ビルの向こうに見えるのは
あの高いビルの向こう側には
海が見えるらしい
あの黒い空の向こう側には
出典: トーキョーナイトダイブ/作詞:KOTORI 作曲:KOTORI
KOTORIの活動拠点である越谷から見れば、東京は特別な場所でないことは前述のとおりです。
そこから見えるビル群も、数ある背景のひとつに過ぎないでしょう。
でも主人公の視点はさらにその先にある、海へと向けられています。
東京は海がある場所
埼玉県は数少ない内陸県です。
東京に特別さは感じないけれど、しいて言えば海のあるところ。
失恋したら海を見るのはおきまりのパターンですが、主人公もまたビル越しに海を見ています。
寂しさも侘しさも、ビル風とその先にある海が癒してくれるのだろうか……。
そんなちょっぴり切ない心の叫びが聞こえてくるような歌ですね。
東京こんぴ
東京をモチーフにした名曲をもっと知りたい方におすすめの一枚です。
全13曲中、11曲のタイトルが『東京』です!
(ほか2曲は『Tokyo』と『弦楽四重奏曲第9番ホ長調「東京」』になっています!)
タイトルだけでは曲の区別などつくはずもありません。
しかし参加アーティストはそうそうたる顔ぶれが並んでいます。
GOING UNDER GROUNDやBEGIN、Base Ball Bearなどなど……。
今はドレスコーズとして活躍中してる志磨遼平の前身バンド、毛皮のマリーズも参加しています。
eastern youth
今年のフジロックではメインステージのトップバッターを務めたeastern youth。
日本のロックシーンにおけるレジェンド的なバンドが送る、渋すぎる一曲です。
eastern youthは北海道出身のバンドなので、KOTORIとは東京の捉え方が全く異なります。
東京
熱と風
どうにでもなれ
どうにでもなれる
何とでも言え
何にでもなれる
出典: 東京/作詞:吉野寿 作曲:eastern youth
北海道出身の彼らにとって東京は紛れもなくアウェーの土地です。
しかし上京以来、四半世紀を以上過ごしているホームでもあります。
もしかすると人生の半分は東京で暮らしているかもしれませんね。
この世代のバンドマンが上京した90年代前半頃は、まだまだ日本の景気も良かったです。
新宿の都庁やお台場あたりの建築現場で日雇いなど、仕事に困ることはなかったようです。
今の不景気ではちょっと想像できませんよね。
良き時代に思えますが現代のように、YouTubeもネット配信もありません。
自分たちの曲をより多くの人に聴かせるには、東京に出るしかなかったわけです。
才能があったとしても、東京に行くだけの情熱がなければ生き残れるなかったのです。
だからこそ、東京には夢がある
ほんの少し前まで、東京はそれなりの覚悟を持ってやって来る場所でした。
だから、夢を叶えた人にとってはキラキラ輝く街に見えるのです。
しかし夢を諦めた人にとっては、冷たい一面を覗かせたでしょう。
KOTORIのような新世代のバンドにとっては、そこまでの場所ではないかもしれません。
それでも東京には、バンドマンにとって憧れの有名ライブハウスが各所にあります。
東京に来るのは簡単になったかもしれないけれど、そこからのし上がるのは困難です。
ファンにとっても、無名時代から応援していたバンドが武道館公演を成し遂げたら感慨深いものがありよね。
時代は移ろっても、やっぱり東京はどこか特別な場所なのかもしれません。
まとめ
あまりにも名曲が多すぎる『東京』の歌。
もう新たな名作なんて生まれてこないだろうと思っていた方もいるでしょう。
しかしKOTORIの『東京』も、後世まで歌い継がれる予感しかしない傑作です。
眠れぬ夜、眠りたくない夜のお供にいかがでしょうか?
孤独に悩む夜も、この歌があるだけでちょっぴり癒されそうです。