BUMP OF CHICKEN『時空かくれんぼ』
テレビなどへの露出が少ないながらも若者を中心に大人気のバンド、BUMP OF CHICKEN。
彼らがメジャー3枚目にリリースしたアルバム「orbital period」から、今回はこの曲をご紹介!
様々な捉え方ができそうな歌詞を筆者なりに解釈し、徹底解説します。
不安や恐怖の元凶って?
誰もが求める「安心感」
安心すると 不安になるね 例えば 今
だから今を 未来の外れに 置いて忘れよう
そう思った 過去 繰り返した 今
出典: 時空かくれんぼ/作詞:藤原基央 作曲:藤原基央
安心とは、とてもポジティブであたたかな感情です。
人々がこぞって求める安心感ですが、実は手に入った瞬間それは不安に早変わりします。
この安心はいつまで続くのか。どうやって持続させたらいいのか。不安は尽きません。
それなら不安にならないように安心を排除すればいい。そう考えたのでしょう。
未来は誰にもわかりません。予測はできても、確実なことはその未来がこないとはっきりしないのです。
それなら安心も不安も感じなくて済むように、「今」は「常に不確定な未来」だと思えばいい。
そう気がついたことをきっかけに、何度も同じことを繰り返している様子が描かれています。
変わりゆく現実
温かいものは 冷めるから それが怖くて 触れられない
貰わなければ 無くす事もない
もういいかい 過去 まぁだだよ 今
出典: 時空かくれんぼ/作詞:藤原基央 作曲:藤原基央
寒い冬の日、マグカップに入れたココアから湯気が立ち上る様子を想像してみてください。
注いだばかりのココアはホッとするような温かさを持っています。
しかし時間が経つと、次第にココアから湯気は立たなくなる。そう、すっかり冷めてしまうのです。
これは人の気持ちも同じです。相手への優しさ・思いやり、そして好きと思う気持ち…。
マグカップの中のココアのように、人の気持ちも次第に冷めてしまう。
そんなこと、大半の人が嫌だと思うでしょう。触れたら冷めそうな恐怖心で、近づくことができません。
2行目も似たような感覚です。
無くさないようにする努力はいくらでもできます。無くさないように気をつけることはたくさんあります。
それでも100%無くさないことは不可能なのです。
それなら最初から手にしなければいい。最も確実で合理的、そして最も寂しい方法を選んだようです。
成立しないかくれんぼ?
隠れる場所は どこであろうと 常に世界の中心だから
すぐ見つかって オニにされるよ ずっと探す側の かくれんぼ
出典: 時空かくれんぼ/作詞:藤原基央 作曲:藤原基央
かくれんぼをしている自分は、世界のど真ん中に隠れているようです。
なぜそんなにわかりやすいところへ隠れているのか、その理由がわかるでしょうか。
実はこの後に出てくる歌詞で詳しく表現されているのですが、ここでは1つだけヒントを。
2行目にある通り、このかくれんぼは自分がずっとオニになってしまいます。
つまり隠れても、すぐ見つけられてしまうということ。これがどういう意味かは後程解説しましょう。
マイナスを避けるためなら…
君に会わなきゃ良かった 何も言わなきゃ良かった
出典: 時空かくれんぼ/作詞:藤原基央 作曲:藤原基央
会わなければ…言わなければ…幸せになったり嬉しくなったり、こんな素敵なことはなかったでしょう。
しかしそれと同時に、悪いことも起こらなかったかもしれません。
この曲ではここまでの歌詞からもわかる通り、無難な生き方を望む様子が描かれています。
ここでも同じく、無難な選択肢を手にしました。
悪いことが起こるくらいなら、良いことを手放してでも悪いことを避けたい。その方が幸せだ。
そう考えているのでしょう。