Yogee New Wavesの「World is Mine」とは?
「World is Mine」は2017年5月17日に発売されたYogee New Wavesのセカンドアルバム『Waves』に収録された楽曲です。
スペースシャワーTV2017年5月度POWER PUSHに選ばれた本作。
また、リリースに先駆けてYouTubeで公開された公式MVの再生回数は532,856回(2018年3月15日現在)と、その注目度が窺えますね。
まずはそんなMVからチェックしていきましょう!
「World is Mine」のMVをPLAY♪
「World is Mine」のMVの監督を務めたのは山田健人さん。
洗練され、かつ攻めた演出の映像でも話題のyahyelのVJ兼MVの監督であり、Suchmosの楽曲の世界観を見事に表現した監督としても有名な人ですね。
また、宇多田ヒカル「忘却 featuring KOHH」や、米津玄師「灰色と青(+菅田将暉)」のMVを手がけたことでも話題になりました。
では、このMVに込められたメッセージとは...?
映像から読み取ってみたいと思います。
そもそも...このロケ地の廃墟はどこなの?!
MVの撮影の舞台は、相模湖の近くにある、以前ボウリング場だった場所だという風なことを以前のインタビューで見ました。
そのコメントを手掛かりに今回改めて調べてみると、どうやらロケ地は2010年に廃業したパーラーAOIという場所のようですね。
貼り付けてお見せできる画像がなく申し訳ないのですが、ネット上でこの名前や相模湖・ボーリング場で調べると、画像が出てきますよ。
この施設はボウリング場やパチンコ店、ゲームセンターなどの複合施設で、ビリヤード場もあったようです。
MVでは外に面したラウンジらしきスペースやボーリングのシューズ、パチンコ玉が散らばっている様子なども映されており、間違いなさそうですね。
荒れ果てたボーリング場からの脱出...?MVが意味するものとは!?
ここからが本題ですが、なぜこの場所で撮影されたのかを映像から考えていきます。
落書きなど荒らされ具合が夥しい廃墟の中での演奏シーンの後、ここもまた落書きが残る洗面台のようなところで髪をセットする様子の角舘さん。
そして、普段着のようだった格好から着崩しながらもジャケットやシャツ、スラックスなどおしゃれな格好に着替えたメンバーが向かった先。
それは、外です。
風に吹かれながら夕焼けが照らす屋外で高らかに歌う姿は清々しい限り。
屋内ではタバコの煙の中だったり、わざと暗い場所やボーリング場の椅子の上など狭い場所で演奏されていましたね。
この外でのシーンの開放感との対比を強調するためだったのでしょう。
このことから読み取れるのは、かつて賑やかだったのに、廃れてしまったことにより一層の寂しさ漂う場所からの脱却。
ボーリング場の廃屋は時代が変わるにつれて以前は人々から持て囃された文化も廃れていくことを意味しているのではないでしょうか。
そんないわば"文化の廃墟"のようなところで変わらない音楽をやっていても意味がない。
だからこそ、自分たちは退廃した文化に新しい風を吹き込み、そして、そこから脱却して自分たちなりの新しい音楽の波を起こして行こう。
そんな意味が込められているのではないでしょうか。
Yogee New Waves「World is Mine」の歌詞を解釈!
ここからはYogee New Wavesの「World is Mine」の歌詞を解釈していきます。
解釈の幅がある歌詞なので、みなさんも自分だったらどんな解釈をするか考えながら読んでいただけたら幸いです。
君との心の距離を探るのに言ったジョークは...
ここから始めよう
君の心の距離を ジョークと一緒に探ってみたいんだ
外に出て 靴を履き 空見上げ 雲流れ 外に出よう
この街が なくなってしまう前に
ぼくら一緒に飛び立とうよ
この街が いつか消えて無くなる前さ
ぼくら一緒に Oh Baby
世界は誰にも渡せないって 約束したのはぼくだよ
君の顔を見てたんだ どうなったっていいんだ
世界は誰にも渡せないって
言ってたヒーロー逃げたろ?
君の顔を見たんだ
出典: World is Mine/作詞:Kengo Kakudate 作曲:Kengo Kakudate
この曲の歌詞の登場人物である「君」と「ぼく」の関係性を考えるために、まずサビの歌詞から考えていきたいと思います。
世界を守るのが当たり前の物語の中のヒーローが、あるとき突然裏切って人々を見捨てて立ち去ってしまったら...。
そんなシーン想像できませんよね。
「君」は、そんな風に絶対裏切らないヒーローのように信頼しきっていた彼から振られてしまった女の子。
そして、「君」を想い続けているのが「ぼく」です。
「君」にとっては辛い失恋でも、「ぼく」にとってはある意味チャンスな訳ですね。
そこで「ぼく」は慰めることに乗じて、こんなことをいうのです。
ヒーローみたいに信じていたのに裏切った彼のことなんか忘れて、「君」を守るって誓ったのは最初から「ぼく」ってことでいいじゃないか。
これからは「ぼく」が「君」のヒーローになるということですね。
そんな「ぼく」や彼をヒーローになぞらえたこのサビに出てくる歌詞こそが、「ぼく」が「君」との心の距離を測るのに使った「ジョーク」です。
落ち込む「君」をとりあえず気分転換に外に出ようよと誘うことに成功した「ぼく」はこんな風に彼女を慰める。
自分たちが当たり前に住んでいるこの街だっていつか廃れて無くなってしまうように、信じた恋が終わることもあるさ。
だから、廃れていく街に住み続けるように、過去の恋愛にとらわれ続けるのではなく、一緒に飛び立ってしまおうと言っているのですね。