心の硝子 まるで
スパンコールの様に煌めいてた
出典: 閃光/作詞:将 作曲:Alice Nine
大切な人との別れ、そして何もかもが変わりゆく世界への不安。
ネガティブな感情は主人公の心を傷つけ、そして少しずつ削っていきます。
歌詞1行目で登場する「心の~」は、傷つき悲しみ、そうして削られた主人公の心のカケラを指しているのでしょう。
当然削られたのですから、そのカケラは主人公の心の痛みを伴って生み出されたものに違いありません。
しかしそんな悲しみ、痛みというネガティブな感情に反して、カケラはきらきらと美しい輝きを放っている。
実はここが、この曲における非常に重要なターニングポイントです。
これまで一直線にネガティブだった感情が、ポジティブに転じる可能性を示唆しているからです。
前半で浸っていた悲しみ、苦しみを超えて、その先の未来を期待させる、前向きなフレーズだといえるでしょう。
変わりゆくことを受け止め始めた心
羽根はなくても
何をなくしても
解けてく糸へ
今も焦がれて
出典: 閃光/作詞:将 作曲:Alice Nine
「問題解決の糸口」なんて言うことがありますよね。
これまで悩んでいたこと、考えていたこと、苦しんでいたこと…
複雑に絡み合って解けなくなった思考の糸が、少しずつでも1本の線に戻っていく。
そのように、明るい未来を望んでいる状態だといえるでしょう。
もちろんまだそのような未来に焦がれているだけで、叶ったわけではありません。
しかしその状況に落ち込むのではなく、前向きに心寄せているように感じられるのです。
変わりゆく世界と向き合う
閃光のように 深い闇抜けて
終わらない夢に 別れを告げる
散りゆく日々も
未完成な詩達も
未来を奏で 地平を越えて
出典: 閃光/作詞:将 作曲:Alice Nine
別れを悲しみ、変化を恐れ、いつまでもその場で立ち止まっていた主人公。
少しずつ前を向こうとしながら、なかなか踏み切れずにいました。
しかし曲の最後、ここへきてようやく、完全に前を向き始めることができたのです。
浸っていた思い出から抜け出し、止まることなく変わっていく日々に身をゆだね始めます。
変わっていくことは、未来に繋がっていくこと。
変わっていくことでしか、未来には繫がっていけないこと。
変わることはマイナスなどではなくむしろプラスであり、非常に大切であるのだと教えてくれています。
「終わらない夢」と「その夢を貫く閃光」
最後に答え合わせをしましょう。
冒頭で提起していた「終わらない夢」と「その夢を貫く閃光」、それぞれの意味を解説します。
終わらない夢とは?
この楽曲のテーマでもあった終わらない夢とは、言い換えると思い出です。
自分が大切な人と過ごしてきた時間、場所、その中で手に入れたモノ、感情…
周りの環境がどんなに変わったとしても、断じて変わることのない大切な記憶です。
人間の記憶は多くが美化され、美しく尊いものとして記憶され続けます。
だからこそ人はその思い出、つまり終わらない夢にいつまでも浸っていたいと願うのです。
しかし、それは所詮夢でしかありません。
いつまでも浸り続けているわけにはいかない。だって現実で生きていかなくてはならないから。
終わらない夢とはあたたかくて愛おしい、でも縛られすぎてはいけないもの。
そんな大切な思い出のことを指しているのでしょう。
終わらない夢を貫く閃光とは?
曲のタイトルでもある閃光は、瞬間的に発される光であり、つまり勢い、鋭さを感じさせます。
あたたかく愛おしい、そんなゆったりとした空気感をまとう「終わらない夢」。
それをスパッと貫くものこそ、この閃光でしょう。
その勢いはどこか乱暴で、どこか厳しいようにも見えますが、まっすぐな光は夢をきちっと終わらせてくれます。
変わりゆく世界の中で、この曲の主人公が前を向き歩んでいくきっかけを作った、キーポイントでもあるのです。
『閃光』が描く刹那的な世界
疾走感のあるクールな楽曲に乗せて、ネガティブからポジティブに転じる様子を見事に描いている『閃光』。
世界は変わってしまうのだとマイナスを綴っておきながらも、その言葉はどこか美しく聴こえます。
そして曲の最後では、きちんと希望を示して聴く人を救ってくれるのです。
楽曲自体のカッコよさは言わずもがな、歌詞の世界観にも触れながら楽しんでみてください。