「TSUNAMI」ってどんな曲?

「サザンオールスターズ/TSUNAMI」17年の時を経て語られる制作のきっかけとは?!歌詞を紐解く!の画像

「TSUNAMI」は、2000年にリリースされたサザンオールスターズの44枚目のシングル曲。作詞作曲サザンオールスターズのリーダーである桑田佳祐さんです。

売上296万枚という驚異的な数をはじき出した大ヒット曲です。オリコンの2000年度のシングルチャート1位を記録したほか、2000年にリリースされた楽曲の中で、最も売り上げが高かった曲として知られます。また、サザンオールスターズシングルの中でも最も売上が高かった楽曲でもあります。

もはや日本のバラード曲の代表格

「TSUNAMI」の冒頭はイントロがなく、ボーカルから始まります。そのボーカルにピアノやキーボードのバッキングが加わり、その後様々な楽器が入ってきて盛り上がる構成になっています。美しく印象的なメロディーながら、ミディアムテンポで感傷的になりすぎない爽やかなサウンドは、桑田佳祐さんならではです。

サザンオールスターズとして、だけでなく、もはや日本の2000年代を代表するバラード楽曲として、世界中に知られています。

「TSUNAMI」を書くきっかけ

1999年ごろ、長年ヒット曲を出し続けてきたサザンオールスターズは少々停滞気味でした。停滞気味という状況を受けて、リーダーの桑田佳祐さんも、これからのサザンオールスターズをどのようにしていくかという模索していたそうです。

そんな中、1000人程度の小さなライブハウスでシークレットライブを行ったのが、この曲を作るきっかけになりました。今まではドームなどで何万人という聴衆を相手にしてきたサザンオールスターズにとって、目と鼻の先といった距離にファンがいることがかえって刺激となったのだそうです。

ファンの喜ぶものを作りたい

目の前でファンが喜ぶ姿を見て、桑田佳祐さんは「本当にファンが喜ぶ曲を書きたい」と思ったそうです。それで、過去の作品と同じ路線の自己回帰ともいえる作品を書き始めます。

そして、よりサザンらしい曲を作るようになった結果、生まれたのがこの「TSUNAMI」だったそうです。奇をてらったものではなく、新しい挑戦をするものでもなく、ただただファンが喜ぶサザンらしい楽曲を追求した結果生まれた名曲だったのですね。

TSUNAMIの歌詞からわかること

「TSUNAMI」の歌詞は、男性が過去の恋愛を振り返って、切ない思いを吐露しているといったストーリーです。しかし、多くの人たちの共感をよんでいるのは、この曲の歌詞が必ずしも恋愛だけとは限らないと解釈できるからかもしれません。

また、この歌詞の主人公は決して強い男ではなく、過去を振り返り、悔やみ、後ろ髪を引かれる、弱い男のイメージです。これが多くの人たちの共感をよぶのかもしれません。

弱い男に共感する心理

風に戸惑う ♪〜
弱気な僕 ♪〜通りすがるある日の影
本当は見た目以上♪涙もろい過去がある♪〜

TSUNAMI☆♪☆サザンオールスターズ♫

出典: https://twitter.com/hiromimiles1/status/901239245381279744

誰しもが弱気になることはあります。けれど、特に男性は強くあるべきという社会的なイメージもあり、泣いたり、弱気になったりといった顔を見せることはよくないという風潮があります。けれど、本当は弱いと心情を吐露する歌詞の内容が、多くの男性の心理を掴んでいるのではないでしょうか。

文学的な要素を持つ歌詞

止めど流る清か水よ
消せど燃ゆる魔性の火よ
あんなに好きな女性に出会う夏は二度とない
人は誰も愛求めて闇に彷徨う運命
そして風任せOhMydestiny
涙枯れるまで(サザンオールスターズーTSUNAMI)

出典: https://twitter.com/keimito1/status/898919122200780800

止めど...という歌詞の言い回しは非常に文語的で、J-popの歌詞とは思えない美しさがあります。それがある種の文学性を感じさせ、この「TSUNAMI」という曲をより魅力的なものにしています。

そして、二度とないという言い回しが、主人公にとってかけがえのない女性に出会ったことを意味しています。しかし、運命に従わなければならない。その「運命」が具体的に何を意味するのかは述べられていません。しかし、その女性と一緒にいられないとか、別れなければならないなどという破局を婉曲的に予感させています。