス、OL、電車の運転士、選挙演説をする候補者。
さらに路上ライブをするミュージシャン、ホステスまで。
帰宅する夫を駅で出迎える妻のシーンは心温まるものでした。
こうして挙げてみると、なんと1つのMVで1人10役以上を演じています!
衣装替えだけでも大変だったと思いますが、どの役も楽しそうに演じているのが印象的です。
飛行機は不安定な未来のメタファーか?
MVを通して幾度も出現する飛行機。
宇宙から地上に視点が切り替わる時や、警察官になって頭上を見上げた時に現れています。
ベッドでうなされる子どもの頭上で回っているモビールも飛行機ですね。
飛行機は空飛ぶ乗り物で、世界中を移動できるワクワクする存在。
しかし、実際に乗ってみると、道中は「目的地に無事たどり着けるのだろうか」と不安もあります。
雲の上を飛んでいる状態は非現実的でもあるし、海外への旅だと時間の感覚もなくなってきます。
私達を取り巻く先の読めない不安定な未来。
そんな漠然とした不確かさを、飛行機で暗示しているのではないでしょうか。
いよいよ歌詞の意味を解釈していきます!
本当は欲しいものがある
I don't care about anything
どうでもいいって顔しながら
ずっとずっと祈っていた
無い物ねだり
ちょっとやそっとで満足できない
だからkeep trying
出典: Keep Tryin'/作詞:Utada Hikaru 作曲:Utada Hikaru
英語の冒頭部分を日本語に意訳してみると、
私はなんにも気にしてないよ
という意味になります。
現状に対して不満はなくこれ以上何も望まない、というスタンスのつもりだったけれど...?
本音は違っていて、心の底ではやりたいことや望んでいることがあるのです。
別のもので誤魔化しは効かず、努力が必要で、かつ簡単には手に入らないもの。
それは本人にとって大事な核の部分なのではないでしょうか。
1人虚しい夜を過ごす
十時のお笑い番組
仕事の疲れ癒やしても
一人が少しイヤになるよ
そういうのも大事と思うけど
出典: Keep Tryin'/作詞:Utada Hikaru 作曲:Utada Hikaru
設定は1人暮らしの社会人でしょうか。
夜遅くに帰宅して1日が終わり、ようやく家でホッと出来る時間を迎えました。
孤独を受け止めてくれるのはテレビです。
コンビニで買ってきた夕飯とビールをテーブルの上にスタンバイ。
くだらないコントを見て「あはは」と笑って仕事の疲れを癒やすリラックスタイム。
これはこれで良いけれど、この生活をずっと続けるのは虚しく寂しいと感じています。