浜田省吾【愛という名のもとに】歌詞を解説!別れて暮らしていても「愛」はある?壊したくない君への想い…の画像

いつの間にか二人 ベッドの中
時計の音だけ聞いてたね
互いに欠けてる夢の色を
別の何かに 置きかえて
今は二人
別れて暮らす他に答はないけど

出典: 愛という名のもとに/作詞:浜田省吾 作曲:浜田省吾

夜中、一緒にいても話題がない。

長い間に疲弊してしまったふたりの会話。

夜の生活が離れてゆくのは昼の暮らしの違いこそが原因であることが多いです

お互い別の職場で起こる様々な出来事に揉まれて人格が少しずつ変わってゆきます。

最初に出会ったままのふたりではいられなくなるのです。

学生を卒業して社会人として働く中で皆が変わってゆく。

それはドラマ「愛という名のもとに」の通奏低音でもありました。

野島伸司脚本作品はセンセーショナルな面ばかり語られますが実際に多く描いているのは喪失感です。

その喪失感の源は浜田省吾のこの作品に見られるような疲弊してゆく若さにあるのでしょう

愛を再生したい

「僕」は希望を捨てない

浜田省吾【愛という名のもとに】歌詞を解説!別れて暮らしていても「愛」はある?壊したくない君への想い…の画像

眠れぬ夜は 電話しておくれ
二人 もう一度 探そう
恋人達が胸を ときめかせ
寄り添い迎える朝を

出典: 愛という名のもとに/作詞:浜田省吾 作曲:浜田省吾

愛の再生への願いが歌われます。

一度、生活を解消したふたりが再生できるかどうか現実は厳しいです。

それでも希望を捨てない「僕」の健気な想いに心打たれます

「僕」にとっての「君」の大切さ。

かつてのふたりの生活がいかに喜びに満ちた輝くものであったかをうかがわせます

「愛という名のもとに」、タイトル回収

喪失したのは笑顔

浜田省吾【愛という名のもとに】歌詞を解説!別れて暮らしていても「愛」はある?壊したくない君への想い…の画像

眠れぬ夜は 電話しておくれ
二人 もう一度 探そう
愛という名のもとに 失くした
無邪気な君の笑顔を
無邪気な僕の笑顔も

出典: 愛という名のもとに/作詞:浜田省吾 作曲:浜田省吾

クライマックスです。

ゆっくり歌われる曲なので4分34秒ある曲ですが歌詞が短く感じられます

クライマックスに至ってタイトルを回収する構成が見事です。

失われたのは笑顔だった。

このこともとても大切です。

ふたりの独立した人格が一緒に暮らしてゆく中で笑顔を失ってしまったらその生活は監獄に変わります

反対にいつまでも笑っていられる関係でいられるうちはふたりの生活は楽園でしょう。

日々の辛い労働も笑いの絶えない生活で癒やされる。

人間の暮らしの中での笑顔の大切さは多くの方に同意していただけられるはずです。

「僕」が再生したいのはふたりの笑顔でした。

浜田省吾の世界への一歩

今なお魅力が失われない

浜田省吾【愛という名のもとに】歌詞を解説!別れて暮らしていても「愛」はある?壊したくない君への想い…の画像

「愛という名のもとに」は4分34秒のドラマ

笑顔の再生を願った彼らがその後どうなったのかは誰にも分かりません

野島伸司ならばハッピー・エンドにはしないでしょう。

視聴者の淡い期待を裏切ることに躊躇せずに自分のドラマを描いてゆく人ですから。

ドラマ「愛という名のもとに」は皆が成長してゆき取り残された者は自殺するという展開でした。

衝撃的な展開を記憶されている方も多いでしょう。

視聴率は最高で32.6パーセント。

テレビというメディアがまだまだ娯楽の中心であった時代です。

浜田省吾はこの作品を最後にタイアップしなくなります。

貴重なドラマ作品になりました。

このドラマをきっかけに浜田省吾の魅力に触れた人たちには想い出深い作品です。

青春の日の喜びと喪失。

再生を願うその後の日々。

通底しているものは「祈り」です

生活を解消するけれどもこれからもお互い仲良くやっていこう。

眠れない夜には電話一本で飛んでゆくよ。

「愛という名のもとに」喪失したふたりの笑顔を再生したい

「僕」は少しの希望にすがりつきます。

たとえ希望はわずかでも可能性がある限りは信じたいのです。

ただ笑顔の再生のためだけにこれほどの努力をするのですから報われて欲しいと願います。

未だ私たちは「愛の世代の前に」いる

アルバム「愛の世代の前に」の本義は「核兵器が根絶される前には本当の愛の世代は訪れない」というもの

東西冷戦時代は終わっても一向に解決しない核廃絶問題。

未だに私たちは「愛の世代の前に」生きています。

ささやかな生活を維持してゆくには笑顔が必要だよとやさしく教え諭す「愛という名のもとに」

今も多くの方に愛されているのも頷ける作品です。

ディテールへの親近感が失われても大きなテーマは今なお健在。

浜田省吾の作品世界の一端を知るためには最適の一歩かもしれません。

ここまで読んでいただいてありがとうございました。

OTOKAKEで振り返る浜田省吾