Oh, 街なら夢の中 Oh, 枯れては咲く薔薇

嵐が吹き荒れる 木々が騒めく
カラス達の胸を打つ
メルヘンじゃなかっただろ?
不可能をも可能 このメロディがこだまする

出典: Down/作詞:AK-69 作曲:RIMAZI

夢のようにあやふやな、人と人との繋がり。

繰り返される生と死。

主人公が生きている世界は、どこか殺伐としていて、冷たいイメージがあります。

ここにはおとぎ話にあるような、神秘も夢もありはしない。

あるのはただ、自分が生きていかなければならない現実だけです。

しかし主人公は、そのことに対して決して卑屈にはなっていません。

現実がどれだけ厳しくても、それが何かを諦める理由にはならない。

音楽の力があれば、きっとどんなこともできるはず。

主人公はそんな強い意志を持って、夜明け前の道を歩いているのでしょう。

「奴ら」には分からない主人公の願望

Oh, 街なら夢の中 Oh, 枯れては咲く薔薇

耳打ちしてるサル 群れて逃げ出す
「奴がここにやってくるはず」
このドラマという雨 真実という風
今長い夜に陽が射す

出典: Down/作詞:AK-69 作曲:RIMAZI

主人公が生きている世界にいる、自分以外の存在。

それが前の歌詞で歌われていた「奴ら」なのではないでしょうか?

「奴ら」はサルのように群れるばかりで、少しも前に進もうという意志がない。

ここの歌詞には、そんな皮肉が込められています。

そして「奴ら」がひそひそと噂話をしているのは、この世界に光を灯す存在について。

主人公が目指しているのは、きっとこういった存在なのでしょう。

世界を変えるくらいの、大きな一歩。

それを踏み出すために、今日も少しずつ前に進む。

意志のない「奴ら」には分からない、主人公だけの強い願望が伝わってくる歌詞です。

今は亡き友に向けたメッセージ

2番では、「友」というフレーズが重要になります。

というのも、この曲は主人公が今は亡き友に向けたメッセージであると考えられるから。

本当ならこの夜明けを、かけがえのない友と一緒に迎えたかった。

もしかしたら主人公は、今の自分の姿を天国にいる友に見てもらおうとしているのかもしれません。

ラッパー・Biggieへのリスペクト

何度も夢に見たような夜明けが来る
あの過去 灯火消えた友 天国で泣く
He was crying like Biggie 彼が残したその意味
Oh, NIKEのSwooshみたくWheelie
誰も触れんこの歴史

出典: Down/作詞:AK-69 作曲:RIMAZI

様々な苦労や困難を乗り越えて、迎えた夜明け。

ようやくたどり着いた場所でその景色を見ながら、主人公は天国にいる友に想いを馳せます。

また、冒頭やサビで歌われていた「永遠に」は、この友の最後と深く関係しているのでしょう。

自分の過去は、誰にも傷付けられることなく、この先もずっと残り続ける。

それを「永遠に」と表し、さらには24歳の若さで他界したラッパー「Biggie」とも関連付けているのだと思われます。

また、この歌詞は「友」=「Biggie」と解釈することもできそうですね。

この曲は、AK-69の「Biggie」へのリスペクトを歌った曲と言ってもいいかもしれません。

光の中で見た景色

最後に、夜明けを迎えた世界で主人公はどんな景色を見たのか?

そのことについて、考察していきたいと思います。

主人公が輝かしい光の中で見たもの。

その景色はきっと、天国の友にも届いているはずです。

見えたのは現実

The brightest dawn まさに宿命
明けない夜中の特例
アポロンが見落とさねぇ成功
導かれる闇の帝王

出典: Down/作詞:AK-69 作曲:RIMAZI

今までで一番明るい夜明けを迎えた主人公は、何かの運命を感じ取った様子です。

自分がこの場所にたどり着いたのは、初めから定められていたこと。

自分の意志で歩いてきたと思っていたのに、実は抗えない大きな力によって突き動かされていただけだった。

偉業を成し遂げた先に見たのは、さらに大きな試練だったのでしょう。

夜明けを迎えたなら、また次の暗闇が襲ってくる。

主人公が夜明けの景色に見たのは、達成感や満足感ではなく、ただの現実感です。

どんな偉業も、1つの結果でしかありません。

主人公は現実の闇の深さに脱力し、同時に終わらない明日へ向けて奮起したのかもしれません。

前に進み続ける