金木犀ってどんな曲?

ファースト・フルアルバムのオープニング曲

アイナ・ジ・エンド【金木犀】歌詞の意味を解釈!影が象徴するものとは?"長所のない私"に込めた想いはの画像

2021年、ソロとして発表したファースト・フルアルバム「THE END」の1曲目に収録された楽曲です。

音楽プロデューサー亀田誠治を迎え制作された楽曲は多方面で注目されています。

アイナ・ジ・エンド自身が全曲作詞作曲を手掛けたことでも話題になりました。

後に、YouTubeの大人気チャンネル「THE FIRST TAKE」でのパフォーマンスがデジタル配信されています。

三拍子のリズムに美しいサウンドと切ない歌詞

三拍子のワルツのリズムに美しいサウンドが心地よく、やさしく心に響きます。

まるで草原をゆっくりと駆ける風のようなメロディがリスナーを引きつけます。

しかし、美しいサウンドに乗せて紡がれる言葉たちから感じられるのは、もがき続ける「私」。

自らを”長所のない私”と言い放つ切ない歌詞を読み解いてみましょう。

歌詞を読み解く

冷めた「私」

長所のない私です
まぐわいの後の一刻に
心躍らず夢から温度だけ
吸い取られてゆく まるで一人

出典: 金木犀/作詞:アイナ・ジ・エンド 作曲:アイナ・ジ・エンド

いきなり冒頭から ”長所のない私です” と自己否定からはじまります。

この一文がこの楽曲象徴する言葉であり、「私」のもがき苦しむ姿を表しています。

歌詞から想像するに、恋人ではない人と一夜を過ごした「私」。

まぐわいに心踊ることもなく、どんどんと冷めてゆく自分を感じます。

まるで一人”という表現に、「私」の寂しさがより一層込められているように思います。

はじめから一人で感じる寂しさよりも、人の間で感じる寂しさの方がツライものです。

そばにいるのに、”まるで一人”…なんと寂しく切ないのでしょう。

 もしかしたら、「私」はこの人に恋愛にも似た感情を持っているのかもしれません。

だから、寂しさを感じるのではないでしょうか。

”長所のない私です”と卑下することで、叶わない思いを受け入れようとしています。

願う「私」

身をよじる 朝になる
途切れますように

出典: 金木犀/作詞:アイナ・ジ・エンド 作曲:アイナ・ジ・エンド

”身をよじる”という表現は、気になる人のそばで寂しさを感じる「私」の苦悩する姿です。

どうにもできず悶々としたまま朝を迎えてしまう。

”朝になる”というのは、変わらない日常が続いてゆくことの象徴でしょう。

こんな思いが”途切れますように”と、願う「私」。

金木犀が表現するもの

金木犀 揺れる頃
あなたには言えない
甘い香りにすぅと溶けてく
染まる頬 脳裏に影 影

出典: 金木犀/作詞:アイナ・ジ・エンド 作曲:アイナ・ジ・エンド

”金木犀 揺れる頃”というのは、単に季節の移ろいを表しているだけではありません。

いくつかある金木犀の花言葉の中で、代表的なのは「謙虚」です。

秋に芳醇な香りを放ちながら、控えめに花を咲かせる様から「謙虚」とされる金木犀。

”あなたには言えない”という、思いを飲み込む「私」を金木犀と重ね合わせています。

最後の”脳裏に影 影”は、飲み込んでしまうしかない本当の思いではないでしょうか。

影を二回繰り返すことで、断ち切れない心情、あるいは迷いを表現しています。

現実の中の「私」