セカンドアルバム「FIXION」に収録されている「A-E-U-I」
攻撃的なオーラルを表現したアルバム
「A-E-U-I」はTHE ORAL CIGARETTESのセカンドアルバム「FIXION」に収録されている楽曲です。
2016年1月にリリースされたこのアルバムは、オーラルの2016年にかける攻撃的な一面が詰め込まれた渾身作。
初回生産限定盤と通常盤の2形態でリリースし、初回生産限定盤にはDVDを同梱。
DVDにはボーカルの山中拓也が患ったポリープに関するドキュメンタリーや、夏フェスのライブ、手術後の様子までが赤裸々に映されています。
ファンにとってはかなり衝撃的な内容になっています。
しかし復活に向けて這いつくばりながらでも前に進むオーラルの、まさに野性的で攻撃的な一面をこのアルバムに詰めているのです。
復活したからにはとことんまで進んでやるという意志を感じる一枚ですが、実はポップな曲もあり、聴きやすいところが魅力です。
攻撃的なのに、どこか繊細なところがあるのがオーラルらしさなのかもしれませんね。
アルバムのタイトルは造語
アルバムタイトル「FIXION」はオーラルの考えた造語です。読み方はフィクション。
fiction(想像)とfix(修正する)という2つの単語を組み合わせて作ったと語られています。
妄想したり色んなことを考えるという意味でfiction。
そして声帯ポリープを乗り越えてバンドを確固たるものにしたいという思いからfixを選んでいます。
ポリープが原因でライブを中止せざるを得ない状況になった過去をふまえ、これからバンドとしてどこにたどり着きたいのかという思いをタイトルにぶつけています。
この意味を知っているだけで、アルバムの内容や歌詞などが違って見えてくるでしょう。
ぜひ単語の意味をもう一度見直してから、アルバムの中身をじっくりと聴いてみてくださいね。
コンセプトは織姫と彦星の物語
フィクションの中に存在するものを表現
ボーカルの山中拓也はTwitterで「A-E-U-I」について、織姫と彦星の物語だと語っています。
織姫と彦星と言えば、一年に一度7月7日の七夕の日にしか会うことのできないというストーリー。
もちろん現実的な話ではないのですが、山中拓也はこの話をモチーフに、現実にないものの中に存在する確かなモノを表現しています。
一年に一度しか会うことのできない両者、そして七夕の日に訪れる障害。
織姫と彦星の物語ということを前提に、次は歌詞の内容を詳しく見ていきましょう。
歌詞に込められた悲しき思いとは
あなたに会いたい
A-E-U-I A-E-U-I
明日なき2人の
日々待つ無情な関係に
募った想いは夜空を混ぜ滲んでいく
許された時間を胸にただ
刻んであなたの姿が映っているんです
出典: A-E-U-I/作詞;山中拓也 作曲:山中拓也
一年に一度しか会うことのできない2人には、明日また会おうなんていう甘い展開はありません。
この機会が終わったら、またお互いを想いながら待ち続ける日々が待っているのです。
どんなに思い焦がれても、会うことは許されない。
会いたいと願えば願うほどに、想いだけが募っていく。
一年にたった一度の許された、限られた時間を胸に刻んで、今年もあなたの姿を心に焼き付けなければいけない。
目を閉じればあなたの姿がいつだって思い出せるのに、会うことは許されない。
人は奇跡的なストーリーと言うけど、当事者にとって見れば悲しい日々が積み重なっていくだけ。
光る星の流れるフィクション
今は解けない悲しきフィクション
溢れる互いの愛を詰め込んだ
光る星の流れるフィクション
今は解けない2人のフィクション
A-E-U-I A-E-U-I
出典: A-E-U-I/作詞;山中拓也 作曲:山中拓也
流れるフィクション、これは流れ星を連想しやすいですね。
願いをそっと言ってみるけれど、そんなことが叶うはずもなくて。
もちろんこれは現実的じゃない、想像の中の話。
だけど今日だけは、2人の溢れる愛が満ちてお互いが幸せな時間を過ごせていますように。
2人だけの物語が輝いていますように。