とても切ない心情を歌いつつ、「いつなったら巡り会えるのかな」という歌詞。
会いたいときに会えないもどかしさがより強く表現されているように感じられます。
「ねぇ」とは、好きな人に問いかけているのでしょう。
きっと主人公は、心の中でいつも話しかけているようにも読み取れます。
後には「ねぇ、答えてよ」という気持ちが続くようにも感じられるでしょう。
それだけ主人公の中では、好きな人を恋焦がれているのです。
会いたい時に 会えない
から紅に水くくるとき
君との想い つなげて
川の流れに祈りを込めて
I've been thinking about you
I've been thinking about you
いつも 君を 探してる
出典: 渡月橋 ~君 想ふ~/作詞:Mai Kuraki 作曲:Akihito Tokunaga
はじめに目につく歌詞は、「から紅に水くくるとき」という部分。
これは万葉集の在原業平朝臣が詠んだ有名な和歌の一つ。
「ちはやぶる神代も聞かず竜田川 からくれなゐに水くくるとは」です。
この一句は、百人一首の中の一つでもあり、聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
このフレーズがあるからこそ、この曲のミュージック・ビデオでは十二単がモチーフに。
日本的な美を表現する優雅な内容になっているのでしょう。
2コーラス目の歌い出しも「いにしえの景色 変わりなく」し、なんとなく古都の雅やかな感触が伝わってきます。
そして、「会いたい時に 会えない この胸を 焦がすの」と、切ない胸のうちを歌いつなげる。
「ねぇ いつになったら また 巡り会えるのかな」と、愛しい人とはすぐに逢うことはできない状況のよう。
会いたいときに会えないことは、本当にもどかしいもの。
最後にあるフレーズは、少し気になる言葉で「いつも 君を 探してる」。
もしかすると、現実に存在はしていない自分の魂の半分、つまり、ツイン・ソウルを探しているのかもしれません。
好きな人のことを、まるで自分ツイン・ソウルのように身近に感じているようにも読み取れます。
二人で一つの自分たち。
それなのに、会いたいときに会えない自分たち。
なかなか巡り会えない二人を歌うこの曲は、悲しい恋の物語のようです。
悲しい自分と、楽しそうな紅葉
会うだけで不安は一瞬で消えるのに…
君となら 不安さえ
どんな時も消えていくよ
いつになったら 優しく
抱きしめられるのかな
出典: 渡月橋 ~君 想ふ~/作詞:Mai Kuraki 作曲:Akihito Tokunaga
3コーラス目はハーフコーラスとサビですが、はじめに「君となら 不安さえ どんな時も消えていくよ」と歌います。
愛しい人と、ただ一緒にいるだけで、胸はいっぱいになり、どんな不安も消えてしまう……確かにその通りかもしれませんね。
これまでの歌詞の中では、好きな人を想いつつ、苦しくて切ない気持ちが歌われていました。
その心情はとても不安に満ちたもののように感じられます。
しかし、そんな不安も会って抱きしめ合うだけで一瞬で消えてしまう。
だから会いたい、と伝えたいのでしょう。
この気持ちは、「いつになったら 優しく 抱きしめられるのかな」の部分に表されています。
やはり、どんなに想っていても、スキンシップが二人の間には絶対に必要なのでしょう。
今は紅葉さえ羨ましい
から紅の紅葉達さえ
熱い思いを 告げては
ゆらり揺れて歌っています
出典: 渡月橋 ~君 想ふ~/作詞:Mai Kuraki 作曲:Akihito Tokunaga
そして歌詞は、「から紅の紅葉達さえ 熱い思いを 告げては」と続きます。
この歌を歌っている季節は秋。
紅葉が赤く染まることで秋が来たことを強く伝えています。
「ゆらり揺れて歌って」いるのは紅葉。
風になびいて揺れるときも、散って川の流れに乗っているときも、紅葉はまるで歌っているかのよう。
そのようすは、まるで時が流れることを楽しんでいるかのように見えているのでしょう。
好きな人に会えないまま秋の季節が来てしまった悲しい気持ちの自分。
それとは対照的に秋が来たことを喜んでいるかのような紅葉。
悲しい気持ちの自分と違って、楽しいようすの紅葉がとても羨ましいと感じているのです。
歌詞を日本語でリフレイン
I've been thinking about you
I've been thinking about you
いつも いつも 君 想ふ
出典: 渡月橋 ~君 想ふ~/作詞:Mai Kuraki 作曲:Akihito Tokunaga
そして、最後には「いつも いつも 君 想ふ」。
「I've been thinking about you」を日本語で歌っています。
あえて日本語で表現することで、好きな人に会いたいのに会えない気持ちをより強調しているでしょう。
英語と日本語で何度も同じ言葉をリフレイン。
それだけ相手のことを想っているという強い気持ちが伝わってきます。