【KOTORI/トーキョーナイトダイブ】歌詞から見える孤独…。1stフルアルバム「kike」収録曲

突然ですが、タイトルに『東京』が入っているナンバーは名曲が多い気がしませんか？

シンプルに『東京』だけのタイトルでも、サニーデイ・サービスやくるりが思い浮かびます。

昨年、紅白歌合戦に初出場を果たした竹原ピストルは『東京一年生』なんて歌を作っています。

先日「完結」したチャットモンチーは『東京ハチミツオーケストラ』という上京ソングを歌っています。

筆者の好きな歌を挙げていったら一日が終わってしまうほどですが、ここでオススメの一曲を紹介します。

それはKOTORIの『トーキョーナイトダイブ』です。

東京ソングの新定番になること間違いなしの一曲です！

KOTORIは埼玉県越谷市で結成されました。

バンドとしても越谷市を拠点に活動を展開しています。

越谷市がどんなところか簡単に紹介しますと、東京にとても近い土地です。

一番近い県境までは、直線距離でわずかに10kmほど。

電車に乗っていたら一瞬で通過してしまうほど細い川を渡れば、もうそこは東京です。

渋谷でライブをやって、打ち上げでしこたま飲んで……。

それでもまだ終電に間に合ってしまうくらい、近い場所です。

わざわざ都内に出向かなくても、少し高いビルに登ればスカイツリーだって丸見えです。

大宮へ行くより、上野あたりの方がアクセスだってしやすいほど。

越谷を拠点に活動する彼らにとって、東京は旅行先でもなければ、上京先でもありません。

スペシャルな要素なんてどこにもない、生活の一部に過ぎないところです。

ゆったり聴かせるイントロが印象的です。

夜半、遠くの方を走る車の音だけがかすかに聞こえているような情景が目に浮かびます。

まだまだ残暑は厳しいですが、現在、東京の猛暑はひと区切りがついたところです。

夜には秋風を感じるようになってきました。

そんな夜にこのサウンドは、ほろほろと胸にくるようです。

そしてサビの駆け上るようなメロディーに興奮必至です。

眠れない夜は、どんな時があるでしょうか。

でもこの主人公は、眠れないのではなく「眠りたくない」のではないでしょうか？

コーヒーなんて飲んでしまえば眠れるはずもありません。

眠りたくない本音を隠すため、コーヒー片手に眠れないだけと言い張っている気がします。

コーヒーを飲んでまで眠りたくない理由……。

それはもちろん「君」の存在でしょう。

会えないことは分かっているんだけれど、この寂しさは一人じゃ埋められない。

寝ないでいたらフラッと僕の前に「君」が現れてくれるかも。

そんな淡い期待が見え隠れしているようです。

サビにかけて一気に視界がひらけていくような、そんな絶頂感がたまりませんね。

夜でも眠らない街、それが東京です。

眠らない街をさまよい歩く、眠りたくない僕。

夜間でも絶え間ない人波を、海原に見立てているのかもしれません。

まるで海に潜り込んで、流れに身をまかせているような光景が目に浮かぶようです。