片思い中の恋心を歌っている「ドキドキラビリンス」。
"ラビリンス"とは迷宮のこと。
恋心が出口を見失って、胸の中で彷徨って戸惑っている。
そんな想像を掻き立てられる楽曲タイトルになっています。
サビから始まる歌詞を見てみましょう。
片思いを歌う曲は、曲の主人公の性格によっていくつかの恋のタイプがあると思います。
一途な恋や密やかな恋、ただ見つめているだけの恋……。
「ドキドキラビリンス」の場合は、ちょっと強気でしたたかな女の子が主人公のように感じました。
好きなのにあえて"キライ"と口にしたり、涙もか弱い自分を演出するための武器にしていたり。
ツンデレのような感じかもしれませんね。
上手に素直になれないけど、どうにかこっちを振り向かせたい。
でもやっぱり簡単に「好き」とは伝えられない。
そんなどっちつかずの状態を行ったり来たりしている感じが、"スパイラル"という言葉から読み取れます。
好きが伝わらない
誰を思いながら夜を眠るの?
君の夢に お邪魔したい
たまに視線感じはするけど
ちゃんと私だけ見ててよ
胸が痛い そばにいたい
この気持ちは変わらない
君の笑顔 君の優しさ
見せつけて
キタイキタイキタイばっかで進展がない
モヤモヤが溜まってく
トライトライトライ いつだって挑戦者
結末はわからない
ドキドキのラビリンス
出典: ドキドキラビリンス/作詞:Haggy Rock 作曲:Haggy Rock
1番の歌詞です。
片思いをしたことがある人にとっては、「あるある」とうなずける内容ではないでしょうか。
相手は自分のことをどう思っているか分からない。
分からないんだけど、願望としては好きまでいかなくてもなんとなく特別だと思っていてほしい。
夢を見るならそこに自分がいなきゃ嫌。
それに何度も目が合うくらい、自分の姿を視線で追ってくれなくちゃ物足りない。
まだ恋が成就したわけじゃないのに、独占欲が生まれてくる。
それくらい主人公の胸の中は好きな人一色なのでしょう。
自分の心はもうその人に独占されている。
だから相手にも、同じくらい自分のことを思って嬉しくなったり悲しくなったりしてほしいんですね。
サビ前の部分の"見せつけて"という言葉が印象的です。
もうすでに狂おしいほど好きなのに、もっと君のことを好きになりたい。
好きになれるから、笑顔も優しさも全部自分に向けてほしい。
こんな風に思われていると知ったら、きっと誰でも嬉しいはずです。
でも、サビを見てみるとこの恋は全然進んでいない様子。
やっぱり主人公はうまく気持ちを伝えられずにいるみたいですね。
思わせぶりな態度で恋を進めるのが上手な子もいれば、そうでない子もいます。
主人公は後者なのでしょう。
聴いていてもどかしさがこちらにまで伝わってきます。
恋は臆病になる
他の子たちと喋ってるところを
見せたら嫉妬しちゃうかな
早くしなきゃ逃しちゃうかもよ
ぼやぼやしないで おねがい
嘘ついたり 距離置いたり
臆病風は止まない
恋の仕方 取り扱いは
気をつけて
キライキライキライ言ったって本心じゃない
小悪魔なテクニック
クライクライクライ 泣いたって心配はない
涙さえ武器になる
ドキドキのスパイラル
出典: ドキドキラビリンス/作詞:Haggy Rock 作曲:Haggy Rock
「はやくこの気持ちに気づいてよ!」
そんな心の叫びが聞こえてきそうな2番です。
主人公なりにきっとこれまでたくさんサインを出してきたのかもしれません。
でも相手が恋に鈍感なのか、全然気づいてくれていない様子が浮かびます。
強気な態度にも感じられる歌詞ですが、"おねがい"のひと言にヒリヒリとした焦りと切なさが滲んでいますね。
好きな人ができると、その人に振り向いてもらいたいものです。
でも万が一、恋が実らなかったら関係がギクシャクしてしまうかもしれません。
そういう最悪のパターンを考えると、好きだと伝えるのも気持ちを気づかれるのも怖いもの。
怖いからどうしても臆病になってしまいます。
だけど、やっぱりどうにか気づいてほしいし、好きになってほしい。
解決方法がわからなくて、感情と願望が入り乱れて出口が見つからない。
まさに主人公の恋心は迷宮入りしているようです。
主人公の気持ちに感情移入すると、なかなかうまくいかない恋に切なくなります。
筆者は恋の相手に対して「なんで気づいてあげないの!?」とじれったくなってきました。
強い意志で貫く恋
Good Days 恋はスパイラル
(Good Days ココロ踊りだす)
Bad Days たまに空回り
(Bad Days ついてない)
たりないたりない 努力の日々
めげないめげない つまずいても
ドキドキのモチベはいつでも君だから
誰を思いながら夜を眠るの?
君の夢に お邪魔したい
出典: ドキドキラビリンス/作詞:Haggy Rock 作曲:Haggy Rock
健気な片思いが続きます。
片思いをしていると、不意にもうやめちゃおうかな……と魔が差すことがあります。
こんなに頑張ってるのに気づいてくれない。いつまで経っても結ばれない。
恋を投げ出したくなるんですね。
でもこの主人公は自分の気持ちから逃げない強さを持っています。
曲の前半では少しか弱い印象だったんですが……。
"君"がいる限り「好き」を諦めようとしていなくて、とても心が強い子なんだなと感じました。
小倉唯のあどけないかわいさのなかに潜む、凛とした表情に通じるものがある気がします。
恋に挑んでいく
コワイコワイコワイ 本当は無理して
強気な子 演じてる
ツライツライツライばっかり言いたくない
プライドでサバイバル
キタイキタイキタイばっかで進展がない
モヤモヤが溜まってく
トライトライトライ いつだって挑戦者
結末はわからない
ドキドキのラビリンス
出典: ドキドキラビリンス/作詞:Haggy Rock 作曲:Haggy Rock
最後はサビが2回続きます。
先程主人公について「心が強い子」だと表現しましたが、やっぱり恐怖心も抱えているんですね。
好きな人ができたら、誰でも多少は「どう思われてるかな?」と怖くなるものです。
でも主人公の場合、プライドもあるから弱音を吐きたくないし、恐怖心に打ち勝ちたい。
なんでもない振りをして恋の駆け引きをしかけて、彼を手に入れたい。
そんな風に思っているようです。
歌詞を通して、主人公はプライドが高くて気が強い意地っ張りな性格だと感じました。
相手にベタ惚れだけど、きっと相手から告白をしてほしいタイプです。
そのためにはどうしたらいいのか、試行錯誤しているのでしょう。
だから、自分のことを"挑戦者"と表現しているのだと思います。
好きな人ができて「どうしよう」と戸惑いを歌う楽曲もありますが、この曲は違います。
好きだからあれこれとたくさん努力をして、どうにか迷宮から脱出しようともがいている曲です。
そこからは好きな人を振り向かせたいという気持ちがストレートに伝わってきます。
片思い中の人にとっては、かなり共感できる歌詞ではないでしょうか。
直接的な恋の応援ソングではありませんが、一緒に恋を頑張ってみたくなる。
そんな楽曲です。
男性が聴くと、小倉唯のかわいらしい歌声と相まって「こんな風に好かれてみたい」と感じる曲かもしれません。