めくるめくパスピエの世界


とりあえず一曲

さて今回ピックアップするアーティストはパスピエです。

彼らの紹介はですね、ワタクシなんぞが文字でダラダラ書くよりも一回見てもらった方が早いんですわ。というわけでご存じない方はまず一曲、まあどうぞどうぞ。

ね、強烈でしょ。サムネイルから既に結構な強烈感漂ってますけど、聴いてみてもやっぱり強烈じゃないですか。

冒頭でヤミツキ系と表現したのを何となくお分かりいただけたかと思うのですが、これがパスピエの世界でございます。

もちろん全く違った曲調のものもあるんですが、まずは引きずり込まれる感じありません?なんかわからんが凄い…も、もっかい見よ…みたいな。

強烈なだけなら一回でお腹いっぱいになっちゃうと思うんですけど、それだけではなくどこか上品で知的、そしてこのアーティスティックな世界観。

甘めのアニメ声…かと思いきや、時折刺すような鋭さを見せる、とにかく一度聴いたら忘れないボーカルの声。

いやースゴイわ、さぞ優秀なプロデューサーが…と思いきや、作曲は東京藝術大学でクラシックを学んだ成田ハネダが、

作詞とMV・ジャケットなどのアートワークは、ボーカルの大胡田なつきが担当しています。何その才能。二物がすごい。与えられ放題。

「ヨアケマエ」MVの世界へダイブ!

まずはMVをチェック!

頭にガツガツ叩き込まれる映像、脳にこびりつくピアノリフ、メロディー、歌詞

初見でも、聴き終わる頃にはサビなんかそこそこ歌えるようになっているはずです。脳みそへの訴求力が凄いじゃないですか。

このダンスビートに、どこか和を感じさせるメロディー

分かりやすく和の楽器を使っているわけでもなく、いわゆる「和の音階」を使用しているわけでもないのですが、しっかり和テイスト。この繊細な表現力が、パスピエの凄さなんですよ。

どこか軽さを残しつつ、簡単な方には逃げない。自分たちらしさをどこまでも追及するストイックな姿勢が、楽曲にそのまま表れているわけです。

これだけ読むと、アーティストと言うよりは職人さんですよねこれ。

素晴らしき映像美

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ほんでもってこの映像です。MVは毎回、この独自の世界観でしまいにゃ高尚さすら漂うパスピエですが、今回も健在ですね。アート感全開です。

そんないつもの「パスピエっぽさ」を残しつつも、彼ら自身のネクストステップを彷彿とさせるアグレッシブな仕上がり。オラわくわくすっぞ…!

お、最後までこの雰囲気で行くのかな?と思いきや、食卓のシーンなど、見ている側をドキッとさせる演出を後半にぶっこんでくるのが憎い。飽きさせてくれません。

この「ちょっとの不気味さ」ってクセになるんですよね。思わずもう一回見たくなる要素の一つだと思うのですが、この使い方がとにかく上手い。

見終わった後スッキリ飲みこめてしまうというよりは、何か消化しきれずに、でも何が消化しきれていないのかイマイチわからなくてもう一回見ちゃうという。

となったらアナタもパスピエ森の住民です。ようこそ。

「ヨアケマエ」文学的な歌詞の世界

読書量に裏打ちされた構成力

「ヨアケマエ/パスピエ」で見せたダンスビートと和のサウンドの融合とは?歌詞解釈&MVから解説♪の画像

さてさてそれでは歌詞を見ていきましょう。作詞は前述の通りボーカルの大胡田なつき

純文学が好きで、影響を受けた本に夏目漱石の「坊ちゃん」を上げる彼女とあって、歌詞の構成力、文章力などの安定感は抜群です。

待ってました 出ました お出ましだ
最新が最高 当然でしょ
いつしか疑いの目さえ失った傍観者

出典: ヨアケマエ/作詞:大胡田なつき 作曲:成田ハネダ

わーこのリリックをこのリズムに乗せますか。もうこの時点ですごくオシャレ。

先ほどのMVでもありましたが、ちょっとした不気味さとか「ちょっとした何がしか」を取り入れるのがすんごく上手いですよね。ここはちょっとした違和感、でしょうか。

歌詞そのもののインパクトも手伝ってめちゃくちゃ覚えやすい。頭ぐるぐるソングですよね。全然頭から離れてくれないやつ。

一度聴いたら忘れないサビ