約4年ぶりのシングル「小さな願い」
竹内まりやのシングル「小さな願い/今を生きよう(Seize the Day)」。
両A面のこのシングルCDは、2018年10月17日に発売されました。
作詞・作曲はもちろん竹内まりや本人、編曲と楽曲プロデュースは夫の山下達郎です。
前作は2014年7月リリースの「静かな伝説(レジェンド)」。
その間配信限定で2曲を出したものの、シングルCDが発売されるのはなんと4年3ヶ月ぶり!
今回は、両A面タイトルのひとつ「小さな願い」について詳しくご紹介していきます。
映画『あいあい傘』の主題歌
倉科カナ主演の映画『あいあい傘』
「小さな願い」は、2018年10月28日公開の映画『あいあい傘』の主題歌になっています。
「この主人公の心情を表現出来るアーティストは竹内まりやだ!」というプロデューサーの熱意で実現しました。
彼女はこの映画の台本を読み、映像を観た上でこの曲を作ったとのこと。
主人公の気持ちを優しく言葉にし、メロディに乗せた手腕は流石としか言いようがありません。
しかし彼女の凄いところはそれだけではないのです。
映画を観ていない人、知らない人が聴いてもしっかり意味が通り、感銘を与えてくれるのですから。
なので、映画のあらすじなどについては、あえて歌詞解釈の後にご紹介しますね。
元は舞台劇だった
『あいあい傘』は元々、劇団「東京セレソンデラックス」による舞台劇でした。
2007年4月4日初演、主宰の宅間孝行が脚本・演出を担当。
宅間孝行はこの映画でも監督を務めています。
「東京セレソンデラックス」は惜しまれつつも、2012年に解散してしまいました。
翌2013年、宅間は「TAKUMA FESTIVAL JAPAN(タクフェス)」というプロジェクトを立ち上げ。
2018年には『あいあい傘』の再演を開始しました。
こちらのキャストは、映画版とはまったく違っています。
また、舞台劇再演と共に小説版の刊行も行われました。
小さくともその重みは……歌詞を紐解く
遠く過ぎ去りし日々、温もりの記憶
記憶の中の あなたはいつもモノクローム
抱きしめられた 温もりだけ残ってる
戻せはしない 陽だまりのような
あの日々今も甦る
出典: 小さな願い/作詞:竹内まりや 作曲:竹内まりや
モノクロームの記憶は、遠く過ぎ去った日々を脳裏のスクリーンに映し出します。
人によってはその色も褪せ、セピアに退色しているかもしれません。
それでも確かに残っているのは「あなた」の腕や胸から伝わる温もり。
映像は霧の向こうの風景のようにぼんやりしてしまっても、それだけは鮮やかに甦ります。
懐かしく、お日さまの匂いのする幸せな日々が間違いなくあったのです。
心の荷物、その重みが生み出すもの
※人は誰でも 心に荷物抱え
生きてゆくからこそ 祈るのだろう
大切な人がずっと 幸せでいられるように
出典: 小さな願い/作詞:竹内まりや 作曲:竹内まりや
「心の荷物」という言葉からは「大きくて重くて苦しいもの」を連想する人が多いと思います。
心の負担という意味で捉えれば、まさにその通りでしょう。
でも、本当にそれだけでしょうか?
楽しかった記憶、幸せだった想い出、そういうものも全て「大事な荷物」として存在すると思うのです。
毎日の積み重ねから生まれる「心の荷物」。
いつも整理整頓して心のバッグに入れられたらよいのですが、なかなかそうもいきません。
大事な記憶や想い出が、辛く苦しいものの下に隠れてしまうことだってあります。
潰れてしまって見る影さえなくなることも……。
様々なものが詰まった「心の荷物」の重み。
大切な人が、その重みに苦しむことがありませんように。
力や勇気を与えてくれる想い出をすぐに取り出して、心慰められますように。
幸せでありますように。
自らの荷物の重みを知る人こそ、他者を思いやり、その幸せを祈れるのだと思います。