まずは超個性的なMVをチェックしてみましょう。
セクシーなOLさんが宇宙で何かと闘っています。
戦争の相手はなんと”月”!
手にした武器はブルボンのルマンド型のバズーカです。
脇に挟んだスマホ、手にしたホチキス、腰のガンホルダーには急須が入っています。
ルマンド型バズーカを打ち込まれた”月”は見事真っ二つに。
場面は変わり荒廃したオフィス。
4人の傷ついたOLさんが助けを求めています。
ラストシーン、宇宙で戦っていたOLさんの目にはなぜ涙が溢れているのでしょうか?
OLさんは闘っている!
青いリボンに染みこんだ 透きとおる血の
微かな香を辿って わたしを探すの
幼いころに救われた 貴方の役を
いまこそひき継ごう さあ敵はもうそこ
出典: 月曜日戦争/作詞:吉澤嘉代子 作曲:吉澤嘉代子
「月曜日戦争」の主人公はOLさん!
いまさらですがOLはOffice Ladyの略語です。
OLという言葉は日本でしか使われないって知ってましたか?
そもそも会社員の呼び名を性別で分けるという発想が古臭いと思うのです。
毎日会社という戦場で働くOLさんは通常業務に加えお茶汲みにコピー取りと雑用まで命じられています。
疲れ果てたOLさんは憂鬱さに我を失いそうになりながらも懸命に闘い続けるのです。
戦闘着はもちろん「架空OL日記」でも着用していたブルーの制服。
歌詞冒頭の”青いリボン”は制服を表すと同時に”憂鬱な気持ち”を表現。
戦闘で傷ついたOLさんの制服には目に見えない血がビッシリと染みこんでいます。
透明な血液の微かな香りが私の生きている証。
これがあれば私は自分を見失うことはないわ。
ここで主人公のOLさんが幼少時にOLさんに救われたという記述が登場します。
実際に危ないところを助けてもらったのでしょうか?
もしかしたら母親がバリバリ働く女性だったのかもしれませんね。
私も貴方のように強く戦うの。
OLさんは”憂鬱な月曜日”の象徴である”月”と闘う覚悟を固めます。
決戦は月曜日
水金地火木土天海冥
ああ 憧れの貴方なら どうしたでしょうか
月のひかりに 脱がされる
わたしは 誰だっけ
出典: 月曜日戦争/作詞:吉澤嘉代子 作曲:吉澤嘉代子
ここで謎の転調とともに歌われる”水金地火木土天海冥”は太陽系の惑星を指しています。
主人公のOLさんが闘っている敵は”憂鬱な月曜日”の象徴である”月”です。
ドラマ「架空OL日記」と繋がっていますね。
主人公と同僚たちは”月曜日”と副支店長が大嫌い!
毎回ユーモアを交え”月曜日”を擬人化し愚痴るシーンがドラマの笑いのツボでした。
憂鬱な月曜日は万国共通?
この感情は万国共通なのですね。
80年代にヒットしたNew Orderの「Blue Monday」という曲があります。
タイトルはズバリ「憂鬱な月曜日」。
元々はメンバーが自殺した日が月曜日だったことから「Blue Monday」というタイトルに。
しかしいつしか”憂鬱な月曜日”に対する会社員の気持ちを代弁した曲として世界に広まったのです。
主人公はここで”月”の光に脱がされてしまいます。
月曜日の憂鬱な気分が本心をさらけ出してしまうことへの比喩なのではないでしょうか?
主人公はここで”わたしは誰?”と自分を見失ってしまいます。
月の光は人を惑わせるといいますね。
「Blue Monday」の歌詞も”僕はどうしたらいい?教えて...”と繰り返されます。
そしてドビュッシーは悲しげなメロディで「月の光」を表現しました。
「さよならドビュッシー」という小説は「月の光」が人生を狂わせるお話です。
”月”&”月曜日”恐るべし。
守ってくれるのはヒーローではない?
液晶の花園で待つ 味方の陣が
かじかむ手をあわせ 無事を祈っている
この星を守ってきたのは いつだってそう
ヒーローではなくて ヒーターだったの
出典: 月曜日戦争/作詞:吉澤嘉代子 作曲:吉澤嘉代子
OLさんの戦場には様々な液晶が咲き誇っています。
パソコンのモニタにスマートフォン。
かつてチェーホフの戯曲から名を借り女子高を舞台にした「櫻の園」という漫画・映画がありました。
たくさんのOLさんが液晶を駆使し奮闘する職場はさながら”液晶の園”。
そして寒さに震える彼女たちを救うのはヒーロー、ではなくヒーター?
実はこれがドラマ「架空OL日記」の世界観とリンクするワードです。
真冬の通勤時の寒さは「どこでもドア」があればローンを組んででも買いたいほど!
さらに冷え込んだ更衣室で”青いリボン”に着替えなければなりません。
しかし憂鬱な月曜の朝、彼女たちを待ち受けていたのは故障したヒーターでした...。
嗚呼、無常。この星はどうなるの?
そこに出勤した1人のOLさん。
手には大きな段ボールを抱えています。
オーマイガー!
新品の、しかも高性能ヒーターじゃありませんか。
というわけでめでたく更衣室という我が惑星は救われたのでした...。
というお話がドラマで実際に繰り広げられます。
しかし星を守るヒーターというシュールな光景。
これぞ吉澤嘉代子さんの妄想世界なのです。
はじまりとおわり、深すぎる詞の世界
狙いをさだめ流鏑馬で射て
ああ 美しい貴方でも こうしたでしょうか
はじまりを殺したら おわりも消えちゃった
出典: 月曜日戦争/作詞:吉澤嘉代子 作曲:吉澤嘉代子