三浦春馬さんの遺作となってしまった「Night Diver」

楽曲「Night Diver」は2020年8月26日に三浦春馬さんの2作目としてリリースされました。

この曲の発売前に、残念ながら急逝された三浦春馬さん。

彼がこの世に残した最期の楽曲であり、アーティストとしての情熱を随所に感じることができます。

MVはYouTubeで公開後、4日間で1000万回再生を超えました。

彼のメッセージが楽曲に乗って全国に拡散されたわけです。

シングルデビュー作「Fighting for your heart」に続くヒット作となりました。

発表されたCDの初回限定盤には、スタジオライブやドキュメンタリームービーが収録されたDVDが付いています。

作詞作曲は、Hey! say! JUMPや日向坂46などに楽曲提供している辻村有記さん。

彼は、三浦春馬さんのことを「僕にとって唯一無二のアーティスト」とコメントしています。

「Night Diver」は軽快なリズムのポップなナンバーです。

過去から抜け出せない男の感情の機微を熱く表現しています。

透き通るような高音で歌い上げる三浦春馬さん。

どんな心境で歌っているのか、想像するだけで胸が熱くなります。

この記事では、歌詞の意味について主人公の感情を主体に深く考察してみました。

諦めの中に見える意志

主人公が人知れず抱える胸の痛みは、毎夜彼を縛り付け、朝になっても棘が取れません。

辛い痛みから目を背け、知らないふりをしていても、夜が来るとまた痛みを思い出すのです。

瞼閉じて映る世界
そこに君がいるならば
もういっそこのままでいいや
いつまでも忘れられなくて

出典: Night Diver/作詞:辻村有記 作曲:辻村有記

瞼を閉じて思い浮かぶ世界は、過去の幸せだった日々。

主人公は、お互いに愛のよろこびを感じていた頃の恋人との付き合いの日々を思い出しています。

今は彼の元にはいません。何らかの事情で彼から離れてしまったのです。

そばにいなくても良い。

想像の世界だけでも、君の顔を見ることができれば満足できるとつぶやいています。

彼女との間に言葉のかけ違いや、思いのすれ違いがあったのでしょうか。

彼の胸に去来しているのは、会えなくなってしまった彼女に対するあきらめの気持ちと、少し投げやりな思いです。

夜一人でいると今までのいろんな思い出が脳裏に蘇ってくるものです。

良い記憶だけではありません。その殆どは良くない思い出。

傷ついて自虐的になったり、取り戻せない時間を憂いて後悔することが多いのです。

彼女との別れの理由は歌詞からは読み取れません。

心変わりや、他に好きな男性ができたのではないでしょう。

彼のわがままが許せなかったのだと思われます。

彼女に対する言動や態度に愛想をつかされたか、行き違いがあったのでしょう。

彼女に対して半ばあきらめの心境になっているのは、過去の行いに対する後悔とそれに伴う未練の現れなのです。

暗い思い出が胸に棘をさす

明日になれば治まるような
胸に突き刺さる棘の行方
知らんふりして見ないようにして

出典: Night Diver/作詞:辻村有記 作曲:辻村有記

彼女との暗い過去の思い出は、一日たてば解決するような軽いものではありません。

お互いに傷つけあってしまった過去。

小さな誤解から心が通わなくなった二人は、胸の隙間を埋め合うような心の余裕がありませんでした。

相手を愛していながら、別れてしまいます。

今でも変わらない愛の存在がわかっているから、いつまでも忘れられないのです。

夜に繰り返される後悔

気付いたら戻れないような気がした
昨日も同じ事考えて結局こんな夜過ごして
それでも嫌な感じじゃなくて

出典: Night Diver/作詞:辻村有記 作曲:辻村有記

彼女と別れなければならなくなった時、彼はその理由を故意に遠ざけて、考えないようにしました。

彼女との別れを見ないようにして、自分の心を慰めていたのです。

昼間は忘れていても、夜になると後悔が首をもたげてきます。

毎晩繰り返される後悔の念

まだ愛しているので、彼女のことを妄想することはそこまで嫌ではありません。

幸せだった頃の思い出と後悔の思いが、胸の中で葛藤しているのです。

誰も知らない言葉とは

主人公の心の中に渦を巻き起こす「誰も知らない言葉」はどんな意味が含まれているのでしょうか。

誰にも言えずに胸にしまったままで苦悶の夜を過ごす心情を考えてみました。

誰も知らない言葉は胸にしまった自分の思い