最後に思い出した その小さな言葉
静かに呼吸を合わせ
目を見開いた
あなたの名前は
出典: ドーナツホール/作詞:HACHI 作曲:HACHI
顔を覆って嘆く中、バイバイをした「あなた」の最後の抵抗だったのでしょうか。
間の2行で「僕」の動揺が表現されています。
思い出された「小さな言葉」は何だったのでしょう。
「小さな言葉」こそが「あなたの名前」だったのか、「小さな言葉」から「あなたの名前」が導かれたのか。
「あなた」の正体
「あなた」の正体とは何なのでしょう。
誰か大切な人でしょうか。それとも「僕」の中にあった失ってしまった感情のいずれかでしょうか。
女の子が顔に施したペイントは、言わば仮面のようなものです。
本当のところは共感できていなくてもみんなが笑っているときに笑って、怒っているときに怒ってみせることでなんとなくその場を乗り切っていたのかもしれません。
友だちといるのだから、みんな笑っているのだから楽しいはずだと思い込んでいたのかもしれません。
そうやって自分自身を隠して周囲や自分をごまかしていましたが、派手なペイントに隠された表情は感情が抜け落ちたような無表情。
明快なところを進んでいったはずなのに、気がついたら袋小路。
楽しいと思っていたはずなのに、そんな感情さえ嘘だったのか。
自分はどんな表情で泣いて笑って怒っていたのか。
何を思って何を考えていたのか。
何が自分の本当だったのかもわからなくなり、忘れてしまった感情もあったのでしょう。
自分の中から色々なものが欠落してしまい、そのことに気づいて嘆くことができるというのがただ一つ残された自分らしさだったのとしたら。
何の救いにもなりません。
ですが、忘れているだけなら思い出せるはずです。
「もう永遠に会えない」と言いながらも、諦めきれない「僕」は自分自身の奥底へと手を伸ばしたのです。
空振りに終わったと何かを掴み損ねて握りしめた手に、実は何かのカケラが引っかかっていたとしたら。
そのカケラが、ついに諦めようとした「僕」が最後の最後に思い出した「小さな名前」だったのかもしれません。
「僕」自身を構成するピースのほんのひとかけらを、「僕」はその手に引っかけることができたのでしょう。
「あなた」は周りに合わせるばかりで見失ってしまった「僕」自身だったのではありませんか。
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