不甲斐ない声で叫んだって
熱を持つ夜に変わっていく
この手が離れても
また歩いて行けるように
出典: veil/作詞:須田景凪 作曲:須田景凪
「温まらない、冷たい」とネガティブな心情が吐露されてきましたが、結局「熱」にたどり着きました。
最終的に「炎炎ノ消防隊」を彷彿とさせるこの言葉に持っていくため丁寧に積み上げてきたのかもしれません。
3~4行目もアニメの内容がイメージされるのではないでしょうか。
ただ、今回の解釈は、須田さんが主人公の歌物語として続けます。
これまで須田さんの音楽を聴いてきた方が離れたとしても、音楽を作ることは止めない。
そういう話でしょう。
ネガティブな思いを抱えたままポジティブな歌詞を放つことによって、離れるリスナーもいるのかもしれません。
それでも熱い、ポジティブな方向性に進むと解釈できそうです。
向かう先は何処?
今は変わる途中
分かち合うことない言葉が
ふと気付く度に増えていた
今と向き合って変わっていく
その姿を見ていて欲しい
あなたの言う未来は
ただ、この手に収まらなくて
どんなに繕ったって
その笑みの奥を
疑ってしまうだろう
出典: veil/作詞:須田景凪 作曲:須田景凪
心に傷があると、夢や理想を求めるあなたとはなかなかわかり合えないのかもしれません。
ただ、そのことに気がついたから変わる姿を見てほしいというわけです。
もちろん急にポジティブな言葉ばかり並べるのは難しいでしょう。
ネガティブな感情は抱えたままです。
それでも今は変化している最中と言葉にしながら実際そうなっています。
須田さんがリスナーと真摯に向き合いながら音楽を作る姿がそのまま歌詞になっているところが絶妙ですね。
向かう先にあるのは夢
終わらない日々の向こうだって
救えないくらいの憂だって
この指がもがくほど
遠く滲んでしまうのだろう
触れない思いの色なんて
知りたくはないと思っていた
あなたが居なくても
夢を見ていたいのに
出典: veil/作詞:須田景凪 作曲:須田景凪
音楽制作のなかでもとくに言葉、つまり作詞についての葛藤が描かれていると考えられるこの曲。
須田さん自身やリスナーの心の中にも様々な悩みや問題があるでしょう。
しかし最終的には「希望・夢・理想」といった癒しになるポジティブなテーマを愛したいと考えられます。
もちろんネガティブな心情が描かれた歌詞のほうが寄り添ってくれる感じがするという方もいるでしょう。
あるいは前向きな言葉のほうが逆に嘘くさいと思う方もいるはずです。
明るい方向を目指しても届かず、心の奥底までは響かないかもしれません。
離れるリスナーもいるでしょう。
夢を追うこと自体が、逆に夢のように儚く消える可能性もあります。
それでも、いなくなるかもしれないリスナーと二人三脚で向かう先にあるのは夢なのでしょう。
須田さんの熱い思いが伝わります。
結局どうなったの?
ネガティブな心にも
象ったような不幸が
あなたを襲うなら
この手の平で触れていたいな
繕って吐いた言葉が
誰かを呪うなら
口をつぐんでさ
出典: veil/作詞:須田景凪 作曲:須田景凪
目の前の現実がとんでもないことになっているのに、このご時世、将来に夢なんてなかなか抱けないでしょう?
そんな思いにも寄り添ってくれます。
この歌詞の主人公自身、痛みを抱えているという前置きがあったので非常に共感しやすいのではないでしょうか。
ここでは熱い言葉を抑えて、ただそっと一緒にいてくれるイメージです。
ポジティブな言葉が逆効果になりネガティブな感情を生むのなら、使わない方法もあるということでしょう。
酸いも甘いも嚙み分けた優しさが心に染みわたります。
完全な別れではない
さよならは言わずに
何処かでまた会えるように
出典: veil/作詞:須田景凪 作曲:須田景凪