聴こえない振りをして もたれかかって
目を閉じてみたけど 気になるから眠れない

誰もがそれぞれの 切符を買ってきたのだろう
荷物の置き場所を必死で守ってきたのだろう

出典: 銀河鉄道/作詞:藤原基央 作曲:藤原基央

後ろの席からの舌打ちに知らない振りをしようと決めて、倒したシートにもたれかかる「僕」。

眠ってしまおうと目を閉じますが、結局眠ることはできず。

舌打ちに舌打ちを返すのでもなく、怒るでもなく、どちらかというと申し訳なさそうな雰囲気です。

心優しく少し気の弱い「僕」の内面が垣間見えます。

眠りにつくことができなかった「僕」は電車と人生に思いを巡らせます。

電車の行きつく場所は一緒でも、そこに向かう目的は人それぞれです。

今までの物語を必死に詰めた、心の拠り所でもある鞄の置き場所を確保し必死に守っています。

新しい土地への旅立ちは、期待ももちろんありますが、やはり不安でいっぱいです。

これまでの思い出を必死に守りながら不安と向き合う電車の旅は続きます。

確かに近づいている「終わり」の時

【BUMP OF CHICKEN/銀河鉄道】歌詞解説!電車と人生は似ている?不思議な世界にようこそ♪の画像

人は年を取る度終わりに近づいていく
動かないように見えても 確かに進んでいる

出典: 銀河鉄道/作詞:藤原基央 作曲:藤原基央

年を取る度に「終わり」、つまり「死」に近付いている。

それは悲しく寂しい事でもありますが、どうしようもない事実です。

何もしていなくても電車は街から街へと移動しているように、何もしていないように感じる今も確かに進んでいる。

電車が移動する距離が、時間の流れの比喩となっている表現です。

何もしていなくても、時は流れ歳を取っている。

あえて例えるとするならば、人生という電車は止まることなく動き続け、終点つまり死に向かっているのです。

絶えず進み続ける電車は、人の意志に関せず進み続ける時間と似ているのかもしれません。

止まったままの「僕」が抱える劣等感

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自転車を漕ぐ人の眩しさ

自転車を漕いで手を振る人 見送りたい人が居るのだろう
相手を想うならやめてやれよ ちょっと恥ずかし過ぎるだろう

僕の体は止まったままで あの自転車を遠ざける
本当はとても羨ましかった 僕は止まったままだから

出典: 銀河鉄道/作詞:藤原基央 作曲:藤原基央

ホームを出たばかりの電車の窓の外。

電車に乗った誰かを見送る為、必死に自転車を漕いで手を振る人がいました。

見送られている人は、遠くに行ってしまうかそれともしばらくここには戻れないのか、いずれにせよつらい別れなのでしょう。

そんな光景を目にして、自分だったらちょっと恥ずかしいなと思う「僕」。

相変わらず止まったままの「僕」の体。

止まったままなのにあの自転車を遠ざけていきます。

そんな「僕」の本音は「とても羨ましかった」。

止まったままの「僕」と違ってあの自転車を漕ぐ人は、自分の体で自転車を漕ぎ別れ全身全霊で別れを惜しんでいたから。

恥ずかしいという感情の裏には、自分に無いものをもっている人への劣等感にも似た感情が隠れていました。

思いがけず触れた人の温かさに流れる涙

【BUMP OF CHICKEN/銀河鉄道】歌詞解説!電車と人生は似ている?不思議な世界にようこそ♪の画像

冷えた心に差し出された純粋な温もり

役には立てないし 邪魔はしちゃうし
目を閉じてみたけど 辛くなるから目を開けた

真っ赤なキャンディが差し出されている 驚いたけど貰ってみる
笑った女の子が席に戻る 誰にも知られず僕が泣く 

出典: 銀河鉄道/作詞:藤原基央 作曲:藤原基央

自分には無いものばかりで、何かをしようとしたって人の役に立てないし、人の邪魔をしてしまう。

自分に自信が持てない「僕」は、そんな現実を少しでも忘れようと目を閉じます。

でも、目を閉じても忘れるどころか余計に考え過ぎて辛くなってしまい、また目を開きました。

そこで目にしたものは、とても意外な光景。

さっき拾ってあげたクマのぬいぐるみを持った女の子が、真っ赤なキャンディを「僕」に差し出していました。

驚きを隠せないままそのキャンディを受け取る「僕」。

キャンディを受け取ってもらい、微笑んで席に戻る女の子。

現実から逃れようと目を閉じ、それも辛くて再び現実に目を向けた時に触れた温かい現実。

それまで感じていた不安や自信の無さが解け、思わず涙が零れました。

いよいよ近付く「生きる街」

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電車の窓はガタガタ鳴く 生きる街を近付ける
出迎える人も居ないであろう僕の 生きる街を近付ける

出典: 銀河鉄道/作詞:藤原基央 作曲:藤原基央

「僕」の乗る電車が目的の駅に段々と近づいてきたようです。

「生きた街」を離れ、これから「生きる街」へ。

電車の旅は「僕」の過去と未来の分岐点であったのかもしれません。

見送る人がいなかった「生きた街」。出迎える人のいない「生きる街」。

「僕」の人生は孤独からのスタートです。