インディーズ時代の隠れた名曲

THE BACK HORN【何処へ行く】の歌詞を解説!ただ愛せ…俺に言った言葉には大きな意味があったの画像

THE BACK HORN1998年に結成されました。

そのインディーズ時代に発表したアルバムが『何処へ行く』です。

惜しくも廃盤になっていますが、現在でも収録曲のほとんどがライブで披露され続けています。

そして2018年10月17日、インディーズ楽曲を再録した『ALL INDIES THE BACK HORN』が発売されました!

これによりインディーズ時代の音源すべてが、メジャーで再録されたことになります。

当時の音源と聴き比べれば、また新たな発見があるかもしれません。

今回はその中から表題曲にもなっている楽曲『何処へ行く』を紹介します。

『何処へ行く』の魅力

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『何処へ行く』はバンド結成されたばかり、メンバーがまだ10代の頃に作られた楽曲です。

まさに初期のTHE BACK HORNが濃縮された一曲と言えるでしょう。

「死」「孤独」を連想させる楽曲が多かった時期で、この曲もそのひとつです。

バンドとしてもまだまだ知名度は低く、ライブの観客動員を上げるため模索していた頃でした。

ですから「何処へ行く」と思っていたのは、紛れもなくメンバー自身だったのではないでしょうか。

本音が詰まった楽曲だからこそ、胸に迫ってくるものがあります。

そんな当時の状況に思いを馳せながら、歌詞を詳しく見ていきましょう!

歌詞解説

孤独なふりとは?

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何処へ行く 青臭き野道を遠く離れて
何も変わらねえよ 全て変わってゆく 歌いながら

薄明かり 虫の声が聴こえる 幼き夜に
孤独なふりをすんな でも孤独をかみしめろ そう歌ってた

出典: 何処へ行く/作詞:THE BACK HORN 作曲:THE BACK HORN

インディーズ時代のTHE BACK HORNは、下北沢や新宿を拠点に活動していました。

ライブハウスのノルマを満たすため、開演前に路上で弾き語りをしてチケットを捌いていたのだそうです!

しかし無名バンドの弾き語りなんて、大半の人はスルーしてしまうのではないでしょうか。

たまに足を止めてくれた人がチケットを買ってくれるけど、ほとんどの通行人からは無視されます。

「何も変わらねえよ」というフレーズに、そんな当時バンドが置かれていた状況が感じられるようです。

 自分たちの音楽を認めてもらえないことほど、辛いことはありません。

そんなとき簡単に自分を慰められるのは「好きでひとりでいるだけだ」と思い込むことです。

でもそんなことをしていては、いつまでたっても状況は変わりません。

孤独と真剣に向き合うことでしか今を変えることはできないのです。

何を愛するのか?

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ふみよむ月日 俺に言った
「生きる訳など考えずただ愛せ」振り返ることなく

夏のかほり消えるだろ 落陽の彼方に
何も分からねえ分からぬまま からから鳴きぬれる

出典: 何処へ行く/作詞:THE BACK HORN 作曲:THE BACK HORN

「ふみよむ月日」はやや古風な言い回しです。

有名どころでは『蛍の光』にも同じ言葉が登場します。

ここでは緩やかに流れる年月のことを示しているのでしょう。

人生が思うようにいかないときというのは、ついつい過去のことばかり気になってしまいます。

あのとき、あの場面で選んだ選択は本当に正しかったのだろうか……?

しかしもし間違いだったとしても、それもまた自分の人生です。

成功も失敗も丸ごと受け入れることを「愛せ」と言っているのでしょうか?

弱さに負けそうなとき

そして今 飛ぶ鳥を見上げる危うき心
何処を彷徨っている 何も見えぬまま 途方に暮れる

ふみよむ月日 俺に言った
「生きる訳など考えずただ愛せ」振り返ることなく

ちぎれながら落ちてゆく 呼ぶ声の彼方に
むせかせる息もできぬほどに 夕闇立ち籠める

出典: 何処へ行く/作詞:THE BACK HORN 作曲:THE BACK HORN

場面は夕暮れ時です。時が進めば進むほど闇は深まって行くばかりです。

そんな情景が、思い悩んでいる心の内を表しているようですよね。

悩み考えすぎるあまり、ドツボにはまってしまうことがあります。

文字通り「危うき心」に支配されかけているような状況ではないでしょうか。

夕闇とはただ日が落ちたことを示しているのではありません。

心が少しずつ塗りつぶされるように、弱い自分に負けそうな状態を暗示しているのでしょう。

「ただ愛せ」の真の意味とは

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