舞台は?
歌詞が描き出す景色を想像してみると、この楽曲の舞台は学校でしょう。
学校生活のどこか1部分だけを切り取っている、というよりは、様々なシーンが流れるように描き出されています。
早速それぞれのシーンごとに分解してみていきましょう。
楽しい運動会の思い出
しゃっくりの応援団 涙の運動会
食べ残したお弁当 まだ捨てナイで
出典: 居眠り遠征隊/作詞:ACAね 作曲:ACAね
こちらの歌詞では、多くの人が楽しみにしていたであろう運動会の様子が綴られています。
しゃっくりは発声などの刺激でも引き起こされるもの。
それが出てしまうくらい、大声を張り上げて自分のチームを応援したのでしょう。
それほど真剣に向き合っていたからこそ、嬉しくて、悔しくて、涙を流しているのです。
そんな風に熱中した結果、楽しみしていたはずのお弁当は食べそびれてしまったのでしょうか…?
「取っておいてほしい」ということは、楽しかった1日を振り返りながら食べるのかもしれませんね。
学生時代の友人関係あるある
地下の階段TAMURO 嫌いの共感会議
何も言わなくても ただ 頷いて
出典: 居眠り遠征隊/作詞:ACAね 作曲:ACAね
場面は変わってこちらの歌詞では、日常の学校生活が描き出されていますね。
学生時代、特に理由はなくても友人たちと群れていた記憶はありませんか?
「誰かと一緒にいること」そのものがステータスであり、精神安定剤でもあったのでしょう。
そんな学生たちが集まった途端に開催されるのが、1行目後半に登場している会議。
この会議で重要なのは、自分自身がどう感じているか、それを表明することではありません。
2行目で示されている通り、いかに相手の主張に共感できるか。これに尽きるのです。
この会議に参加してしまった結果、思ってもいない誰かの悪口に加担してしまった人も多いことでしょう。
日々打ち込んだ部活動
元気のナイ号令 居眠り遠征帰り
練習試合1つも勝てナイし
朝練してばっか 仲間のドクロ
何も言わなくても ただ隣 来て
出典: 居眠り遠征隊/作詞:ACAね 作曲:ACAね
ここからは、再び場面が大きく転換しています。
この先描かれているのは、学生時代多くの人が必死に取り組む部活動の様子。
特に運動部に所属していた人は、「わかる!」と共感できそうな内容が続いていますね。
活動の中で、他校へ赴いて練習試合をすることもあるでしょう。
大会が開催されれば、そのたびに全員で会場へ足を運んだりもします。
往復の長時間移動、試合の緊張感など、遠征は学生たちの体力を想像以上に奪うものです。
1~2行目の歌詞からは、そんな学生たちの姿が容易に想像できますね。
そして続く3行目。大切な仲間のことを骸骨に例えていますが、いったいどういう意味でしょうか。
様々な解釈ができるようにも思えますが、これはきっとライバルのような存在を表しているのでしょう。
大切な仲間だけれど、いつも負かされそうになってしまう…。
自分より優れていると思うけれど、絶対に負けたくないとも思ってしまう…。
自分を高めるきっかけをくれるけれどちょっぴり危険。そんな仲間のことを指し示しているように感じられますね。
なじめない主人公
質問攻めして わざと負けてみたって
何してるのかって 自分でもわからなくて
辞りたいことだって 辞めたいことだって
暇つぶす口して 答え知りたくナイんだよ
出典: 居眠り遠征隊/作詞:ACAね 作曲:ACAね
ここでは、学生時代ならではの悶々とした心模様が綴られています。
先ほど紹介した歌詞の中で、群れたがる学生の様子が描かれていました。
この楽曲の主人公はそのような学生たちと異なり、そんな雰囲気に疑問を抱いているようです。
だからこそ、黙って同調していればいいような会議で出しゃばって喋り続けたのでしょう。
通常の会議であれば、様々な根拠で自分の考えを訴え続けることは非常に有効です。
しかし学校で行われているこの会議は特殊。
なぜならここでルールを破ることは、負け=群れている集団からはじき出されることを意味するから。
主人公はなぜこのような行動に及んでしまったのか、自分自身の思考に追いつけていません。
わからないけれど、でもただ1つ明らかなのは後悔していないということでしょう。