人間の鬱々とした感情をリアルに表現した「再教育」
Neruさんが作詞作曲を手掛けた「再教育」。
鏡音リン・レンの尖ったような調声も相まってカッコイイ曲調になっています。
しかし歌詞だけを見ると中々物騒な言葉もいくつか出ている様子。
過激な言葉を使いつつも、人間の心の本旨をついたような歌詞に多くの共感する声が出ています。
MVはカゲロウプロジェクトも手掛けた「しづ」が制作
「再教育」のMVは「しづ」が制作しています。
「しづ」はカゲロウプロジェクトに関連する楽曲MVも手掛けている人です。
シャープな線で描かれているイラストや少し闇のある色使いが「再教育」の世界観にマッチしています。
「再教育」の歌詞を徹底考察!
やり場のない気持ち
国道沿いに対峙する 僕達の閉じた未来
屋上階で目を瞑り 重力場に逆らう
道徳なんて死んじまえ 缶コーラ蹴り飛ばした
青春なんてこんなもの このセリフ何度目だ
出典: 再教育/作詞:Neru 作曲:Neru
主人公は屋上で自分の将来でも考えていたのでしょうか。
少なくとも明るい未来を思い描くことはできていない様子。
誰にでも将来を悲観して暗い気持ちになることはあります。
しかし主人公はその一時の暗い気持ちとはまた違うようにも思えます。
自分が精神的に成長するのに大きな時期であるのに、それをちっぽけなものと言い切っている。
主人公は将来への道はもちろん、現在の自分にも何やら不満があるようです。
それは自分自身へのイラだちもあるでしょうか、自分の周りの人間にも不満がある様子。
その様子が歌詞の3行目で表現されています。
自傷癖がある少女
生き急いでいた彼女は 昨日郊外の倉庫で
歪な顔をして ビニールテープを 首に巻いた
出典: 再教育/作詞:Neru 作曲:Neru
主人公が屋上で将来のことについて考えている時。
別の少女らしき人は自傷行為をしている様子。
歌詞だけをみると全て1人称視点に見えますが、MVを通すと他のキャラクターも登場しています。
他のキャラクターも混ぜることによって誰にでも心の闇があるということを表現しているのでしょうか。
どうしようもない未来
我儘のナイフで夢を脅す 僕らの明日が泣き叫んだ
「助けてくれ」の声を 孤独の盾で塞いだ
屁理屈の正義で夢を殺す 僕らの明日が血を流した
しょうもないと火を付けて 積まれた思い出燃やした
出典: 再教育/作詞:Neru 作曲:Neru
子供の頃は様々な想いや夢などを思い描いていた人もいたでしょう。
大きくなったらこんなことをしたい、あんなことをしたい。
しかし大人になるにつれて常識や自分のスキルなどが把握できるようになります。
そして、子供の頃に考えていた大きな夢はいつしか無難な目標へと切り替わっていく。
自分の手に届く範囲に目標を作ることを、大人になったという人もいるでしょう。
しかし少なくとも主人公は大人になってしまった変化を好意的には捉えていません。
自分がワクワクして考えていたことは常識という力で消えていきます。
少し他人と違うことをすれば注目される視線。
ただ単に興味本位で見ている目もあれば、おかしなものを見る目もあるでしょう。
その視線は大人に近づいている心にはとても刺さります。
本心とは裏腹に周りの対応から、諦めるしかない。
これが大人になることなのかもしれない、という負の感情が読み取れます。